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刑法の用語集

構成要件・違法性・責任・未遂・共犯から財産犯・偽造罪・公務執行妨害まで。刑法の用語を、条文・判例と司法書士試験で問われた肢に結びつけて解説します。

191語15章
第1章

刑法の基礎

第2章

構成要件

法人処罰と両罰規定ほうじんしょばつとりょうばつきてい

両罰規定とは、法人の代表者や従業者が法人の業務に関して違反行為をしたときに、行為者を罰するほか、その法人にも罰金刑を科すと定める規定で...

犯罪の分類(結果犯・危険犯・継続犯・状態犯・目的犯)はんざいのぶんるい

犯罪の分類とは、構成要件が結果の発生や法益の侵害をどこまで求めているか、犯罪がいつ終了するか、故意のほかに目的を求めているかという観点...

不真正不作為犯(作為義務・作為の可能性と容易性)ふしんせいふさくいはん

不真正不作為犯とは、殺人罪や放火罪のように作為の形で定められている罪を、不作為によって実現する場合をいいます。結果の発生を防止すべき作...

不作為の因果関係ふさくいのいんがかんけい

不作為の因果関係とは、期待された作為をしていれば結果が発生しなかったであろうという、不作為と結果との間の関係です。判例は、期待された作...

条件関係(択一的競合・仮定的因果経過)じょうけんかんけい

条件関係とは、その行為がなければその結果は発生しなかったであろうという、行為と結果との間の事実的なつながりです。刑法上の因果関係を認め...

因果関係(危険の現実化)いんがかんけい

因果関係とは、発生した結果を行為者の行為のしわざとして帰責するために必要な、実行行為と結果との間のつながりです。判例は、条件関係がある...

相当因果関係説と条件説そうとういんがかんけいせつとじょうけんせつ

相当因果関係説とは、条件関係があることを前提に、その行為からその結果が発生することが一般人の経験上相当といえる場合に因果関係を認める見...

結果的加重犯けっかてきかじゅうはん

結果的加重犯とは、基本となる犯罪行為から、行為者が認識していなかった重い結果が発生した場合に、基本となる犯罪よりも重い刑を科す犯罪です...

第3章

故意・錯誤・過失

故意の意義と種類(未必の故意・概括的故意・意味の認識)こいのいぎとしゅるい

故意とは、罪を犯す意思のことで、犯罪事実を認識し、その実現を認容することをいいます。結果の発生を確定的なものとして認識していなくても、...

具体的事実の錯誤(法定的符合説と具体的符合説)ぐたいてきじじつのさくご

具体的事実の錯誤とは、行為者が認識した事実と現実に発生した事実が、同じ構成要件の範囲内で食い違うことです。法定的符合説は両者が構成要件...

抽象的事実の錯誤(構成要件の重なり合い)ちゅうしょうてきじじつのさくご

抽象的事実の錯誤とは、行為者が認識した事実と現実に発生した事実が、異なる構成要件にまたがって食い違うことです。この場合、故意は原則とし...

因果関係の錯誤と遅すぎた構成要件の実現いんがかんけいのさくごとおそすぎたこうせいようけんのじつげん

因果関係の錯誤とは、行為者が狙った客体に結果を発生させたものの、結果に至る因果経過が行為者の認識と食い違うことです。遅すぎた構成要件の...

過失犯の構造(旧過失論・新過失論・危惧感説)かしつはんのこうぞう

過失犯の構造とは、過失の本質を何に求め、過失を犯罪の体系のどこに位置づけるかという問題です。旧過失論は予見可能性を、新過失論は結果回避...

予見可能性と結果回避義務よけんかのうせいとけっかかいひぎむ

予見可能性とは、行為者が構成要件的結果とその結果に至る因果関係の基本的部分を予見できたことをいいます。結果回避義務とは、予見可能性を前...

信頼の原則しんらいのげんそく

信頼の原則とは、行為者が、被害者や第三者が適切な行動をとることを信頼するのが相当な場合には、その者の不適切な行動によって結果が発生して...

管理・監督過失と過失の競合かんりかんとくかしつとかしつのきょうごう

管理・監督過失とは、事故を防ぐための設備や体制を整える義務に違反する管理過失と、直接行為者が過失を犯さないよう監督する義務に違反する監...

過失犯の処罰規定(業務上過失・重過失)かしつはんのしょばつきてい

過失犯の処罰規定とは、故意のない行為を例外的に処罰する規定のことで、刑法38条1項ただし書の「特別の規定」に当たります。人を死傷させた...

第4章

違法性阻却

違法性の実質(結果無価値論と行為無価値論)いほうせいのじっしつ

違法性の実質とは、構成要件に該当する行為がなぜ法的に許されないと評価されるのかという、違法性の中身のことです。法益の侵害とその危険に求...

正当行為(法令行為・正当業務行為・自救行為)せいとうこうい

正当行為とは、法令による行為や正当な業務による行為のように、構成要件に該当しても法秩序全体からみて許されるため違法性が阻却される行為で...

被害者の同意(同意傷害・同意の要件)ひがいしゃのどうい

被害者の同意とは、法益の主体である被害者が、自分の法益が侵害されることを承諾することです。同意があると、罪によって、構成要件該当性が否...

錯誤に基づく同意(偽装心中)さくごにもとづくどうい

錯誤に基づく同意とは、被害者が欺かれるなどして事実を誤って認識したまま与えた同意のことです。追死すると欺いて被害者に自殺を決意させる偽...

推定的同意・治療行為・安楽死・危険の引受けすいていてきどういちりょうこういあんらくしきけんのひきうけ

推定的同意とは、被害者の現実の同意はないものの、被害者が事態を正しく認識していれば同意したであろうと認められる場合をいい、違法性が阻却...

正当防衛の急迫性(侵害の予期と積極的加害意思)せいとうぼうえいのきゅうはくせい

正当防衛の急迫性とは、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っていることをいいます。侵害を予期していただけでは失われません...

不正の侵害と防衛の対象(対物防衛・国家的法益の防衛)ふせいのしんがいとぼうえいのたいしょう

不正の侵害とは、違法に他人の法益を害し、または害する危険を生じさせる行為をいい、正当防衛はこの不正の侵害に対してだけ成立します。防衛の...

防衛の意思ぼうえいのいし

防衛の意思とは、急迫不正の侵害を認識しつつ、これを避けようとする心理状態のことです。判例は、36条1項の「防衛するため」という文言から...

防衛行為の相当性(やむを得ずにした行為)ぼうえいこういのそうとうせい

防衛行為の相当性とは、反撃行為が、自己または他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものであることをいいます。36条1項の「やむを...

自招侵害とけんかじしょうしんがいとけんか

自招侵害とは、防衛する者が自らの挑発や暴行によって相手の侵害を招いた場合をいいます。自ら招いた侵害であっても一律に正当防衛が否定される...

過剰防衛(質的過剰と量的過剰・防衛行為の一体性)かじょうぼうえい

過剰防衛とは、急迫不正の侵害に対する反撃が防衛の程度を超えた場合をいい、犯罪は成立しますが、情状により刑を減軽または免除することができ...

誤想防衛・誤想過剰防衛ごそうぼうえいごそうかじょうぼうえい

誤想防衛とは、急迫不正の侵害がないのにあると誤信して、防衛の意思で反撃した場合をいいます。誤想過剰防衛とは、急迫不正の侵害がないのにあ...

防衛行為と第三者ぼうえいこういとだいさんしゃ

防衛行為と第三者とは、急迫不正の侵害に対する防衛行為が、侵害者以外の第三者の法益に関わる場合の処理をいいます。侵害者が第三者の物を用い...

緊急避難の成立要件(現在の危難・補充性・法益の権衡)きんきゅうひなんのせいりつようけん

緊急避難とは、自己または他人の生命、身体、自由または財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為であって、生じた害が避けよ...

緊急避難の法的性格(違法性阻却説・責任阻却説・二分説)きんきゅうひなんのほうてきせいかく

緊急避難の法的性格とは、37条1項の緊急避難がなぜ罰せられないのかという問題です。違法性が阻却されるとする違法性阻却事由説、責任が阻却...

緊急避難の限界(過剰避難・自招危難・強要による緊急避難)きんきゅうひなんのげんかい

過剰避難とは、現在の危難を避けるための行為が、避けようとした害の程度を超える害を生じさせた場合をいい、情状により刑を減軽または免除する...

第5章

責任

責任能力(心神喪失・心神耗弱)せきにんのうりょく

責任能力とは、行為の是非善悪を弁識し、その弁識に従って行動する能力のことです。精神の障害により弁識能力又は制御能力がない状態を心神喪失...

責任能力の判断方法(精神鑑定と裁判所の判断)せきにんのうりょくのはんだんほうほう

責任能力の判断方法とは、被告人が心神喪失又は心神耗弱に当たるかどうかを、誰がどのような資料で判定するかという問題です。判例は、これを裁...

刑事未成年けいじみせいねん

刑事未成年とは、14歳に満たない者の行為を罰しないとする制度です。弁識能力や制御能力の有無を個別に調べず、行為の時の年齢だけで一律に責...

原因において自由な行為げんいんにおいてじゆうなこうい

原因において自由な行為とは、自ら飲酒や薬物の使用(原因行為)によって心神喪失又は心神耗弱の状態を招き、その状態で結果を生じさせる行為(...

違法性の意識と法律の錯誤いほうせいのいしきとほうりつのさくご

違法性の意識とは、自己の行為が法的に許されないものであると知っていることです。事実は正しく認識しながら、誤って自己の行為は違法でないと...

期待可能性きたいかのうせい

期待可能性とは、違法な行為をした行為者に、行為の時の具体的な事情の下で、適法な行為をすることを期待できたことをいいます。期待可能性がな...

第6章

未遂・中止犯・不能犯

未遂犯の処罰と刑みすいはんのしょばつとけい

未遂犯とは、犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった場合をいいます。未遂を罰するのは各本条に規定がある罪に限られ、刑は減軽することができ...

実行の着手じっこうのちゃくしゅ

実行の着手とは、犯罪の実行行為を開始することをいい、予備と未遂を分ける基準です。判例は、構成要件に該当する行為に密接な行為であって、結...

間接正犯・離隔犯の着手時期かんせつせいはんりかくはんのちゃくしゅじき

離隔犯とは、毒入りの飲食物を発送する場合のように、行為者の行為と結果の発生との間に時間的・場所的な隔たりがある犯罪です。他人を道具とし...

早すぎた構成要件の実現はやすぎたこうせいようけんのじつげん

早すぎた構成要件の実現とは、行為者が第1行為の後に行う第2行為によって結果を発生させる計画であったのに、第1行為から結果が発生してしま...

不能犯(具体的危険説と客観的危険説)ふのうはん

不能犯とは、行為者は犯罪を実現するつもりで行為をしたが、その行為に結果を発生させる危険性がないため、未遂犯として処罰されない場合をいい...

中止犯の減免根拠(政策説・違法減少説・責任減少説)ちゅうしはんのげんめんこんきょ

中止犯の減免根拠とは、自己の意思により犯罪を中止した者の刑が、なぜ必ず減軽又は免除されるのかという問題です。犯罪の中止を奨励する政策に...

中止行為(「中止した」の意義)ちゅうしこうい

中止行為とは、43条ただし書の「犯罪を中止した」に当たる行為のことです。実行行為が終わっていない段階では以後の実行を放棄すれば足り、実...

中止の任意性(「自己の意思により」)ちゅうしのにんいせい

中止の任意性とは、43条ただし書の「自己の意思により」犯罪を中止したといえることをいいます。やろうと思えばできたのにやめたかで判断する...

予備罪(予備の中止・予備の共同正犯・他人予備)よびざい

予備罪とは、特定の罪を犯す目的で、実行の着手より前の準備をする行為を処罰する罪です。殺人、強盗、放火など特に重大な罪についてだけ定めら...

第7章

共犯

間接正犯かんせつせいはん

間接正犯とは、他人を道具として利用することによって、自ら手を下したのと同じように犯罪を実現することです。事情を知らない者、意思を抑圧さ...

共謀共同正犯(共謀・正犯意思)きょうぼうきょうどうせいはん

共謀共同正犯とは、二人以上の者が特定の犯罪を行うことを共謀し、そのうちの一部の者が共謀に基づいて実行した場合に、実行行為を分担しなかっ...

共同正犯と幇助犯の区別(見張り)きょうどうせいはんとほうじょはんのくべつ

共同正犯と幇助犯の区別とは、犯罪に関与した者が、自己の犯罪を行った者として正犯になるのか、他人の犯罪を手助けした者として幇助犯にとどま...

教唆犯(間接教唆・再間接教唆)きょうさはん

教唆犯とは、人を教唆して犯罪を実行させた者をいい、正犯の刑が科されます。教唆とは、まだ犯罪を決意していない者を唆して、特定の犯罪を実行...

幇助犯(間接幇助)ほうじょはん

幇助犯とは、正犯を幇助した者、すなわち実行行為以外の方法で正犯の実行を容易にした者をいい、条文では従犯と呼ばれます。従犯の刑は、正犯の...

幇助の因果性と中立的行為による幇助ほうじょのいんがせいとちゅうりつてきこういによるほうじょ

幇助の因果性とは、幇助行為が正犯の実行を物理的又は心理的に容易にしたという関係のことで、幇助犯が成立するために必要です。中立的行為によ...

片面的共犯(片面的共同正犯・片面的幇助)へんめんてききょうはん

片面的共犯とは、関与者の一方だけが共同して実行する意思や手助けする意思を持ち、相手方はそのことを知らないまま犯罪が行われる場合をいいま...

共犯の従属性(実行従属性・要素従属性)きょうはんのじゅうぞくせい

共犯の従属性とは、教唆犯・幇助犯の成立が正犯の行為に依存するという性質のことです。正犯が実行に着手しなければ共犯は成立しないという実行...

共犯の処罰根拠(因果的共犯論・未遂の教唆)きょうはんのしょばつこんきょ

共犯の処罰根拠とは、自ら実行行為をしていない教唆犯や幇助犯がなぜ処罰されるのかという問題です。正犯者を犯罪に引き込んで処罰される状態に...

承継的共犯しょうけいてききょうはん

承継的共犯とは、先行者が犯罪の実行に着手した後、まだ終了しないうちに、後行者が先行者と意思を通じて途中から加わった場合に、後行者が加わ...

共犯関係の解消(離脱)と共犯の中止きょうはんかんけいのかいしょう

共犯関係の解消とは、共犯者の一部が犯罪の完成前に共犯関係から離脱し、それまでの自分の関与が及ぼした影響を取り除いたために、離脱後に他の...

共犯と身分きょうはんとみぶん

共犯と身分とは、公務員や他人の物の占有者のように一定の身分がなければ成立しない犯罪や、身分によって刑の重さが変わる犯罪に、身分のない者...

共犯と錯誤(共謀の射程・犯罪共同説と行為共同説)きょうはんとさくご

共犯と錯誤とは、共謀や教唆・幇助の内容と、他の共犯者が実際に実行した犯罪とが食い違った場合に、実行していない者にどの罪の共犯が成立する...

間接正犯と共犯の錯誤(関与形式間の錯誤)かんせつせいはんときょうはんのさくご

間接正犯と共犯の錯誤とは、他人を道具として利用するつもりだったのに相手が事情を知っていた場合や、唆すつもりだったのに相手が事情を知らな...

結果的加重犯の共同正犯けっかてきかじゅうはんのきょうどうせいはん

結果的加重犯の共同正犯とは、強盗や傷害といった基本となる犯罪を共謀した者が、共犯者の一人が生じさせた死傷などの重い結果についても、強盗...

過失犯の共同正犯かしつはんのきょうどうせいはん

過失犯の共同正犯とは、二人以上の者が共同の注意義務に共同して違反し、結果を生じさせた場合に、全員を過失犯の共同正犯とすることです。誰の...

不作為と共犯(不作為による幇助)ふさくいときょうはん

不作為と共犯とは、他人の犯罪を止める義務のある者がこれを止めなかった場合に、その者が正犯になるのか共犯になるのかという問題です。不作為...

必要的共犯(対向犯・片面的対向犯)ひつようてききょうはん

必要的共犯とは、構成要件が初めから二人以上の者の関与を予定している犯罪のことです。向かい合う立場の者の行為があって成り立つ犯罪を対向犯...

共同正犯と正当防衛・過剰防衛きょうどうせいはんとせいとうぼうえいかじょうぼうえい

共同正犯と正当防衛・過剰防衛とは、共同して反撃した者の一部にだけ正当防衛や過剰防衛の要件が備わる場合や、侵害が終わった後に一部の者だけ...

第8章

罪数・刑罰の適用

法条競合(特別関係・補充関係・吸収関係)ほうじょうきょうごう

法条競合とは、1個の行為が複数の構成要件に当たるように見えても、構成要件どうしの関係から1つの構成要件だけが適用され、1罪しか成立しな...

包括一罪(接続犯・集合犯・混合的包括一罪)ほうかついちざい

包括一罪とは、数個の行為や数個の法益侵害があっても、1つの構成要件で包括して評価し、1罪として扱う場合です。同じ罪名の行為をまとめる接...

不可罰的事後行為(共罰的事後行為)ふかばつてきじごこうい

不可罰的事後行為とは、ある罪が成立した後の行為が、その罪で既に評価されている違法状態に通常含まれ、新たな法益侵害を伴わないために、別罪...

観念的競合(「1個の行為」の意義)かんねんてききょうごう

観念的競合とは、1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合です。数個の罪が成立しますが、刑を科すうえでは1罪として扱われ、その最も重い刑に...

牽連犯とかすがい現象けんれんはんとかすがいげんしょう

牽連犯とは、犯罪の手段又は結果である行為が他の罪名に触れる場合です。数個の罪が成立しますが、その最も重い刑により処断されます(刑法54...

併合罪へいごうざい

併合罪とは、確定裁判を経ていない2個以上の罪です(刑法45条前段)。科刑上一罪にならない数罪をまとめて処断する制度で、2個以上の罪につ...

刑の種類(主刑と付加刑・拘禁刑・労役場留置)けいのしゅるい

主刑とは、それだけで独立して言い渡すことができる刑で、死刑・拘禁刑・罰金・拘留・科料の5種類です。付加刑とは、主刑に付け加える形でだけ...

処断刑の形成(加重減軽の順序・法律上の減軽・酌量減軽・累犯)しょだんけいのけいせい

処断刑とは、法定刑に法律上の加重・減軽と酌量減軽を加えて得られる刑の範囲で、裁判所はこの範囲内で言い渡す刑を決めます。同時に刑を加重し...

執行猶予(再度の猶予・取消し・保護観察・一部猶予)しっこうゆうよ

執行猶予とは、刑を言い渡すときに、情状により一定の期間その執行を猶予し、取り消されることなく期間を経過すれば刑の言渡しが効力を失う制度...

自首じしゅ

自首とは、罪を犯した者が、捜査機関に発覚する前に、自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し、その処分に委ねることです。自首したときは...

没収・追徴ぼっしゅうついちょう

没収とは、犯罪に関係する物の所有権を奪って国庫に帰属させる付加刑です(刑法19条)。追徴とは、犯罪行為によって得た物などを没収すること...

仮釈放・刑の時効・刑の消滅かりしゃくほうけいのじこうけいのしょうめつ

仮釈放とは、拘禁刑に処せられた者に改悛の状があるときに、刑期が満了する前に行政官庁の処分によって仮に釈放する制度です(刑法28条)。刑...

第9章

生命・身体に対する罪

殺人罪と自殺関与・同意殺人の区別さつじんざいとじさつかんよどういさつじんのくべつ

自殺関与とは、人を教唆し又は幇助して自殺させることをいい、同意殺人とは、人をその嘱託を受け又はその承諾を得て殺すことをいいます(202...

胎児と人の区別(堕胎の罪・胎児性傷害)たいじとひとのくべつ

胎児とは、母体から一部も露出していない段階の生命をいい、堕胎の罪の客体になります。母体から一部でも露出すれば「人」となり、殺人罪や傷害...

暴行の意義(暴行罪)ぼうこうのいぎ

暴行とは、暴行罪(208条)では、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときに、暴行...

傷害の意義と傷害罪の故意しょうがいのいぎとしょうがいざいのこい

傷害とは、人の生理的機能に障害を与えることをいいます。傷害罪(204条)は、傷害の故意がある場合のほか、暴行の故意で暴行を加えて傷害の...

同時傷害の特例どうじしょうがいのとくれい

同時傷害の特例とは、二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合に、それぞれの暴行による傷害の軽重や傷害を生じさせた者を知ることができないと...

現場助勢罪・凶器準備集合罪げんじょうじょせいざいきょうきじゅんびしゅうごうざい

現場助勢罪とは、傷害罪又は傷害致死罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けた者を、自ら人を傷害しなくても処罰する罪です(206条)...

遺棄の意義(単純遺棄と保護責任者遺棄)いきのいぎ

遺棄とは、場所的離隔を生じさせることにより、扶助を必要とする者を保護のない状態に置くことをいいます。保護する責任のない者による遺棄は単...

保護責任者・不保護と不作為の殺人との区別ほごせきにんしゃふほごとふさくいのさつじんとのくべつ

保護責任者とは、老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者をいい、不保護とは、これらの者の生存に必要な保護をしないことを...

過失致死傷の罪(過失傷害・自動車運転による死傷)かしつちししょうのつみ

過失致死傷の罪とは、過失により人を傷害し、又は死亡させる罪のことで、過失傷害罪(209条)、過失致死罪(210条)、業務上過失致死傷罪...

第10章

自由・私生活の平穏に対する罪

逮捕・監禁罪たいほかんきんざい

逮捕・監禁罪とは、不法に人を逮捕し、又は監禁する罪です(220条)。逮捕は人の身体を直接拘束すること、監禁は人を一定の区域場所から脱出...

脅迫罪・強要罪きょうはくざいきょうようざい

脅迫罪とは、本人又は親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫する罪です(222条)。強要罪とは、この脅...

略取・誘拐の罪の類型と親告罪りゃくしゅゆうかいのつみのるいけいとしんこくざい

略取・誘拐とは、人をその生活環境から離脱させ、自己又は第三者の事実的支配の下に置く行為です。暴行又は脅迫を手段とする場合が略取、欺罔又...

略取・誘拐の論点(親権者による連れ去り・安否を憂慮する者)りゃくしゅゆうかいのろんてん

略取・誘拐とは、人をその生活環境から離脱させ、自己又は第三者の事実的支配の下に置く行為です。親権者が他方の親権者の監護下にある子を連れ...

不同意わいせつ・不同意性交等の罪の構造ふどういわいせつふどういせいこうとうのつみのこうぞう

不同意わいせつとは、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ、又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行...

わいせつな行為と性的意図わいせつなこういとせいてきいと

わいせつな行為とは、不同意わいせつ罪(176条)が処罰する、性的な意味を持つ行為です。これに当たるかは、行為そのものが持つ性的性質の有...

不同意わいせつ等致死傷ふどういわいせつとうちししょう

不同意わいせつ等致死傷とは、不同意わいせつ罪・不同意性交等罪・監護者わいせつ罪・監護者性交等罪又はこれらの未遂罪を犯し、よって人を死傷...

住居侵入罪の保護法益と「侵入」じゅうきょしんにゅうざいのほごほうえきとしんにゅう

侵入とは、住居権者又は管理権者の意思に反して住居等に立ち入ることです。住居侵入罪(130条前段)は、住居等にだれを立ち入らせるかを決め...

住居・邸宅・建造物と囲繞地じゅうきょていたくけんぞうぶつといにょうち

囲繞地とは、建物に接してその周辺に存在し、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として建物利用のために供...

秘密を侵す罪(信書開封・秘密漏示)ひみつをおかすつみ

秘密を侵す罪とは、封をしてある信書を開ける信書開封罪(133条)と、医師や弁護士など一定の職にある者が業務上取り扱ったことについて知り...

第11章

名誉・信用・業務に対する罪

名誉毀損罪の保護法益と客体(法人・死者)めいよきそんざいのほごほうえきときゃくたい

名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損する罪です(230条1項)。保護法益は、人に対する社会的評価である外部的名誉です。

公然性と伝播性の理論こうぜんせいとでんぱせいのりろん

公然とは、不特定又は多数の人が認識することのできる状態をいいます。伝播性の理論とは、特定かつ少数の人に対する摘示であっても、そこから不...

侮辱罪(名誉毀損罪との区別・保護法益)ぶじょくざい

侮辱罪とは、事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱する罪です(231条)。具体的な事実を摘示して人の名誉を毀損する名誉毀損罪とは、判例に...

公共の利害に関する場合の特例(230条の2)こうきょうのりがいにかんするばあいのとくれい

公共の利害に関する場合の特例とは、名誉毀損罪に当たる行為が公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図ることにあったと認められ...

真実性の誤信しんじつせいのごしん

真実性の誤信とは、名誉毀損罪に当たる事実を摘示した者が、その事実を真実であると信じていたのに、真実であることの証明ができなかった場合を...

信用毀損罪しんようきそんざい

信用毀損罪とは、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損する罪です(233条前段)。信用とは、経済的な側面における人の社会...

業務妨害罪の「業務」と公務ぎょうむぼうがいざいのぎょうむとこうむ

業務とは、職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業をいいます。公務のうち、強制力を行使する権力的公務は業務妨害罪の...

偽計と威力の区別・妨害の意義ぎけいといりょくのくべつぼうがいのいぎ

偽計とは、人を欺き、又は人の錯誤や不知を利用することをいい、威力とは、人の意思を制圧するに足りる勢力をいいます。偽計を用いて業務を妨害...

親告罪の一覧しんこくざいのいちらん

親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない罪です。刑法では、名誉毀損罪、侮辱罪、器物損壊罪、過失傷害罪、未成年者略取・誘拐...

第12章

財産犯(窃盗・強盗)

財産犯の体系(領得罪と毀棄罪・1項犯罪と2項犯罪)ざいさんはんのたいけい

財産犯の体系とは、財産に対する罪を、不法領得の意思の有無で領得罪と毀棄罪に、客体が財物か財産上の利益かで1項犯罪と2項犯罪に分けて整理...

財物と財産上の利益ざいぶつとざいさんじょうのりえき

財物とは、窃盗罪などの客体となる有体物をいい、財産上の利益とは、債務の免脱や役務の提供のように財物以外の財産的利益の一切をいいます。財...

窃盗罪の保護法益(本権説と占有説)せっとうざいのほごほうえき

窃盗罪の保護法益とは、窃盗罪が何を守るために処罰しているのかという問題で、所有権その他の本権と考える本権説と、占有それ自体と考える占有...

占有の存否(窃盗と遺失物等横領の区別)せんゆうのそんぴ

占有の存否とは、領得された時点でその財物に誰かの事実上の支配が及んでいたかどうかという問題です。占有があれば窃盗罪が、誰の占有にも属さ...

死者の占有ししゃのせんゆう

死者の占有とは、人を死亡させた後にその人が身に付けていた財物を取った場合に、窃盗罪の客体となる占有がなお認められるかという問題です。判...

占有の帰属(上下主従・封緘物・共同占有)せんゆうのきぞく

占有の帰属とは、一つの財物に複数の人が関わっているときに、刑法上の占有が誰にあるかという問題です。占有が他人にあれば窃盗罪、行為者自身...

不法領得の意思(窃盗罪)ふほうりょうとくのいし

不法領得の意思とは、権利者を排除して他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い利用し又は処分する意思をいいます。窃盗罪などの領...

窃取と既遂時期(実行の着手・不動産侵奪を含む)せっしゅときすいじき

窃取とは、占有者の意思に反して財物の占有を侵害し、自己又は第三者の占有に移すことをいいます。占有を侵害する現実的な危険のある行為を始め...

親族相盗例しんぞくそうとうれい

親族相盗例とは、配偶者、直系血族又は同居の親族との間で窃盗罪・不動産侵奪罪を犯した者の刑を免除し、その他の親族との間で犯した場合を親告...

強盗罪の暴行・脅迫(反抗を抑圧するに足りる程度)ごうとうざいのぼうこうきょうはく

強盗罪の暴行・脅迫とは、財物を奪う手段として加えられる、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫をいいます。この程度に至らない...

強取と暴行後の領得意思ごうしゅとぼうこうごのりょうとくいし

強取とは、相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫を手段として、財物の占有を自己又は第三者に移すことをいいます。暴行・脅迫の後に財物を...

強盗利得罪(2項強盗)ごうとうりとくざい

強盗利得罪とは、相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫を用いて、財産上不法の利益を得、又は他人に得させる罪です(236条2項)。代金...

事後強盗罪(要件・窃盗の機会・既遂と未遂)じごごうとうざい

事後強盗罪とは、窃盗犯人が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために暴行又は脅迫をした場合に、強盗...

事後強盗罪と共犯じごごうとうざいときょうはん

事後強盗罪と共犯とは、窃盗に関与していない者が、窃盗犯人による238条の目的での暴行・脅迫にだけ加担した場合に、その者に事後強盗罪の共...

強盗致死傷罪(強盗の機会・故意ある場合・未遂)ごうとうちししょうざい

強盗致死傷罪とは、強盗の犯人が人を負傷させ、又は死亡させた場合に成立する罪です(240条)。殺意や傷害の故意がある強盗殺人・強盗傷人も...

強盗の罪の周辺類型(昏酔強盗・強盗予備・強盗不同意性交等)ごうとうのつみのしゅうへんるいけい

強盗の罪の周辺類型とは、236条の強盗のほかに刑法が定める、昏酔強盗罪(239条)、強盗予備罪(237条)、強盗・不同意性交等罪(24...

第13章

財産犯(詐欺・横領・背任ほか)

欺く行為(重要事項性・挙動と不作為)あざむくこうい

欺く行為とは、相手方が財物や財産上の利益を交付するかどうかを判断する基礎となる重要な事項を偽ることです。言葉でうそを言う場合のほか、挙...

処分行為と処分意思(無銭飲食・キセル乗車・三角詐欺)しょぶんこういとしょぶんいし

処分行為とは、欺かれた者が錯誤に基づいて、財物の占有や財産上の利益を自分の意思で相手方に移す行為です。処分意思とは、その移転を認識して...

詐欺罪の財産的損害さぎざいのざいさんてきそんがい

詐欺罪の財産的損害とは、欺かれて財物や利益を交付したことによって被害者に生じる財産上の不利益をいいます。判例は、相当な対価が支払われて...

クレジットカードの不正使用くれじっとかーどのふせいしよう

クレジットカードの不正使用とは、他人名義のカードを名義人に成り済まして使う行為や、支払う意思も能力もないのに自己名義のカードを使う行為...

預金の占有と誤振込み(銀行取引と財産犯)よきんのせんゆうとごふりこみ

預金の占有とは、預金口座にある金銭について誰が刑法上の占有を有するかという問題です。銀行の中やATMの中の現金は銀行が占有し、払戻権限...

詐欺罪の実行の着手と既遂時期さぎざいのじっこうのちゃくしゅときすいじき

詐欺罪の実行の着手とは、相手方に財物や利益を交付させることに向けた欺く行為を開始することをいい、判例は、交付を求める文言を述べる前でも...

電子計算機使用詐欺罪でんしけいさんきしようさぎざい

電子計算機使用詐欺罪とは、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報や不正な指令を与えて財産権の得喪・変更に係る不実の電磁的記録を作...

不法原因給付と財産犯ふほうげんいんきゅうふとざいさんはん

不法原因給付と財産犯とは、賄賂の資金や違法な取引の代金のように、不法な原因のために交付された財物・利益について、給付者が民法上その返還...

恐喝罪(強盗との区別・処分行為)きょうかつざい

恐喝罪とは、相手方の反抗を抑圧するに至らない程度の暴行または脅迫を加えて畏怖させ、その畏怖に基づいて財物を交付させ、または財産上不法の...

権利行使と恐喝けんりこうしときょうかつ

権利行使と恐喝とは、債権者が債務者を脅して弁済を受けた場合のように、正当な権利を持つ者が恐喝の手段を用いてその権利を実現したときに、恐...

横領罪の「占有」と委託信任関係おうりょうざいのせんゆうといたくしんにんかんけい

横領罪の「占有」とは、物に対する事実上の支配に加えて、登記名義や預金名義のような法律上の支配を含む、濫用のおそれのある支配力をいいます...

横領罪の「他人の物」(金銭・二重譲渡・所有権留保)おうりょうざいのたにんのもの

横領罪の「他人の物」とは、行為者以外の者の所有に属する物をいいます。使途を定めて預かった金銭は委託者の所有に属し、売却済みで登記だけが...

横領行為と不法領得の意思おうりょうこういとふほうりょうとくのいし

横領行為とは、自己の占有する他人の物について、不法領得の意思を実現する一切の行為をいいます。横領罪における不法領得の意思とは、他人の物...

横領後の横領おうりょうごのおうりょう

横領後の横領とは、委託を受けて占有する他人の物について、無断で抵当権を設定するなどの横領行為をした後に、同じ物をさらに無断で売却するな...

業務上横領罪と共犯(65条の適用)ぎょうむじょうおうりょうざいときょうはん

業務上横領罪と共犯とは、業務上他人の物を占有する者の横領行為に、占有者でも業務者でもない者が加わった場合に、その者にどの罪の共犯が成立...

遺失物等横領罪いしつぶつとうおうりょうざい

遺失物等横領罪とは、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領する罪です。誰の占有にも属していない他人の物や、委託によらずに偶然自...

背任罪の主体(他人の事務処理者・二重抵当)はいにんざいのしゅたい

背任罪の主体とは、「他人のためにその事務を処理する者」、つまり他人との信任関係に基づいて、その他人の財産上の事務を本人に代わって処理す...

任務違背・図利加害目的・財産上の損害にんむいはいとりかがいもくてきざいさんじょうのそんがい

任務違背とは、他人の事務を処理する者が、信任関係に基づいて誠実に事務を処理すべき任務に背く行為をすることです。図利加害目的とは、自己も...

横領罪と背任罪の区別おうりょうざいとはいにんざいのくべつ

横領罪と背任罪の区別とは、他人の事務を処理する者が、自己の占有する本人の物を不正に処分した場合に、どちらの罪が成立するかという問題です...

盗品等関与罪の罪質と客体とうひんとうかんよざいのざいしつときゃくたい

盗品等関与罪とは、盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を、譲り受け、運搬し、保管し、またはその有償の処分のあっせん...

盗品等関与罪の行為類型(譲受け・運搬・保管・有償処分あっせん)とうひんとうかんよざいのこういるいけい

盗品等関与罪の行為類型とは、刑法256条が定める、無償譲受け、運搬、保管、有償譲受け、有償の処分のあっせんの五つの行為をいいます。無償...

本犯と盗品等関与罪の関係・親族等の間の特例(257条)ほんぱんととうひんとうかんよざいのかんけいしんぞくとうのあいだのとくれい

本犯と盗品等関与罪の関係とは、窃盗などの本犯に関わった者に、その盗品についての盗品等関与罪が重ねて成立するかという問題で、本犯の正犯・...

毀棄・損壊の意義ききそんかいのいぎ

毀棄・損壊とは、文書や建造物、その他の物について、その効用を害する一切の行為をいうとするのが判例です。物理的に壊す行為に限られず、隠す...

毀棄・隠匿の罪の類型(客体と親告罪)ききいんとくのつみのるいけい

毀棄・隠匿の罪とは、他人の物の効用を害する行為を処罰する罪の総称で、客体に応じて、公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊罪、...

第14章

公共の安全・信用に対する罪

現住建造物・現在建造物(現住性の判断)げんじゅうけんぞうぶつげんざいけんぞうぶつ

現住建造物とは、現に人が住居に使用している建造物をいい、現在建造物とは、現に人がいる建造物をいいます。どちらの「人」も犯人以外の者を指...

建造物の一体性(複合建造物・不燃性建造物)けんぞうぶつのいったいせい

建造物の一体性とは、複数の建物や区画から成る建造物について、その全体を一個の現住建造物と扱えるかという問題です。判例は、延焼可能性を中...

焼損(既遂時期)しょうそん

焼損とは、放火罪の既遂時期を画する概念で、判例は、火が媒介物を離れて目的物に燃え移り、目的物が独立して燃焼を継続する状態に達したことを...

公共の危険(意義と認識の要否)こうきょうのきけん

公共の危険とは、不特定又は多数の人の生命、身体又は財産に対する危険をいいます。自己所有の非現住建造物等放火罪(109条2項)と建造物等...

放火罪の類型・自己所有物の特例・着手と罪数ほうかざいのるいけいじこしょゆうぶつのとくれいちゃくしゅとざいすう

放火罪の類型とは、客体が現住建造物等か非現住建造物等かそれ以外の物か、他人所有か自己所有かによって、108条・109条1項・109条2...

延焼罪・失火罪・消火妨害罪えんしょうざいしっかざいしょうかぼうがいざい

延焼罪とは、自己所有物に対する放火罪(109条2項・110条2項)を犯し、その結果として108条・109条1項の物などに燃え移らせた場...

往来を妨害する罪おうらいをぼうがいするつみ

往来を妨害する罪とは、道路・鉄道・航路といった公衆の交通の安全を害する罪の総称で、往来妨害罪(124条)、往来危険罪(125条)、汽車...

通貨偽造の罪つうかぎぞうのつみ

通貨偽造の罪とは、通貨に対する公共の信用を保護するため、行使の目的で通貨を偽造・変造する行為、偽造通貨を行使・交付・輸入・収得する行為...

文書偽造の罪の体系(公文書と私文書・有印と無印・印章偽造)ぶんしょぎぞうのつみのたいけい

文書偽造の罪とは、文書に対する公共の信用を保護するために、公文書・私文書の偽造、変造、虚偽作成、行使などを処罰する罪の総称です。公文書...

文書の意義(写し・コピー・偽造の程度と変造)ぶんしょのいぎ

文書とは、文字又はこれに代わる符号を用いて、ある程度持続する状態で物体の上に表示された、人の意思又は観念の表示であって、名義人を認識で...

有形偽造と無形偽造(名義人と作成者)ゆうけいぎぞうとむけいぎぞう

有形偽造とは、作成権限のない者が他人の名義を冒用して文書を作成することをいい、判例は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽るこ...

名義人の承諾めいぎにんのしょうだく

名義人の承諾とは、他人が自分の名義で文書を作成することを、名義人があらかじめ認めることをいいます。承諾があれば原則として偽造になりませ...

名義の冒用(通称・偽名・肩書・代理代表名義)めいぎのぼうよう

名義の冒用とは、作成権限がないのに他人の名義を用いて文書を作成することをいいます。通称・偽名、肩書・資格、代理・代表名義を用いた場合は...

公文書偽造と作成権限(補助公務員)こうぶんしょぎぞうとさくせいけんげん

公文書偽造とは、作成権限がないのに、公務所又は公務員の名義で、公務所又は公務員の作成すべき文書を作ることをいいます。作成権限のある公務...

虚偽公文書作成罪と間接正犯きょぎこうぶんしょさくせいざいとかんせつせいはん

虚偽公文書作成罪とは、公文書の作成権限を持つ公務員が、その職務に関し、行使の目的で、内容の虚偽な公文書を作成する罪をいいます。作成権限...

公正証書原本不実記載等罪こうせいしょうしょげんぽんふじつきさいとうざい

公正証書原本不実記載等罪とは、公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利・義務に関する公正証書の原本や、免状、鑑札、旅...

私文書偽造の客体と虚偽診断書作成しぶんしょぎぞうのきゃくたいときょぎしんだんしょさくせい

私文書偽造の客体とは、他人名義の文書のうち、権利、義務又は事実証明に関する文書をいいます。虚偽診断書作成とは、医師が、公務所に提出すべ...

行使の意義(偽造文書・有価証券)こうしのいぎ

行使とは、偽造文書・偽造有価証券を真正なものとして使用することをいい、偽造文書では、その内容を他人に認識させ、又は認識できる状態に置く...

有価証券偽造の罪ゆうかしょうけんぎぞうのつみ

有価証券偽造の罪とは、行使の目的で、手形、小切手、株券などの有価証券を偽造・変造し、又は有価証券に虚偽の記入をする罪と、偽造などがされ...

電磁的記録・支払用カードに関する罪でんじてききろくしはらいようかーどにかんするつみ

電磁的記録・支払用カードに関する罪とは、人の事務処理に使われる電磁的記録を不正に作る罪(電磁的記録不正作出罪)と、クレジットカードやキ...

わいせつ物頒布等の罪・公然わいせつ罪わいせつぶつはんぷとうのつみこうぜんわいせつざい

わいせつ物頒布等の罪とは、わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体などを頒布し、公然と陳列し、又は有償で頒布する目的で所持する罪...

賭博の罪とばくのつみ

賭博とは、偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為をいいます。賭博の罪には、単純賭博罪、常習賭博罪、賭博場開張等図利罪、富く...

死体損壊・遺棄罪したいそんかいいきざい

死体損壊・遺棄罪とは、死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得する罪をいいます。遺棄とは、習俗上の埋葬等とは認め...

第15章

国家的法益に対する罪

公務執行妨害罪の「職務」と「執行するに当たり」こうむしっこうぼうがいざいのしょくむとしっこうするにあたり

職務とは、公務執行妨害罪(刑法95条1項)では、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてをいいます。「執行するに当たり」とは、具体...

職務の適法性(要件・判断基準・錯誤)しょくむのてきほうせい

職務の適法性とは、公務執行妨害罪で保護される公務員の職務が適法なものでなければならないという、条文に書かれていない構成要件要素です。抽...

公務執行妨害罪の暴行・脅迫(間接暴行)こうむしっこうぼうがいざいのぼうこうきょうはく

暴行とは、公務執行妨害罪(刑法95条1項)では、公務員に向けられた不法な有形力の行使をいい、公務員の身体に直接加えられるものに限られま...

強制執行妨害・封印破棄・競売等妨害の罪きょうせいしっこうぼうがいふういんはきけいばいとうぼうがいのつみ

強制執行妨害とは、強制執行を受ける財産を隠したり、執行の行為や売却を偽計・威力で妨げたりして、強制執行の適正な実施を害する行為です。刑...

逃走の罪とうそうのつみ

逃走の罪とは、法令により拘禁された者が逃走し、又は他人がこれを逃走させることで、国の拘禁作用を害する罪です。逃走(97条)、加重逃走(...

犯人蔵匿等罪の客体(「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」)はんにんぞうとくとうざいのきゃくたい

犯人蔵匿等罪の客体とは、刑法103条が定める「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者」です。判例は、「罪を犯した者」に...

蔵匿・隠避の意義(身代わり出頭・参考人の虚偽供述)ぞうとくいんぴのいぎ

蔵匿とは、官憲による発見・逮捕を免れるための場所を提供してかくまうことです。隠避とは、蔵匿以外の方法により、官憲による発見・逮捕を免れ...

犯人による蔵匿・隠避・証拠隠滅・偽証の教唆はんにんによるぞうとくいんぴしょうこいんめつぎしょうのきょうさ

犯人による蔵匿・隠避・証拠隠滅・偽証の教唆とは、犯人が他人を唆して、自己をかくまわせ、自己の刑事事件の証拠を隠滅させ、又は自己の事件で...

証拠隠滅等罪(他人の刑事事件・偽造・証人等威迫)しょうこいんめつとうざい

証拠隠滅等罪とは、他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用する罪です(刑法104条...

親族による犯罪に関する特例(105条)しんぞくによるはんざいにかんするとくれい

親族による犯罪に関する特例とは、犯人蔵匿等罪(刑法103条)と証拠隠滅等罪(104条)について、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の...

偽証罪(「虚偽の陳述」の意義)ぎしょうざい

偽証罪とは、法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をする罪です(刑法169条)。「虚偽の陳述」の意義については、証人の記憶に反する陳述をい...

虚偽告訴等罪きょぎこくそとうざい

虚偽告訴等罪とは、人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をする罪です(刑法172条)。ここでの「虚偽」...

刑の減免の特例一覧けいのげんめんのとくれいいちらん

刑の減免の特例とは、犯罪が成立することを前提に、一定の事情がある場合に刑を減軽し、又は免除することを定めた各則の規定です。解放による減...

職権濫用の罪しょっけんらんようのつみ

職権濫用の罪とは、公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害する罪(公務員職権濫用罪・193条)と、...

賄賂罪の保護法益と「賄賂」の意義わいろざいのほごほうえきとわいろのいぎ

賄賂とは、公務員の職務に対する対価としての不正な利益をいい、金銭や物品に限らず、有形無形を問わず、人の需要・欲望を満たす一切の利益を含...

職務関連性(一般的職務権限・職務密接関連行為・転職)しょくむかんれんせい

職務関連性とは、収賄罪の成立に必要な、賄賂が公務員の「その職務に関し」て授受されたという関係をいいます。現に具体的に担当している事務で...

収賄罪の類型と贈賄罪しゅうわいざいのるいけいとぞうわいざい

収賄罪とは、公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をする罪です。単純収賄罪を基本に、受託収賄・事前収賄・第三...

賄賂の没収・追徴わいろのぼっしゅうついちょう

賄賂の没収・追徴とは、犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂を没収し、その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴す...

刑法を肢別で解く

用語で読んだ論点を、過去問の肢でそのまま確かめられます。無料プランは月100問まで。