同一商号・同一本店の禁止どういつしょうごうどういつほんてんのきんし
他人が既に登記した商号と同一の商号を、その本店の所在場所と同一の場所を本店として登記することはできないという商業登記法27条の規制です。表記が違えば同一でないこと、みなし解散した休眠会社の商号も対象になること、類似商号の規制は廃止されたことが肢で突かれます。
同一商号・同一本店の禁止は、商業登記法27条の規制です。商号が他人の既に登記した商号と同一で、かつ本店の所在場所もその登記の本店の所在場所と同一であるときは、商号の登記ができません。平成18年5月1日の会社法施行前は、同一市町村内で同一の営業のために他人が登記した商号と類似する商号を登記できない類似商号の規制がありました。現在は本店の所在場所まで同一の場合だけが審査の対象で、違反する申請は商業登記法24条12号により却下され、似た商号の争いは会社法8条や不正競争防止法で裁判所が扱います。肢で突かれるのは、同一かどうかの判断基準と、どの会社の登記が審査の対象になるかです。
商業登記法 第27条(同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止)
商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあつては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない。

商号は表記で比べ、読み方が同じでも表記が違えば同一ではありません
同一かどうかは登記簿に記録された文字列で判断します。「株式会社コウ」と「株式会社こう」は読み方が同じでも表記が違うので同一の商号ではなく、同じ本店の所在場所でも登記できます。「他の会社が既に登記した商号と同一の商号を用い,かつ,その本店の所在場所が当該他の会社の本店の所在場所と同一であるときは,登記をすることができませんが,読み方が同一であっても表記が異なるときは同一の商号とはならないので,そのような登記を申請することもできます」という解答は正しい解答です。株式会社の文字の位置が違う「コウ株式会社」と「株式会社コウ」も同一ではありません。
本店の所在場所は番地まで同じ場合だけが対象です
商業登記法27条の本店の所在場所は定款の最小行政区画ではなく、登記された番地までの所在場所です。同じ市区町村でも番地が違えば同一の商号で登記でき、同じビルでも階数や部屋番号まで登記されていてそれが違えば同一ではありません。設立の登記だけでなく、商号変更の登記や本店移転の登記でも同じ審査があり、移転先に同一商号の会社があれば本店移転の登記は却下されます。申請の前に登記所で同一商号の調査をするのが実務の手順です。
みなし解散した休眠会社の商号も登記記録が残る限り対象です
会社法472条1項により解散したものとみなされた休眠会社は、職権で解散の登記がされますが登記記録はすぐには閉鎖されません。清算結了か、商業登記規則81条による解散後10年の閉鎖まで残ります。休眠会社の商号と本店は商業登記法27条の「既に登記した商号」に当たるので、同じ商号と本店で別の会社を設立することはできません。「法務大臣の公告後 2 か月以内に事業を廃止していない旨の届出をせず,職権で解散の登記がされた休眠会社と商号及び本店の所在場所を同一とする株式会社の設立の登記を申請することはできない」という肢は正しい肢です。清算結了の登記で登記記録が閉鎖されれば、同じ商号と本店で登記できます。
類似商号の規制は廃止され、似た商号の争いは裁判所で扱います
会社法施行前の商法と商業登記法は、同一市町村内で同一の営業について他人が登記した商号と判然区別できない商号の登記を禁じていました。平成18年5月1日からこの規制はなくなり、登記所が商号の類似を審査することはありません。不正の目的で他の会社と誤認されるおそれのある商号を使われて営業上の利益を侵害された会社は、会社法8条2項により侵害の停止や予防を請求できます。要件を満たせば不正競争防止法による差止めや損害賠償も使えます。登記の可否と商号使用の適法性は別の問題で、登記できたからといって使用が保護されるわけではありません。
商号の登記を抹消して同じ商号を使えるようにする申請があります
商号の登記をした者が営業所を移転したのに移転の登記をしないときや、商号を廃止したのに廃止の登記をしないときがあります。商業登記法33条により、同じ場所で同じ商号を使おうとする者は、その商号の登記の抹消を申請できます。申請書には、その場所で同一の商号を使おうとする者であることを証する書面を添付します。登記官は商業登記法135条から137条までの職権抹消の手続を準用して、登記した者に異議がなければ抹消します。会社の商号の登記は会社の登記簿にされ、抹消の申請の対象になるのは商号の登記をした者の登記です。
商業登記法 第24条第1項第12号申請が第二十七条の規定により登記することができない商号の登記を目的とするとき。
試験ではこう問われる
- 読み方が同じで表記が違う商号は同一の商号か(同一ではない)
- 同一商号の禁止で見る本店はどの範囲か(登記された番地までの所在場所)
- みなし解散した会社と同じ商号・本店で設立できるか(できない。登記記録が残る)
- 同一市町村内の類似商号は今も却下されるか(されない。平成18年5月1日に廃止)
- 同一商号の会社が移転の登記をしないとき、同じ商号を使いたい者は何ができるか(商号の登記の抹消の申請)
この用語が問われた肢
【問】商号がカタカナ表記である「株式会社コウ」の本店がA市B町一丁目 1 番 1 号である場合に、同一の所在場所を本店とする、商号がひらがな表記である「株式会社こう」の設立の登記を申請することはできますか。 他の会社が既に登記した商号と同一の商号を用い、かつ、その本店の所在場所が当該他の会社の本店の所在場所と同一であるときは、登記をすることができませんが、読み方が同一であっても表記が異なるときは同一の商号とはならないので、そのような登記を申請することもできます。
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