登記官とうきかん
登記所に勤務する法務事務官のうち法務局・地方法務局の長が指定した者で、登記所の事務を取り扱います。除斥、審査と却下、本人確認、職権による更正など、登記官が何をしなければならず何ができるかが肢で突かれます。
登記官は、不動産登記法9条が定める、登記所に勤務する法務事務官のうちから法務局または地方法務局の長が指定する者で、登記所における事務を取り扱います。申請があれば提供された申請情報と添付情報を登記記録と照らして審査し、不備があれば補正を求め、補正されなければ25条の決定で却下します。申請の権限を疑う理由があれば24条の本人確認をし、登記が完了すれば登記完了証を交付し、申請人自らが登記名義人になる登記では登記識別情報も通知します。申請がなくても、表示に関する登記や一定の抹消・更正・保存は職権で行う例外です。肢で突かれるのは、登記官に義務づけられていることと裁量に委ねられていることの区別です。
不動産登記法 第9条(登記官)
登記所における事務は、登記官(登記所に勤務する法務事務官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が取り扱う。

自分や親族が申請人の登記はできません
不動産登記法10条は、登記官またはその配偶者や四親等内の親族が登記の申請人であるときは、その登記官は当該登記をすることができないと定めます。配偶者や親族であった者も含まれ、「登記官の配偶者であった者が登記の申請人であるときは,当該登記官は,当該申請に係る登記をすることができる」という肢は誤りです。親族が申請人を代表して申請するときも同じで、除斥された登記官に代わって同じ登記所の別の登記官が処理します。公正らしさを保つための仕組みなので、現在の親族か過去の親族かで区別しない点が肢の狙い目です。
審査は提供された情報で行い、疑いがあれば本人確認をします
登記官は規則57条により申請に関するすべての事項を遅滞なく調査しますが、権利に関する登記では実体関係を独自に捜査する権限はなく、申請情報と添付情報と登記記録で判断します。表示に関する登記では29条により不動産を検査し、関係者に文書の提示を求め、質問をする調査ができます。農地法の許可を欠く判決による移転の登記について、「農地法所定の許可がないことのみをもって当該申請が却下されるわけではないですが,登記官は,その登記の申請がされた旨を,関係農業委員会に通知します」という解答は正しい肢です。申請人以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があるときは、24条により出頭を求め、質問し、文書の提示を求めて申請の権限を調べます。遠隔の地に住む申請人について「他の登記所の登記官に当該申請人の申請の権限の有無の調査を嘱託しなければならない」という肢は誤りで、嘱託は「できる」にとどまります。
不備は補正を待ち、補正がなければ決定で却下します
25条の却下事由に当たる申請でも、補正できる不備なら登記官が定めた相当の期間内の補正を待ち、補正されれば却下しません。却下は理由を付した決定でし、申請人自らが電子申請をしたときも「登記官は,書面により決定書を作成して,申請人ごとにこれを交付しなければならない」という肢のとおり書面で交付します。登記官の処分に不服がある者は、その登記官を監督する法務局または地方法務局の長への審査請求が救済の道です。却下の決定書も審査請求の相手も、登記官を基準に決まるという整理になります。
自分の過誤による錯誤や遺漏は許可を得て職権で更正します
権利に関する登記に錯誤や遺漏を発見した登記官は、67条1項により遅滞なくその旨を登記権利者と登記義務者に通知します。錯誤や遺漏が前任者を含む登記官の過誤によるときは、監督する法務局または地方法務局の長の許可を得て職権で更正し、利害関係人がいればその承諾があるときに限ります。「職権による登記の抹消については,法務局又は地方法務局の長の許可を得る必要はありませんが,職権による登記の更正については,その登記官を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得なければなりません」という解答は正しい肢です。第三者の承諾を得ずに「職権による登記の抹消又は更正をすることができます」という解答は誤りで、更正では承諾が要ります。更正をした後は権利者と義務者に更正した旨を通知し、「職権による登記の更正については,それらの者に対して登記の更正をした旨を通知します」という解答も正しい肢です。
不動産登記法 第24条(登記官による本人確認)
登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、次条の規定により当該申請を却下すべき場合を除き、申請人又はその代表者若しくは代理人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請の権限の有無を調査しなければならない。
登記官は、前項に規定する申請人又はその代表者若しくは代理人が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に同項の調査を嘱託することができる。
試験ではこう問われる
- 登記官は誰が指定するか(法務局または地方法務局の長。登記所に勤務する法務事務官から)
- 除斥されるのは誰が申請人のときか(登記官本人、配偶者、四親等内の親族。であった者を含む)
- 本人確認で他の登記所への嘱託は義務か(義務ではなく、遠隔地などで相当と認めるときにできる)
- 職権更正に要るものは何か(監督する局長の許可。利害関係人がいればその承諾。更正後は通知)
- 却下の決定はどんな形でするか(理由を付した決定。電子申請でも決定書は書面で交付)
この用語が問われた肢
登記官の配偶者であった者が登記の申請人であるときは,当該登記官は,当該申請に係る登記をすることができる。
登記官が,登記の申請において提供された添付情報から,登記の申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合において,当該申請人又はその代表者若しくは代理人が遠隔の地に居住しているときは,登記官は,他の登記所の登記官に当該申請人の申請の権限の有無の調査を嘱託しなければならない。
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