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定款の認証ていかんのにんしょう

商業登記 第1章 商業登記の骨格と申請書 過去問で9肢

株式会社の定款が公証人の認証を受けて初めて効力を生じるという仕組みです。認証した公証人の所属、認証後に変更できる範囲、認証前にした手続の扱いが肢で突かれます。

定款の認証は、会社法30条1項により、発起人が作成した株式会社の定款が公証人の認証を受けなければ効力を生じないとする仕組みです。認証は設立しようとする会社の本店の所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人がします。認証を受けた定款は、会社の成立前には会社法が認める場合を除いて変更できません。肢で突かれるのは、認証する公証人、認証後に変更できる範囲、認証と他の設立手続の順序です。

会社法 第30条第1項

第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。

公証役場で公証人が綴じた書面に大きな印を押し、発起人が見守る
株式会社の定款は公証人の認証で効力を生じ、認証後の変更は会社法が認める場合に限られます
本店所在地を管轄する法務局所属の公証人発行可能株式総数は再認証不要認証前の引受けも有効同時申請は当日認証

本店の所在地を管轄する法務局に所属する公証人が認証します

定款を認証できるのは、設立しようとする会社の本店の所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人です。「設立の登記の申請書に,設立しようとする会社の本店の所在地を管轄する法務局又は地方法務局に所属しない公証人が認証した定款を添付して,設立の登記の申請をすることができない」という肢は正しい肢です。所属外の公証人の認証は無効で、登記官は添付書面から管轄を確かめます。認証は株式会社のほか一般社団法人や一般財団法人の定款にも要り、持分会社の定款には要りません。

認証後の変更は会社法が認める場合に限られます

会社法30条2項により、認証を受けた定款は会社の成立前には、変態設立事項の変更や発行可能株式総数に関する変更など、会社法が認める場合を除いて変更できません。「株式会社の設立が発起設立であり、発行可能株式総数が公証人の認証を受けた定款で定められている場合において、会社の成立前に発行可能株式総数を変更したときは、設立の登記の申請書には、当該変更後に改めて公証人の認証を受けた定款を添付しなければならない」という肢は誤りです。発行可能株式総数は会社法37条により発起人全員の同意で変更でき、再認証は要らず、同意を証する書面を添付します。「当該設立が募集設立である場合において,公証人の認証を受けた定款について,発起人全員が監査役設置会社である旨の定めを追加する旨の同意をしたときは,改めて公証人の認証を受けなくとも,当該同意があったことを証する書面を添付して設立の登記を申請することができる」という肢は誤りです。募集設立では創立総会の決議により定款を変更できますが、発起人全員の同意だけで監査役設置会社の定めを加えることはできません。

認証の前に引受けや選任をしていても、後に認証されれば受理されます

「当該設立が発起設立であり、公証人による定款の認証を受ける前に設立時発行株式の引受け及び設立時取締役の選任がされ、その後に定款の認証を受けた場合には、当該定款を添付して、設立の登記を申請することができない」という肢は誤りです。認証前にした引受けや選任は、その後の認証で定款が有効になれば効力を持つものとして扱われ、設立の登記は受理されます。「発起設立の方法により設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合において,公証人による定款の認証を受ける前に設立時発行株式の引受け並びに設立時取締役及び設立時監査役の選任が行われているときは,その後に定款の認証がされたとしても,設立の登記の申請は受理されない」という肢も同じ理由で誤りです。

絶対的記載事項を欠く定款は追完できません

「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額の記載を欠いたまま認証された定款について,その後発起人の全員の同意によりこれを追完し,当該同意があったことを証する書面に公証人の認証を受けたときは,変更後の定款に基づき設立の登記の申請をすることができる」という肢は誤りです。絶対的記載事項を欠く定款はそもそも無効で、同意書に認証を受けて追完する形では治りません。欠落があったときは定款を作り直して改めて認証を受けます。商号のように認証後に発起人全員の同意で変更し、改めて認証を受け直す扱いが認められている事項と区別します。

オンラインの同時申請では当日中に認証されないと却下されます

電子定款の認証の嘱託と設立の登記のオンライン申請を同時にする仕組みでは、登記の申請の日のうちに認証が済むことが前提です。「株式会社の設立の登記の申請が、電子情報処理組織を使用する方法により、公証人への定款の認証の嘱託と同時にされた場合において、申請された日の当日中に定款が認証されなかったときは、当該設立の登記の申請は却下される」という肢は正しい肢です。認証が申請日に終わらなければ、認証を受けた定款が申請書に添付されていないことになり、商業登記法24条7号で却下されるからです。同時申請は会社設立の手続を短縮する制度で、認証の要件そのものを緩めるものではありません。

会社法 第30条第2項

前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前は、第三十三条第七項若しくは第九項又は第三十七条第一項若しくは第二項の規定による場合を除き、これを変更することができない。

試験ではこう問われる

  1. 本店の所在地を管轄する法務局に所属しない公証人の認証で設立の登記ができるかを問う肢
  2. 発行可能株式総数や変態設立事項を成立前に変更するときに再認証が要るかを問う肢
  3. 認証の前に株式の引受けや設立時役員の選任をした設立の登記が受理されるかを問う肢
  4. 絶対的記載事項を欠く定款の追完と、商号の変更の再認証を比べる肢
  5. オンラインの同時申請で当日中に認証されなかったときの扱いを問う肢

この用語が問われた肢

R7 問29 イ誤り

株式会社の設立が発起設立であり、発行可能株式総数が公証人の認証を受けた定款で定められている場合において、会社の成立前に発行可能株式総数を変更したときは、設立の登記の申請書には、当該変更後に改めて公証人の認証を受けた定款を添付しなければならない。

R8 問29 オ誤り

当該設立が発起設立であり、公証人による定款の認証を受ける前に設立時発行株式の引受け及び設立時取締役の選任がされ、その後に定款の認証を受けた場合には、当該定款を添付して、設立の登記を申請することができない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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