登記記録とうききろく
一筆の土地または一個の建物ごとに作られる電磁的記録で、表題部と権利部に分かれます。登記記録に何が載っていれば申請できるか、載っている記録と申請の内容が食い違うとどうなるかが肢で突かれます。
登記記録は、表示に関する登記または権利に関する登記について、一筆の土地または一個の建物ごとに作成される電磁的記録です。不動産登記法12条により表題部と権利部に区分して作られ、権利部はさらに甲区と乙区に分かれます。登記記録を集めた帳簿が登記簿で、現在は磁気ディスクで調製されます。登記官は申請の内容を登記記録と照らして審査するので、登記記録に載っている事実と申請の前提が食い違えば、その申請は通りません。肢で突かれるのは、登記記録に残っている権利や住所の扱いと、記録の閉鎖や回復の場面です。
不動産登記法 第2条第1項第5号登記記録 表示に関する登記又は権利に関する登記について、一筆の土地又は一個の建物ごとに第十二条の規定により作成される電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をいう。

一筆・一個ごとの記録で、表題部と権利部に分かれます
登記記録は土地なら一筆ごと、建物なら一個ごとに作られ、不動産ごとに独立した記録です。表題部には不動産の物理的な状態が、権利部には所有権とそれ以外の権利が記録されます。申請情報も原則として一の不動産ごとに作成するので、登記記録の単位と申請の単位は原則として一致するわけです。分筆や合筆をすると、登記記録そのものが分かれたり閉じられたりします。
記録上に残る権利は抹消しなければ無視できません
登記記録に残っている権利は、実体法上は消えていても、抹消の登記をするまで登記の上では存在します。「地上権の設定の登記がされている土地について,その登記記録上,当該地上権の存続期間が満了している場合は,当該登記を抹消することなく,当該土地に,重ねて別個の地上権の設定の登記を申請することができる」という肢は誤りです。存続期間の満了は登記記録から読めますが、登記官が勝手に消えたものとして扱うことはなく、先に抹消の登記が要ります。
所有権の義務者の住所が記録と違えば変更の登記が先です
所有権の登記名義人が義務者になる申請で住所が登記記録と違うときは、同一人かどうかを登記官が確かめられないので、前提として登記名義人の住所の変更の登記を申請します。抵当権の抹消の義務者である抵当権者の住所の変更のように、変更を証する情報の提供で前提の登記を省ける場合もあります。「判決による所有権の移転の登記を申請する場合において,登記義務者である被告の現在の住所が住所の移転により登記記録上の住所と相違しているときは,判決書正本に被告の現在の住所とともに登記記録上の住所が併記されているときであっても,前提として所有権の登記名義人の住所についての変更の登記を申請しなければならない」という肢は正しい肢です。死亡した遺贈者の住所が生前の移転で登記記録と違う場合も同じで、「遺贈を原因とする所有権の移転の登記を申請する前提として,遺贈者であるAの住所の変更の登記の申請をしなければならない」という肢も正しい肢に当たります。
表題部の日付より前の原因日付でも申請できます
表題部の新築年月日は表示に関する登記の事項で、建物がその日より前から存在していた可能性を否定するものではありません。「所有権の保存の登記がされている建物について,当該建物の登記記録の表題部に記録された新築年月日の前日を登記原因の日付とする抵当権の設定の登記を申請することはできない」という肢は誤りになります。登記記録と申請情報の食い違いで却下されるのは、不動産や登記の目的である権利が合致しない場合や、登記義務者の氏名・住所が合致しない場合です。表題部の日付と原因日付の前後関係はそれに当たりません。
保存の登記を抹消しても表題部所有者がいれば閉鎖されません
表題部所有者の記録があった不動産の所有権の保存の登記を錯誤で抹消したときは、登記記録を閉鎖するのではなく、登記官が職権で表題部所有者の表示を回復します。「敷地権付き区分建物について,表題部所有者から所有権を取得した者の名義でされた所有権の保存の登記を錯誤により抹消したときは,登記官は,その登記記録を閉鎖することなく,職権で表題部所有者の表示を回復する」という肢は正しい肢です。相続人名義の保存の登記を錯誤で抹消したときに「登記官は,当該建物の登記記録を閉鎖しなければならない」という肢は誤りです。表題登記のない建物に確認判決で保存の登記をした場合のように、表題部所有者の記録がなかったときは、登記実務では抹消により登記記録が閉鎖される扱いです。合筆や建物の滅失でも登記記録は閉鎖されます。
不動産登記法 第12条(登記記録の作成)
登記記録は、表題部及び権利部に区分して作成する。
試験ではこう問われる
- 登記記録上は存続期間が満了している地上権を抹消せずに別の地上権を設定できるか(できない)
- 登記義務者の現在の住所が登記記録と違うとき、判決書に併記があれば住所変更の登記を省けるか(省けない)
- 表題部の新築年月日より前の日を原因日付とする抵当権設定の登記を申請できるか(できる)
- 所有権の保存の登記を錯誤で抹消すると登記記録は閉鎖されるか(表題部所有者がいれば閉鎖されず表示が回復される)
この用語が問われた肢
判決による所有権の移転の登記を申請する場合において,登記義務者である被告の現在の住所が住所の移転により登記記録上の住所と相違しているときは,判決書正本に被告の現在の住所とともに登記記録上の住所が併記されているときであっても,前提として所有権の登記名義人の住所についての変更の登記を申請しなければならない。
所有権の登記名義人であるAが死亡した場合において,生前の住所移転によりAの登記記録上の住所と最後の住所とが異なっているときは,遺贈を原因とする所有権の移転の登記を申請する前提として,遺贈者であるAの住所の変更の登記の申請をしなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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