申請情報しんせいじょうほう
登記を申請するときに登記所に提供する、申請人・登記の目的・登記原因・不動産の表示・登記事項などの情報で、書面申請では申請書がこれに当たります。何を申請情報の内容にでき、何はできないかが肢で突かれます。
申請情報は、不動産登記法18条が登記の申請に当たって登記所に提供するよう求める情報で、不動産を識別する事項、申請人の氏名、登記の目的のほか、政令で定める事項をいいます。不動産登記令3条が内容を列挙し、申請人と代理人の表示、代位の旨、登記の目的、登記原因とその日付、不動産の表示、権利に関する登記の登記事項などが並びます。書面申請では申請書そのものが申請情報で、電子申請では送信するデータがこれに当たるものです。登記官は申請情報の内容を登記記録と照らして審査し、法令の方式に合わない不備が相当の期間内に補正されなければ却下します。肢で突かれるのは、何を申請情報の内容にできるか、何は内容にできないかという線引きです。
不動産登記法 第18条(申請の方法)
登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。
一 法務省令で定めるところにより電子情報処理組織(登記所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この号において同じ。)と申請人又はその代理人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法
二 申請情報を記載した書面(法務省令で定めるところにより申請情報の全部又は一部を記録した磁気ディスクを含む。)を提出する方法

申請人・目的・原因・不動産・登記事項の順に並びます
申請人の氏名または名称と住所、法人なら代表者の氏名、代理人によるときは代理人の表示、代位によるときは代位者である旨と代位原因が先頭に来ます。続いて登記の目的、登記原因とその日付、土地や建物の表示が並び、権利に関する登記では申請人が権利者や義務者でないときにその表示が加わります。登記識別情報を提供できないときはその理由も申請情報の内容です。添付情報の表示、申請の年月日、登記所の表示、課税価格と登録免許税の額も申請情報に含まれます。
公示できる定めだけが申請情報になります
利息の定めとして「年1.5 %。ただし,将来の金融情勢に応じ債権者において利率を適宜変更できるものとする」旨を申請情報の内容とする抵当権の設定の登記を申請できるとする肢は誤りで、登記記録から利率が定まらない定めは登記事項になりません。賃借権の賃料を「甲土地,乙土地合計金何円」として2筆を合わせて定めることも、不動産ごとの登記記録で賃料が読めないので申請情報の内容にできず、できるとする肢は誤りです。他方、賃料の定めを「乙土地を使用収益する」とすることはでき、質権設定契約書に違約金の定めがあればその定めを質権の登記事項として申請情報の内容にできるとする肢は正しい肢です。
申請人や債務者の表示には実体に合った名義を書きます
権利能力なき社団が債務者になる抵当権の設定では、「債務者としてA社団の名称を申請情報の内容とすることができる」という肢のとおり、債務者は登記名義人ではないので社団の名称で足ります。不在者の財産管理人が賃貸人になる賃借権の設定では、「管理人Bの設定した賃借権」と書いて処分の権限を有しない者が設定した旨を示す必要があり、これを求める肢は正しい肢です。外国会社を債務者とするときに日本における営業所の所在地まで申請情報の内容としなければならないとする肢は誤りで、本店の所在地を書けば足ります。受託者が二人以上の信託では受託者の持分を書かず、「A及びBの持分を申請情報の内容とすることを要しない」という肢は正しい肢です。
省略や援用も申請情報に書いて初めて効きます
同じ登記所に同時に二つ以上の申請をするとき、共通する添付情報を一つの申請に添えたら、「当該添付情報を当該一の申請の申請情報と併せて提供した旨を他の申請の申請情報の内容としなければならない」という肢のとおり、他の申請情報にその旨が要ります。不動産番号を申請情報の内容にすると、所在や地番などの不動産の表示を省略できます(敷地権の種類や割合は省略できません)。添付情報の登記事項証明書までは省略できず、「当該登記事項証明書の提供を省略することができる」という肢は誤りです。抹消された登記の回復では、「当該賃借権の設定の登記の登記事項を申請情報の内容としなければならない」という肢のとおり、回復する登記の登記事項を書き直す必要があるわけです。
不動産登記令 第3条(申請情報)
登記の申請をする場合に登記所に提供しなければならない法第十八条の申請情報の内容は、次に掲げる事項とする。
一 申請人の氏名又は名称及び住所
二 申請人が法人であるときは、その代表者の氏名
三 代理人によって登記を申請するときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名
四 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請するときは、申請人が代位者である旨、当該他人の氏名又は名称及び住所並びに代位原因
五 登記の目的
六 登記原因及びその日付(所有権の保存の登記を申請する場合にあっては、法第七十四条第二項の規定により敷地権付き区分建物について申請するときに限る。)
七 土地の表示に関する登記又は土地についての権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる事項
イ 土地の所在する市、区、郡、町、村及び字
ロ 地番(土地の表題登記を申請する場合、法第七十四条第一項第二号又は第三号に掲げる者が表題登記がない土地について所有権の保存の登記を申請する場合及び表題登記がない土地について所有権の処分の制限の登記を嘱託する場合を除く。)
ハ 地目
ニ 地積
八 建物の表示に関する登記又は建物についての権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる事項
イ 建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
ロ 家屋番号(建物の表題登記(合体による登記等における合体後の建物についての表題登記を含む。)を申請する場合、法第七十四条第一項第二号又は第三号に掲げる者が表題登記がない建物について所有権の保存の登記を申請する場合及び表題登記がない建物について所有権の処分の制限の登記を嘱託する場合を除く。)
ハ 建物の種類、構造及び床面積
ニ 建物の名称があるときは、その名称
ホ 附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積
ヘ 建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積(トに掲げる事項を申請情報の内容とする場合(ロに規定する場合を除く。)を除く。)
ト 建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称
九 表題登記又は権利の保存、設定若しくは移転の登記(根質権、根抵当権及び信託の登記を除く。)を申請する場合において、表題部所有者又は登記名義人となる者が二人以上であるときは、当該表題部所有者又は登記名義人となる者ごとの持分
十 法第三十条の規定により表示に関する登記を申請するときは、申請人が表題部所有者又は所有権の登記名義人の相続人その他の一般承継人である旨
十一 権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる事項
イ 申請人が登記権利者又は登記義務者(登記権利者及び登記義務者がない場合にあっては、登記名義人)でないとき(第四号並びにロ及びハの場合を除く。)は、登記権利者、登記義務者又は登記名義人の氏名又は名称及び住所
ロ 法第六十二条の規定により登記を申請するときは、申請人が登記権利者、登記義務者又は登記名義人の相続人その他の一般承継人である旨
ハ ロの場合において、登記名義人となる登記権利者の相続人その他の一般承継人が申請するときは、登記権利者の氏名又は名称及び一般承継の時における住所
ニ 登記の目的である権利の消滅に関する定め又は共有物分割禁止の定めがあるときは、その定め
ホ 権利の一部を移転する登記を申請するときは、移転する権利の一部
ヘ 敷地権付き区分建物についての所有権、一般の先取特権、質権又は抵当権に関する登記(法第七十三条第三項ただし書に規定する登記を除く。)を申請するときは、次に掲げる事項
ト 所有権の保存若しくは移転の登記を申請するとき又は所有権の登記がない不動産について所有権の処分の制限の登記を嘱託するときは、次に掲げる事項
十二 申請人が法第二十二条に規定する申請をする場合において、同条ただし書の規定により登記識別情報を提供することができないときは、当該登記識別情報を提供することができない理由
十三 前各号に掲げるもののほか、別表の登記欄に掲げる登記を申請するときは、同表の申請情報欄に掲げる事項
試験ではこう問われる
- 申請情報の内容として何を書くか(申請人・代理人・目的・原因日付・不動産の表示・登記事項・添付情報の表示など)
- 債権者が利率を適宜変更できる利息の定めや2筆合計の賃料は申請情報にできるか(できない)
- 権利能力なき社団の名称を債務者として書けるか(書ける)
- 不動産番号を申請情報の内容にすれば登記事項証明書の提供を省略できるか(できない。省略できるのは不動産の表示)
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