商号しょうごう
会社の名称で、株式会社などの種類を示す文字を含めなければならず、会社法911条3項2号の登記事項です。使える文字と使えない文字、設立前の商号の変更に定款の再認証が要ること、商号変更の登記の決議と登録免許税が肢で突かれます。
商号は、会社法6条1項により会社の名称のことです。同条2項により株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の種類に従ってその文字を商号中に用い、同条3項により他の種類の会社と誤認されるおそれのある文字は使えません。会社でない者は会社法7条により会社と誤認される文字を使えず、会社法8条は不正の目的で他の会社と誤認される商号を使うことを禁じます。商号は株式会社では会社法27条2号の定款の絶対的記載事項で、会社法911条3項2号の登記事項です。肢で突かれるのは、商号に使える文字、設立の途中で商号を変える手続、商号変更の登記の決議要件と登録免許税です。
会社法 第6条(商号)
会社は、その名称を商号とする。
会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。
会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

ローマ字やアラビア数字も使え、会社の種類の文字は必ず入れます
平成14年11月1日から、商業登記規則50条1項により商号にローマ字その他法務大臣が指定する符号を使えるようになりました。漢字・ひらがな・カタカナのほか、ローマ字・アラビア数字と、アンパサンド・アポストロフィ・コンマ・ハイフン・ピリオド・中点が使えます。符号は字句を区切るときに限り、ピリオドだけは省略を表すものとして末尾にも使えます。株式会社の文字は商号の前でも後でも中でもよく、「株式会社コウ」も「コウ株式会社」も登記できます。銀行や信託のように法律で使用が制限される文字を含む商号は、商業登記法24条13号により却下されます。
設立前の商号の変更は定款を作り直して再び認証を受けます
会社法30条2項により、公証人の認証を受けた定款は会社の成立前には原則として変更できません。発起人が商号を変えたいときは、変更後の定款を作って改めて認証を受けます。「公証人の認証を受けた定款に記載された商号を発起人の全員の同意により変更し,当該変更を明らかにした書面に発起人全員が記名押印した上で公証人の認証を受けたときは,変更後の定款に基づき設立の登記の申請をすることができる」という肢は正しい肢です。募集設立では会社法96条により創立総会で定款を変更できます。決議は会社法73条1項により、議決権を行使できる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した設立時株主の議決権の3分の2以上の賛成です。「議決権の 3 分の 2 を有する設立時株主が出席し,出席した当該設立時株主の議決権の 3 分の 2 に当たる多数をもって商号を変更する旨の定款変更の創立総会の決議をしたとき」に変更後の商号で設立の登記を申請できるとする肢は、議決権の過半数に達していないので誤りです。
商号変更の登記は特別決議の議事録を添えて登録免許税3万円です
株式会社では成立後の商号の変更は定款の変更なので、株主総会の特別決議の議事録と株主リストを添付します(持分会社は総社員の同意を証する書面です)。登記すべき事項は「令和○年○月○日変更 商号 ○○株式会社」で、登録免許税は登記事項の変更として3万円です。資本金の額が増えない吸収合併による変更の登記も同じ3万円の区分なので、商号変更と一の申請書で申請しても合計は3万円です。「吸収合併に際してA社の資本金の額が増加せず,かつ,その効力の発生と同時にA社の商号を変更する場合において,A社の吸収合併による変更の登記と商号の変更の登記を一の申請書で申請するときは,登録免許税の額は 3 万円である」という肢は正しい肢です。新設分割の設立の登記と同時に申請する商号の譲渡人の債務に関する免責の登記は別の区分なので、それぞれの税額を合計します。
商号と本店の変更は現在事項証明書に直前のものが載ります
商号を変えると、登記記録では従前の商号に抹消する記号が付き、新しい商号が記録されます。商業登記規則30条1項1号により、現在事項証明書には現に効力を有する事項に加えて、商号と本店の変更について直前のものも記載されます。「現在事項証明書には、会社の商号及び本店の登記の変更に係る事項で現に効力を有するものの直前のものも記載される」という肢は正しい肢です。取引の相手方が旧商号で会社を探せるようにするための例外で、役員の変更などの直前の事項は履歴事項証明書で見ます。
会社の商号は単独で譲渡できず、譲渡の登記もありません
商法15条1項により商人の商号は営業とともにするか営業を廃止するときに限って譲渡でき、商業登記法30条がその登記を定めます。会社については商業登記法34条2項が30条1項と2項の適用を除外しているので、会社の商号の譲渡の登記という手続はありません。会社の商号が変わる場面は、定款変更による商号変更か、合併や会社分割で事業とともに商号を引き継いで変更の登記をする場面です。会社法22条2項の商号を続用する譲受会社が譲渡会社の債務を負わない旨の免責の登記は、商業登記法31条により譲受人が譲渡人の承諾書を添えて申請します。
商業登記規則 第50条(商号の登記に用いる符号)
商号を登記するには、ローマ字その他の符号で法務大臣の指定するものを用いることができる。
前項の指定は、告示してしなければならない。
試験ではこう問われる
- 商号にローマ字や符号を使えるか(使える。平成14年11月1日から)
- 設立前に商号を変えるにはどうするか(変更後の定款に改めて公証人の認証)
- 創立総会の定款変更の決議要件は何か(総議決権の過半数かつ出席した設立時株主の議決権の3分の2以上)
- 資本金が増えない合併と商号変更を一の申請書で申請したときの登録免許税はいくらか(3万円)
- 現在事項証明書に直前の商号は載るか(載る)
この用語が問われた肢
当該設立が募集設立である場合において、議決権を行使することができる設立時株主の議決権の 3 分の 2 を有する設立時株主が出席し、出席した当該設立時株主の議決権の 3 分の 2 に当たる多数をもって商号を変更する旨の定款変更の創立総会の決議をしたときは、設立の登記の申請書に、当該創立総会の議事録を添付して、変更後の商号による設立の登記の申請をすることができる。
【問】最後に、新設分割による設立の登記と同時に、新設分割設立会社が新設分割会社の債務を弁済する責任を負わない旨の商号の譲渡人の債務に関する免責の登記を申請する場合には、登録免許税はどのように計算しますか。 それぞれの登記に係る登録免許税額を合計します。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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