発起人ほっきにん
定款を作成してこれに署名または記名押印し、設立時発行株式を一株以上引き受けて株式会社を設立する者です。誰が発起人になれるか、発起人の決定をどの書面で証するかが肢で突かれます。
発起人は、株式会社を設立するために定款を作成し、その全員がこれに署名または記名押印する者です。会社法25条2項により、各発起人は設立に際して設立時発行株式を一株以上引き受けなければならず、出資を履行して会社の成立と同時に株主になります。氏名または名称と住所は定款の絶対的記載事項で、法人も発起人になれます。設立の登記は会社を代表すべき者が申請するので発起人は申請人になりませんが、発起人が何をどう決めたかは添付書面に表れます。肢で突かれるのは、発起人の資格と、発起人の決定を証する書面の要否です。
会社法 第25条第2項各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。

法人も発起人になれ、その登記事項証明書は要りません
会社などの法人も発起人になれます。発起行為が法人の目的の範囲内かどうかは、添付書面から明らかに範囲外と認められない限り問題にされず、「法人が発起人である場合には,申請書の添付書面によって,申請に係る会社設立の発起行為が明らかに当該法人の目的の範囲外のものと認められない限り,設立の登記の申請は受理される」という肢は正しい肢です。発起人である法人について登記事項証明書を添付したり会社法人等番号を記載したりする必要はなく、「発起人となる当該会社の登記事項証明書を添付し,又は発起人となる当該会社の会社法人等番号を記載しなければならない」という肢は誤りです。法人の代表者が設立する会社の設立時代表取締役を兼ねても、利益相反取引の承認を証する議事録は要りません。
成年被後見人も成年後見人の代理で発起人になれます
発起人の資格に行為能力の制限はなく、成年被後見人は成年後見人が代理して定款を作成し、署名または記名押印することで発起人になれます。「発起人が成年被後見人である場合において,成年後見人が当該成年被後見人を代理して定款を作成し,これに署名し,又は記名押印したときは,当該定款を添付して,設立の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。発起人が複数いる場合に、それぞれの払込金額を違えて定めることもでき、「各発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数を 10 株ずつとしつつ,これと引換えにAが払い込む金銭の額を 100 万円,Bが払い込む金銭の額を 50万円とそれぞれ定めたときは,その旨のA及びBの同意があったことを証する書面を添付しても,設立の登記を申請することはできない」という肢は誤りです。均等に定める義務があるのは設立時募集株式の払込金額です。
発起人の決定は全員の同意と過半数の一致に分かれます
設立時発行株式に関する事項、発行可能株式総数の定款変更、募集をする旨とその条件は発起人全員の同意で決めます。発起設立では設立時役員等の選任を発起人の議決権の過半数で決め、本店や支店の具体的な所在場所、株主名簿管理人の決定は発起人の過半数の一致で決めるのが基本です。募集設立の設立時役員等は創立総会の決議で選任するという違いがあります。設立の登記の申請書には、商業登記法47条3項によりその同意または一致があったことを証する書面を添付します。「株主名簿管理人の決定については定款に別段の定めがない場合は,当該設立の登記の申請書には,株主名簿管理人の決定について発起人の過半数の一致があったことを証する書面及び当該株主名簿管理人との契約を証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。
発起人は変態設立事項の価額の証明者になれません
現物出資をする発起人や財産引受けの譲渡人は、定款に記載した価額が相当であることの証明をする側に立てません。会社法33条11項が発起人と財産の譲渡人を証明者から外しており、弁護士や公認会計士であっても自分が発起人なら証明できません。定款に変態設立事項の記載があるときは、会社法33条10項の例外に当たる場合を除き、発起人が公証人の認証の後遅滞なく裁判所に検査役の選任を申し立てなければなりません。裁判所が価額を不当と認めて変更したときは、発起人は決定の確定後1週間以内に限り引受けを取り消すことができるという仕組みです。
発起人の出資の履行が完了しないと設立時役員を選任できません
発起人は引受け後遅滞なく、金銭の全額を払い込み、または金銭以外の財産の全部を給付します。出資の履行をしない発起人がいれば、期日を定めて2週間前までに通知し、期日までに履行しなければその発起人は株主となる権利を失うという失権の手続があります。発起設立では設立時取締役の選任は出資の履行が完了した後にするものとされており、定款で設立時取締役を定めていたときは、出資の履行が完了した時に選任されたものとみなされるという定めです。発起人は成立後、錯誤や詐欺を理由に引受けを取り消すことはできず、会社が成立しなかったときは連帯して設立に関する責任と費用を負います。
会社法 第26条第1項株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
試験ではこう問われる
- 法人が発起人のとき登記事項証明書や会社法人等番号が要るか(要らない)
- 成年被後見人は成年後見人の代理で発起人になれるか(なれる)
- 発起人ごとに払込金額を違えて定められるか(定められる。全員の同意書を添付)
- 株主名簿管理人を発起人が決めたときの添付書面は何か(過半数の一致書面と契約を証する書面)
- 発起人は自分の現物出資の価額の相当性を証明できるか(できない)
この用語が問われた肢
発起人が会社である場合における設立の登記の申請書には、同一の登記所の管轄区域内に発起人となる当該会社の本店があるときを除き、発起人となる当該会社の登記事項証明書を添付し、又は発起人となる当該会社の会社法人等番号を記載しなければならない。
B株式会社が発起人となってA株式会社を設立しようとする場合において,B株式会社の代表取締役がA株式会社の設立時代表取締役と同一であるときは,当該設立の登記の申請書には,B株式会社において利益相反取引を承認した株主総会又は取締役会の議事録を添付しなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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