登記事項(会社の登記事項)とうきじこう
会社法911条3項などが列挙する、株式会社の登記簿に記録しなければならない事項です。定款に書いてあっても登記事項でないものを登記事項と言い換える肢や、証明書に載る範囲を突く肢が作られます。
登記事項は、商法や会社法の規定により登記簿に記録しなければならない事項です。株式会社については会社法911条3項が目的・商号・本店・資本金の額・発行可能株式総数・役員の氏名などを列挙しています。商業登記法1条の2は、登記した事項に変更が生じたときの登記を変更の登記、消滅したときの登記を消滅の登記と定義します。登記事項に変更が生じたら2週間以内に本店の所在地で変更の登記をしなければなりません。肢で突かれるのは、定款の記載事項と登記事項の線引き、証明書に載る範囲、変更の登記の期間です。
会社法 第911条第3項第一項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店及び支店の所在場所
四 株式会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
五 資本金の額
六 発行可能株式総数
七 発行する株式の内容(種類株式発行会社にあっては、発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容)
八 単元株式数についての定款の定めがあるときは、その単元株式数
九 発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数
十 株券発行会社であるときは、その旨
十一 株主名簿管理人を置いたときは、その氏名又は名称及び住所並びに営業所
十二 新株予約権を発行したときは、次に掲げる事項
イ 新株予約権の数
ロ 第二百三十六条第一項第一号から第四号まで(ハに規定する場合にあっては、第二号を除く。)に掲げる事項
ハ 第二百三十六条第三項各号に掲げる事項を定めたときは、その定め
ニ ロ及びハに掲げる事項のほか、新株予約権の行使の条件を定めたときは、その条件
ホ 第二百三十六条第一項第七号及び第二百三十八条第一項第二号に掲げる事項
ヘ 第二百三十八条第一項第三号に掲げる事項を定めたときは、募集新株予約権(同項に規定する募集新株予約権をいう。以下ヘにおいて同じ。)の払込金額(同号に規定する払込金額をいう。以下ヘにおいて同じ。)(同号に掲げる事項として募集新株予約権の払込金額の算定方法を定めた場合において、登記の申請の時までに募集新株予約権の払込金額が確定していないときは、当該算定方法)
十二 第三百二十五条の二の規定による電子提供措置をとる旨の定款の定めがあるときは、その定め
十三 取締役(監査等委員会設置会社の取締役を除く。)の氏名
十四 代表取締役の氏名及び住所(第二十三号に規定する場合を除く。)
十五 取締役会設置会社であるときは、その旨
十六 会計参与設置会社であるときは、その旨並びに会計参与の氏名又は名称及び第三百七十八条第一項の場所
十七 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)であるときは、その旨及び次に掲げる事項
イ 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社であるときは、その旨
ロ 監査役の氏名
十八 監査役会設置会社であるときは、その旨及び監査役のうち社外監査役であるものについて社外監査役である旨
十九 会計監査人設置会社であるときは、その旨及び会計監査人の氏名又は名称
二十 第三百四十六条第四項の規定により選任された一時会計監査人の職務を行うべき者を置いたときは、その氏名又は名称
二十一 第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがあるときは、次に掲げる事項
イ 第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがある旨
ロ 特別取締役の氏名
ハ 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
二十二 監査等委員会設置会社であるときは、その旨及び次に掲げる事項
イ 監査等委員である取締役及びそれ以外の取締役の氏名
ロ 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
ハ 第三百九十九条の十三第六項の規定による重要な業務執行の決定の取締役への委任についての定款の定めがあるときは、その旨
二十三 指名委員会等設置会社であるときは、その旨及び次に掲げる事項
イ 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
ロ 各委員会の委員及び執行役の氏名
ハ 代表執行役の氏名及び住所
二十四 第四百二十六条第一項の規定による取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人の責任の免除についての定款の定めがあるときは、その定め
二十五 第四百二十七条第一項の規定による非業務執行取締役等が負う責任の限度に関する契約の締結についての定款の定めがあるときは、その定め
二十六 第四百四十条第三項の規定による措置をとることとするときは、同条第一項に規定する貸借対照表の内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
二十七 第九百三十九条第一項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め
二十八 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項
イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
ロ 第九百三十九条第三項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め
二十九 第二十七号の定款の定めがないときは、第九百三十九条第四項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨

登記事項は法律が列挙したものに限られます
株式会社の登記事項は会社法911条3項が1号から順に列挙しています。目的・商号・本店及び支店の所在場所・資本金の額・発行可能株式総数・発行済株式の総数・取締役の氏名・代表取締役の氏名及び住所などが並びます。定款に定めがあっても、法律が登記事項としていない事項は登記できません。公告方法や電子提供措置の定めのように、定款で定めて初めて登記事項になるものもあります。「社員の資格の得喪に関する定款の定めは,登記事項である」という肢は誤りで、一般社団法人の社員の資格の得喪は定款の記載事項ではあっても登記事項ではありません。申請書に登記事項以外の事項を書いても、登記すべき事項以外の事項の登記を目的とする申請として却下の対象です。
変更が生じたら2週間以内に変更の登記をします
会社法915条1項は、登記事項に変更が生じたときは2週間以内に本店の所在地で変更の登記をしなければならないと定めます。期間は変更の効力が生じた日の翌日から数えるのが原則です。新株予約権の行使のように毎月末日現在でまとめて登記できる例外もあるところです。期間を過ぎても申請は受理されますが、代表者が過料の対象です。本店の所在地で登記すれば足り、支店の所在地での登記は令和4年9月1日施行の改正で廃止され、設立の登記でも会社法911条が調査終了日などから2週間と定めています。変更の登記は原則として申請によりますが、未成年者が成年に達したことによる消滅の登記のように登記官が職権でできるものも商業登記法に置かれています。
証明書の種類によって載る登記事項の範囲が違います
現在事項証明書には現に効力を有する登記事項のほか、会社成立の年月日、役員の就任の年月日、商号と本店の変更に係る事項で現に効力を有するものの直前のものが載ります。「現在事項証明書には,会社の商号及び本店の登記の変更に係る事項で現に効力を有するものの直前のものも記載される」という肢は正しい肢です。履歴事項証明書には、請求日の3年前の日の属する年の1月1日からの抹消事項と効力を失った事項が加わります。「履歴事項証明書には,現在事項証明書に記載される事項のほか,当該履歴事項証明書の交付の請求があった日の 3 年前の日から請求日までの間に抹消する記号を記録された登記事項及びその間に登記された事項で現に効力を有しないものが記載される」という肢は誤りで、起算点は3年前の日ではなく、その日の属する年の1月1日です。
申請書には登記すべき事項を区ごとに整理して書きます
商業登記規則35条2項により、申請書の登記すべき事項は商号区・目的区・株式資本区・役員区といった区ごとに整理して記載します。同じ区の事項でも、登記の原因と年月日を事項ごとに添えます。特例有限会社が商号を変更して通常の株式会社へ移行する登記で、同時に資本金の額以外の登記事項を変更するときに「はい、当該変更に係る登録免許税を加算する必要があります」という答えは誤りです。移行の登記は設立の登記として課税され、同時にする他の登記事項の変更は別に課税されない扱いが登記実務で取られています。
会社法 第915条第1項会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
試験ではこう問われる
- 定款の記載事項を登記事項と言い換える肢(一般社団法人の社員の資格の得喪、基金の募集の定めなど)
- 現在事項証明書と履歴事項証明書に載る範囲と、履歴の起算点をすり替える肢
- 変更の登記の期間と、毎月末日現在でまとめて登記できる例外を問う肢
- 移行の登記や設立の登記と同時にする変更について登録免許税を加算させる肢
この用語が問われた肢
現在事項証明書には、会社の商号及び本店の登記の変更に係る事項で現に効力を有するものの直前のものも記載される。
履歴事項証明書には、現在事項証明書に記載される事項のほか、当該履歴事項証明書の交付の請求があった日の 3 年前の日から請求日までの間に抹消する記号を記録された登記事項及びその間に登記された事項で現に効力を有しないものが記載される。
【問】最後に、商号の変更による通常の株式会社への移行の登記において、同時に資本金以外の登記事項を変更する場合には、当該登記事項の変更に係る登録免許税を加算する必要はありますか。 はい、当該変更に係る登録免許税を加算する必要があります。
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