表示に関する登記の申請義務(1か月)ひょうじにかんするとうきのしんせいぎむ
表題登記や表題部の変更・滅失の登記を、所有者が事由の発生から1か月以内に申請しなければならないとする不動産登記法上の義務です。どの登記に義務があり、どの登記にはないか、怠ったときの過料がいくらかが肢で突かれます。
表示に関する登記の申請義務は、不動産の物理的な状況を登記記録に正しく反映させるために、所有者に表題登記や変更・滅失の登記の申請を義務づける仕組みです。土地の表題登記は36条、地目・地積の変更は37条、土地の滅失は42条が根拠です。建物の表題登記は47条、合体は49条、建物の変更は51条、建物の滅失は57条が根拠で、いずれも事由の発生から1か月以内と定めています。権利に関する登記は本来任意ですが、表示に関する登記は国が不動産を把握するための登記なので、古くから義務とされてきました。肢で突かれるのは義務の有無と期間、過料の額、令和6年以降の権利の登記の義務との違いです。
不動産登記法 第47条(建物の表題登記の申請)
新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。

表題登記は所有権の取得の日から1か月以内に申請します
新たに生じた土地や表題登記がない土地の所有権を取得した者は、取得の日から1か月以内に表題登記を申請する義務を負います。建物を新築した者や区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者も同じです。建物の新築なら完成して所有権を取得した日が起算点です。区分建物では新築した者だけでなく、その相続人も被承継人を表題部所有者とする表題登記を申請できる定めです。区分建物以外の建物が表題登記がないまま売買されたときは、買主が改めて1か月以内の義務を負います。区分建物の取得者にはこの義務はなく、新築した者の側の一括申請で処理される仕組みです。
変更・滅失・合体の登記にも1か月の義務があります
地目や地積の変更、建物の種類・構造・床面積などの変更、附属建物の新築、土地や建物の滅失、建物の合体には、いずれも事由の発生から1か月以内の申請義務があります。義務者は表題部所有者または所有権の登記名義人で、共用部分である旨の登記がある建物では所有者、合体では表題登記がない建物の所有者も含まれます。変更があった後に所有者になった者は、原則として自分についての更正の登記または所有権の登記があった日から1か月以内に申請します。
分筆・合筆・更正・分割・区分・合併には申請義務がありません
分筆や合筆、建物の分割・区分・合併は所有者の意思で登記記録の単位を変える登記なので、申請義務はなく、申請できる者を表題部所有者または所有権の登記名義人に限る規定があるだけです。相続人などの一般承継人もこれらを申請でき、共用部分である旨の登記がある建物の分割・区分は所有者が申請します。表題部の更正の登記も同じで、地積が初めから誤っていても1か月以内に直す義務はありません。義務があるのは事実の発生に伴う登記、ないのは所有者の選択による登記と覚えると、肢の入れ替えに対応できます。
怠ると10万円以下の過料で、権利の登記の義務とは期間が違います
表示に関する登記の申請義務を正当な理由なく怠った者は、10万円以下の過料に処せられます。令和6年4月1日に施行された相続登記の申請義務は、相続による所有権の取得を知った日から3年以内で、正当な理由なく怠れば同じく10万円以下の過料です。令和8年4月1日に施行された住所等の変更の登記の申請義務は、変更の日から2年以内で、過料の上限は5万円です。1か月と10万円、3年と10万円、2年と5万円という三組を分けて覚えます。
官公署の嘱託や登記官の職権でも表示に関する登記はされます
表示に関する登記は当事者の申請のほか、官公署の嘱託や登記官の職権でもされます。河川区域内の土地になったときは河川管理者が嘱託し、一筆の一部が別地目になったときは登記官が職権で分筆します。職権で登記がされても、所有者が申請義務を果たしていなかったこと自体は消えません。登記官は申請を怠った者を把握したときに裁判所へ通知し、過料の裁判は裁判所がします。土地家屋調査士に依頼する期限の目安として、1か月という期間は実務でも意識されている数字です。
不動産登記法 第164条(過料)
第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
第七十六条の五の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、五万円以下の過料に処する。
試験ではこう問われる
- 表題登記の申請期限はいつまでか(所有権の取得の日から1か月以内)
- 地目変更・床面積の変更・滅失の登記に申請義務はあるか(ある。事由の発生から1か月以内)
- 分筆・合筆・地積更正・建物の分割に申請義務はあるか(ない)
- 表示に関する登記の申請を怠ったときの過料はいくらか(10万円以下)
- 相続登記と住所等変更登記の申請義務の期間と過料はどうか(3年以内・10万円以下、2年以内・5万円以下)
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