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建物の分割・区分・合併たてもののぶんかつ・くぶん・がっぺい

不動産登記 第11章 表示に関する登記 過去問で4肢

附属建物を独立させる分割の登記、建物の部分を区分建物にする区分の登記、建物を他の建物の附属建物にしたり区分建物同士を一個にしたりする合併の登記です。土地の分筆・合筆との対応と、申請人の資格、合併の制限が肢で突かれます。

建物の分割・区分・合併は、建物の登記記録の単位を組み替える三つの表示に関する登記です。分割の登記は附属建物を登記記録上別の一個の建物にし、区分の登記は建物の部分で区分建物に当たるものを登記記録上区分建物にします。合併の登記は建物を他の建物の附属建物にするか、接続する区分建物同士を一個の建物にするものです。不動産登記法54条がこの三つを定義して申請できる者を表題部所有者または所有権の登記名義人に限っており、土地でいう分筆と合筆に当たる登記です。肢で突かれるのは申請人と義務の有無、合併の制限です。

不動産登記法 第54条第1項

次に掲げる登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
一 建物の分割の登記(表題登記がある建物の附属建物を当該表題登記がある建物の登記記録から分割して登記記録上別の一個の建物とする登記をいう。以下同じ。)
二 建物の区分の登記(表題登記がある建物又は附属建物の部分であって区分建物に該当するものを登記記録上区分建物とする登記をいう。以下同じ。)
三 建物の合併の登記(表題登記がある建物を登記記録上他の表題登記がある建物の附属建物とする登記又は表題登記がある区分建物を登記記録上これと接続する他の区分建物である表題登記がある建物若しくは附属建物に合併して一個の建物とする登記をいう。以下同じ。)

母屋と物置の模型を持つ家族。職員が物置を切り離し、反対側では隣り合う部屋の模型を一つに押し合わせている
分割は附属建物を独立させ、区分は部分を区分建物にし、合併は建物を一つにまとめる登記です
申請人は所有者のみ・義務なし合併の制限は56条分割・区分後も抵当権は共同担保

分割は附属建物を独立させ、区分は建物の一部を区分建物にします

物置を附属建物として登記していた住宅で、物置だけを別に売りたいときは、分割の登記で物置を独立した一個の建物にします。分割後の建物には新しい登記記録が作られ、元の建物の権利に関する登記が転写されます。二世帯住宅の各階が構造上独立していて別々に住めるなら、区分の登記で各階を区分建物にでき、区分前の建物の登記記録は閉鎖されて各区分建物に新しい登記記録が作られます。どちらも建物の現況は変わらず、登記記録の切り方だけが変わる登記です。

合併には附属合併と区分合併があり、合筆と同じ型の制限があります

合併の登記には、独立した建物を他の建物の附属建物にする附属合併と、接続する区分建物同士を一個の建物にする区分合併があります。共用部分である旨の登記がある建物、所有者や持分が相互に異なる建物、所有権の登記の有無が違う建物、所有権等の登記以外の権利の登記がある建物は合併できません。所有権以外の権利の登記があっても合併できる例外は、受付番号などが同一の担保権の登記と登記事項が同一の信託の登記だけです。土地の合筆の制限と並べると、接続と地目・地番区域の要件が建物では別の形になっている点が違いです。

申請人は所有者に限られ、申請義務はありません

分割、区分、合併の登記は表題部所有者または所有権の登記名義人以外の者は申請できず、共用部分である旨の登記がある建物の分割と区分は所有者が申請します。所有者の都合で登記記録を組み替える登記なので、表題登記や変更の登記のような1か月以内の申請義務はなく、過料の対象にもなりません。添付情報は分割後・区分後・合併後の建物を表示した建物図面と各階平面図で、所有権の登記がある建物の合併には登記識別情報と印鑑証明書を提供します。共用部分である旨の登記がある建物の分割・区分では所有者を証する情報も要ります。登録免許税は所有権の登記がある建物に限って課され、分割・区分・合併後の建物1個につき1,000円です。

分割・区分の後も抵当権は両方の建物に残り、承諾で片方を消せます

抵当権の登記がある建物を分割または区分すると、抵当権は分割後・区分後の両方の建物を目的とする共同担保になり、共同担保目録が作られる仕組みです。分筆に伴う権利の消滅の登記の規定が準用される場面です。申請情報と併せて抵当権者が一方の建物について抵当権を消滅させることを承諾した情報を提供すれば、登記官がその建物について抵当権が消滅した旨を登記します。抵当権を目的とする転抵当権者などがいるときは、その者の承諾も要ります。

区分建物になると一棟の建物の表示が登記事項に加わります

区分の登記がされると、各区分建物の表題部には専有部分の表示のほかに一棟の建物の所在、構造、床面積、名称が記録されます。権利の登記を申請するときも一棟の建物の表示を記載しますが、「区分建物の所有権の移転の登記を申請する場合において、当該建物が属する一棟の建物の名称を申請情報として提供したときは、当該建物が属する一棟の建物の構造及び床面積を申請情報として提供することを要しない」という肢は正しい肢です。一棟の中に共用部分である旨の登記がある建物があっても、その種類・構造・床面積を専有部分の移転の登記の申請情報に書く必要はなく、書かなければならないとする肢は誤りです。

不動産登記法 第56条第1項

次に掲げる建物の合併の登記は、することができない。
一 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の合併の登記
二 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる建物の合併の登記
三 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする建物の合併の登記
四 所有権の登記がない建物と所有権の登記がある建物との建物の合併の登記
五 所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物(権利に関する登記であって、合併後の建物の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある建物を除く。)の建物の合併の登記

試験ではこう問われる

  1. 建物の分割・区分・合併の登記を申請できるのは誰で、申請義務はあるか(表題部所有者か所有権の登記名義人。義務はない)
  2. 所有者や持分が違う建物、所有権の登記の有無が違う建物は合併できるか(できない)
  3. 抵当権の登記がある建物を分割すると抵当権はどうなるか(両方の建物の共同担保。承諾で一方について消滅の登記)
  4. 区分建物の権利の登記で一棟の建物の構造と床面積は名称で代えられるか(代えられる)
  5. 建物の合併の制限で所有権以外の権利の登記があっても合併できる例外は何か(受付番号などが同一の担保権と登記事項が同一の信託)

この用語が問われた肢

R8 問17 ウ正しい

区分建物の所有権の移転の登記を申請する場合において、当該建物が属する一棟の建物の名称を申請情報として提供したときは、当該建物が属する一棟の建物の構造及び床面積を申請情報として提供することを要しない。

R6 問21 エ誤り

敷地権付き区分建物が属する一棟の建物に共用部分である旨の登記がされた建物がある場合において、売買を原因とする当該区分建物の所有権の移転の登記を申請するときは、当該共用部分である旨の登記のされた建物の種類、構造及び床面積を申請情報の内容としなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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