建物の滅失登記たてもののめっしつとうき
建物が取壊しや焼失で物理的になくなったときに、その建物の登記記録を閉鎖するためにする表示に関する登記です。誰が1か月以内に申請するか、抵当権者の承諾は要るか、一部滅失や元から無い建物との区別が肢で突かれます。
建物の滅失登記は、建物が取壊しや災害で物理的に存在しなくなったときに、表題部の登記事項を抹消して登記記録を閉鎖する表示に関する登記です。不動産登記法57条により、表題部所有者または所有権の登記名義人が滅失の日から1か月以内に申請しなければならず、土地が滅失したときも42条が同じ義務を定めています。建物がなくなれば所有権も抵当権も客体を失って消えるので、権利の登記の抹消を別に申請することはありません。肢で突かれるのは、申請人と義務、担保権者の承諾の要否、滅失と変更・抹消の区別です。
不動産登記法 第57条(建物の滅失の登記の申請)
建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。

滅失の日から1か月以内に所有者が申請する義務があります
表題部所有者または所有権の登記名義人は、建物の滅失の日から1か月以内に滅失の登記を申請しなければなりません。共用部分である旨の登記がある建物では所有者が申請人です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。添付情報は代理申請なら代理権限証明情報で、取壊し証明書や罹災証明書は登記官の調査のために実務で添える資料です。登録免許税はかかりません。
登記記録は閉鎖され、抵当権者の承諾は要りません
滅失の登記がされると、登記官は表題部の登記事項を抹消する記号を記録して登記記録を閉鎖します。甲区と乙区の権利の登記も記録ごと閉鎖されるので、抵当権の抹消の登記を申請する必要はありません。建物がなくなった事実を公示する登記なので、抵当権者や差押債権者の承諾を証する情報は添付情報ではなく、承諾がなくても申請できる扱いです。建物がない以上、抵当権を存続させる余地がないからです。滅失した建物が他の不動産と共同担保になっていたときは、登記官が共同担保目録にその旨を記録する扱いです。
所有権の登記名義人が死亡していれば相続人がそのまま申請できます
表題部所有者または所有権の登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人や承継会社がその表示に関する登記を申請できます。登記名義人を相続人に改める相続登記を前置する必要はなく、戸籍などで相続を証する情報を添えて相続人が滅失の登記を申請します。相続人が複数いても保存行為として一人から申請できると扱われています。登記識別情報も印鑑証明書も要りません。表示に関する登記には登記義務者がいないので、権利の登記のような本人確認の添付情報が付かないのが原則です。
一部が壊れただけなら滅失ではなく床面積の変更の登記です
建物の一部を取り壊して残りを使い続けるなら、建物は存在しているので滅失の登記ではなく、床面積や構造が変わったことによる表題部の変更の登記を申請します。附属建物だけを取り壊したときも、主である建物の表題部から附属建物の表示を消す変更の登記です。逆に主である建物を取り壊して附属建物だけが残ったときは、附属建物を主である建物とする変更の登記で登記記録を残します。建物としての効用を失ったかどうかが滅失の登記と変更の登記の境目で、残骸が残っていても独立した建物といえなければ滅失です。
初めから存在しない建物の登記は滅失ではなく表題部の抹消です
登記はあるが現地に建物が存在せず、過去に取り壊されたことも確認できるなら滅失の登記です。他方で、二重に表題登記がされていた場合や、初めから建物が存在しなかった場合は、滅失ではなく錯誤を原因とする表題登記の抹消で登記記録を閉鎖する扱いです。利害関係人は登記官に職権による滅失の登記を促す申出ができ、登記官は実地調査のうえで職権で滅失の登記をすることができます。
不動産登記法 第30条(一般承継人による申請)
表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。
試験ではこう問われる
- 滅失の登記の申請義務者と期間はどうか(表題部所有者か所有権の登記名義人が滅失の日から1か月以内)
- 抵当権の登記がある建物の滅失の登記に抵当権者の承諾は要るか(要らない)
- 所有権の登記名義人が死亡しているとき、相続登記を前置せずに相続人が滅失の登記を申請できるか(できる)
- 建物の一部を取り壊したときは滅失の登記か(違う。床面積などの変更の登記)
- 初めから存在しない建物の登記はどう消すか(錯誤による表題登記の抹消。滅失ではない)
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