表題部所有者ひょうだいぶしょゆうしゃ
所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に、所有者として記録されている者です。誰が所有権の保存の登記を申請できるか、表題部所有者から買った人はどうするかが肢で突かれます。
表題部所有者は、所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に所有者として記録されている者です。表題登記で所有者として記録された人で、所有権の保存の登記をして初めて権利部の甲区に所有権の登記名義人として載ります。表題部所有者は登記名義人ではないので登記識別情報の通知を受けず、表題部所有者の氏名や住所の変更は権利に関する登記ではなく表示に関する登記の手続で直します。所有権の保存の登記を申請できる者は不動産登記法74条が限定し、その筆頭が表題部所有者またはその相続人その他の一般承継人です。肢で突かれるのは、表題部所有者から権利を取得した人がどこまで保存の登記を申請できるかです。
不動産登記法 第2条第1項第10号表題部所有者 所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に、所有者として記録されている者をいう。

保存を申請できるのは表題部所有者と一般承継人です
所有権の保存の登記は、表題部所有者またはその相続人その他の一般承継人、所有権を有することが確定判決で確認された者、収用で所有権を取得した者に限って申請できます。「表題部所有者以外の者は、いかなる場合も所有権の保存の登記を申請することができない」という肢は誤りです。相続人は一般承継人として自分の名義で保存の登記ができますが、死因贈与の受贈者は特定承継人なので、「Aから死因贈与を受けた社会福祉法人Bは,社会福祉法人Bを登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる」という肢は誤りです。株式会社が合同会社に組織変更した場合は法人の同一性が保たれるので、組織変更を証する情報を提供して「所有者 A合同会社」とする保存の登記ができ、できないとする肢は誤りです。
相続人は亡くなった表題部所有者の名義でも保存できます
表題部所有者が生前に不動産を売っていた場合、買主は74条の申請人ではないので、相続人がまず亡くなった表題部所有者の名義で保存の登記をし、そこから買主へ移転の登記をします。「Aが生前に相続人以外のBに対して甲建物を売却していた場合には,Aの相続人Cは,Aを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。共有の表題部所有者A・Bがともに死亡し、Aの相続人がC、Bの相続人がDのときは、「Cは,単独で,C及び亡Bを登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる」という肢のとおり、保存行為として一方の相続人が全員の名義で申請できます。逆に、相続人の一人が「自己の相続分についてのみ相続による所有権の保存の登記を申請することができる」という肢は誤りで、保存の登記は所有権の全部についてします。
表題部の持分を直さずに別の持分では保存できません
共有の表題部所有者の持分が実際と違っていたときは、表題部所有者の持分の更正の登記をしてから保存の登記をします。「表題部所有者の持分の更正の登記を申請することなく,当該変更後のA及びBの持分で,A及びBを登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる」という肢は誤りです。表題部所有者が自分の名義で申請する保存の登記は表題部の記録を前提に甲区へ写すものなので、持分が食い違ったままでは申請できません。
区分建物では直接の取得者だけが保存できます
区分建物に限り、表題部所有者から所有権を取得した者も保存の登記を申請できます。敷地権付き区分建物なら敷地権の登記名義人の承諾が要り、申請情報の内容に登記原因とその日付が加わります。「敷地権の登記名義人の承諾を得て表題部所有者から所有権を取得した者が所有権の保存の登記を申請する場合には、その登記の原因を「保存」とすることができる」という肢は誤りで、原因は売買などの取得原因です。直接の取得者に限られるので、「AからBへ、BからCへと順次売却された場合には,Cは,当該区分建物について自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる」という肢は誤りです。表題部所有者の相続人から買った場合も同じで、「Cは、自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することはできない」という肢は正しい肢です。
確認判決は表題部所有者の全員を相手にします
所有権を有することが確定判決で確認された者も保存の登記を申請できますが、その判決は表題部所有者を相手にしたものでなければなりません。表題部所有者が二人いるのに一方だけを被告にした場合、「CがAを被告として,Cが甲建物の所有権を有することを確認する旨の確定判決を得たときは,Cは,自己を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる」という肢は誤りです。表題部所有者が死亡していれば、その相続人を被告にした確認判決で足り、権利能力なき社団の旧代表者の相続人を被告にした判決で買主が保存の登記をできるとする肢は正しい肢です。
不動産登記法 第74条第1項所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。
一 表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人
二 所有権を有することが確定判決によって確認された者
三 収用(土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律の規定による収用をいう。第百十八条第一項及び第三項から第五項までにおいて同じ。)によって所有権を取得した者
試験ではこう問われる
- 表題部所有者から死因贈与や売買で取得した人が自分名義で保存の登記を申請できるか(できない。区分建物の直接取得者を除く)
- 表題部所有者が生前に売っていたとき相続人は誰の名義で保存の登記をするか(亡くなった表題部所有者の名義)
- 共有の表題部所有者の持分が違っていたらどうするか(持分の更正の登記をしてから保存)
- 敷地権付き区分建物の74条2項の保存の登記原因は何か(売買などの取得原因。「保存」ではない)
- 表題部所有者の一人だけを被告にした確認判決で保存の登記ができるか(できない)
この用語が問われた肢
Aを表題部所有者とする甲建物について、Aが生前に相続人以外のBに対して甲建物を売却していた場合には、Aの相続人Cは、Aを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
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