附属書類の閲覧ふぞくしょるいのえつらん
申請書や添付書面など登記簿の附属書類のうち、図面は何人も、それ以外は正当な理由がある者と自己を申請人とする登記の申請人が閲覧できる仕組みです。令和5年4月1日の改正で要件が「利害関係」から「正当な理由」に変わったことが肢で突かれます。
附属書類の閲覧は、登記所に保管される申請書・添付書面・図面などの登記簿の附属書類を見せてもらう手続で、不動産登記法121条が定めます。土地所在図や地積測量図などの図面は何人も写しの交付と閲覧を請求できますが、申請書や登記原因証明情報などそれ以外の書類には個人情報が多く含まれるので、閲覧できる者が絞られています。令和5年4月1日に施行された改正で、従来の「利害関係を有する部分」という要件が「正当な理由があると認められる部分」に改められ、申請人自身は理由なしに閲覧できる定めも置かれました。肢で突かれるのは、この施行日前後の要件の違いと、図面とそれ以外の書類の扱いの差です。
不動産登記法 第121条(登記簿の附属書類の写しの交付等)
何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記簿の附属書類(電磁的記録を含む。以下同じ。)のうち政令で定める図面の全部又は一部の写し(これらの図面が電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付を請求することができる。
何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記簿の附属書類のうち前項の図面(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの。次項において同じ。)の閲覧を請求することができる。
何人も、正当な理由があるときは、登記官に対し、法務省令で定めるところにより、手数料を納付して、登記簿の附属書類(第一項の図面を除き、電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの。次項において同じ。)の全部又は一部(その正当な理由があると認められる部分に限る。)の閲覧を請求することができる。
前項の規定にかかわらず、登記を申請した者は、登記官に対し、法務省令で定めるところにより、手数料を納付して、自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類の閲覧を請求することができる。
第百十九条第三項から第五項までの規定は、登記簿の附属書類について準用する。

図面は何人も写しの交付と閲覧を請求できます
登記簿の附属書類のうち政令で定める図面は、土地所在図・地積測量図・地役権図面・建物図面・各階平面図などで、何人も手数料を納めて写しの交付と閲覧を請求できます。図面は不動産の物理的な形状を示すもので、公示の対象になじむからです。図面の写しの交付の請求は登記事項証明書と同じく管轄外の登記所に対しても可能ですが、閲覧は管轄の登記所でします。申請書や委任状、印鑑証明書などは写しの交付の対象にならず、閲覧だけが認められるにすぎないのです。
図面以外の書類は正当な理由がある部分に限って閲覧できます
図面以外の附属書類は、正当な理由があるときに、その理由があると認められる部分に限って閲覧を請求できます。請求情報に閲覧の目的と正当な理由を書き、その理由を証する書面を提示し、登記官に求められれば提出します。登記実務では、隣地との境界を確かめるために過去の分筆の申請書を見る場合が正当な理由の例として扱われています。相続人が被相続人のした登記の申請書を確かめる場合や、申請人の承諾書がある場合も同じで、取引の相手方が経緯を知りたいというだけでは正当な理由に当たりません。令和5年4月1日より前は「利害関係を有する部分」が要件で、利害関係の意味が狭く解されていたため、改正で閲覧できる範囲の考え方が整理されました。
自分が申請人になった登記の附属書類は理由なしに閲覧できます
登記を申請した者は、自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類を、正当な理由を示さずに閲覧できます。請求するときは、閲覧する附属書類が自己を申請人とする登記のものである旨を証する書面を提示します。登記権利者と登記義務者が共同で申請した登記なら、どちらの側も申請人としてその申請書と添付書面を閲覧できます。自分が出した書類を後から確かめる道を確保するための定めで、令和5年4月1日の改正で新たに置かれました。
閲覧は登記官の面前で行い、映像と音声による方法も認められています
附属書類の閲覧は、不動産登記規則202条により登記官またはその指定する職員の面前でさせるのが原則です。正当な理由による閲覧と申請人自身の閲覧については、請求人から申出があって登記官が相当と認めるときは例外があります。電子計算機を使い、映像と音声の送受信で相互に状態を認識しながら通話する方法で閲覧させることができ、登記所に出向かなくても構いません。法人が請求するときは代表者の資格を証する書面を提示しますが、会社法人等番号を請求情報の内容とすれば省くことが可能です。代理人によるときは代理権限を証する書面の提示も欠かせません。閲覧できるのは正当な理由があると認められる部分に限られるので、請求書には見たい書類を具体的に特定し、理由との対応が分かるように記載しておくと手続が滞りません。
不動産登記規則 第193条(登記事項証明書の交付の請求情報等)
登記事項証明書、登記事項要約書、地図等の全部若しくは一部の写し(地図等が電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面。以下この条において同じ。)又は土地所在図等の全部若しくは一部の写し(土地所在図等が電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面。以下この条において同じ。)の交付の請求をするときは、次に掲げる事項を内容とする情報(以下この章において「請求情報」という。)を提供しなければならない。地図等又は登記簿の附属書類の閲覧の請求をするときも、同様とする。
一 請求人の氏名又は名称
二 不動産所在事項又は不動産番号
三 交付の請求をする場合にあっては、請求に係る書面の通数
四 登記事項証明書の交付の請求をする場合にあっては、第百九十六条第一項各号(同条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる登記事項証明書の区分
五 登記事項証明書の交付の請求をする場合において、共同担保目録又は信託目録に記録された事項について証明を求めるときは、その旨
六 地図等又は土地所在図等の一部の写しの交付の請求をするときは、請求する部分
七 送付の方法により登記事項証明書、地図等の全部若しくは一部の写し又は土地所在図等の全部若しくは一部の写しの交付の請求をするときは、その旨及び送付先の住所
法第百二十一条第三項又は第四項の規定により土地所在図等以外の登記簿の附属書類の閲覧の請求をするときは、前項第一号及び第二号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を請求情報の内容とする。
一 請求人の住所
二 請求人が法人であるときは、その代表者の氏名
三 代理人によって請求するときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名
四 法第百二十一条第三項の規定により土地所在図等以外の登記簿の附属書類の閲覧の請求をするときは、閲覧する部分及び当該部分を閲覧する正当な理由
五 法第百二十一条第四項の規定により土地所在図等以外の登記簿の附属書類の閲覧の請求をするときは、閲覧する附属書類が自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類である旨
前項第四号の閲覧の請求をするときは、同号の正当な理由を証する書面を提示しなければならない。この場合において、登記官から求めがあったときは、当該書面又はその写しを登記官に提出しなければならない。
第二項第五号の閲覧の請求をするときは、同号の閲覧する附属書類が自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類である旨を証する書面を提示しなければならない。この場合において、登記官から求めがあったときは、当該書面又はその写しを登記官に提出しなければならない。
第二項の閲覧の請求をする場合において、請求人が法人であるときは、当該法人の代表者の資格を証する書面を提示しなければならない。ただし、当該法人の会社法人等番号をも請求情報の内容としたときは、この限りでない。
第二項の閲覧の請求を代理人によってするときは、当該代理人の権限を証する書面を提示しなければならない。ただし、支配人等が法人を代理して同項の閲覧の請求をする場合において、当該法人の会社法人等番号をも請求情報の内容としたときは、この限りでない。
法人である代理人によって第二項の閲覧の請求をする場合において、当該代理人の会社法人等番号をも請求情報の内容としたときは、当該代理人の代表者の資格を証する書面を提示することを要しない。
試験ではこう問われる
- 地積測量図の写しの交付は誰が請求できるか(何人も)
- 申請書や委任状を閲覧するのに要る要件は何か(正当な理由。令和5年4月1日施行。以前は利害関係)
- 自分が申請人になった登記の附属書類の閲覧に正当な理由は要るか(要らない)
- 附属書類の閲覧はどこで行うか(登記官の面前。映像と音声による方法も可)
- 申請書や委任状の写しの交付を請求できるか(できない。閲覧のみ)
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