商業登記しょうぎょうとうき
商法・会社法などの定めにより登記すべき事項を登記簿に記録して公示し、商号や会社の信用の維持と取引の安全を図る制度です。誰が申請人か、登記の後でなければ善意の第三者に対抗できないこと、誰でも証明書を取れることが肢で突かれます。
商業登記は、商法や会社法その他の法律の規定により登記すべき事項を、登記所に備える商業登記簿に記録して公示する制度です。商業登記法1条が目的として「商号、会社等に係る信用の維持」と「取引の安全と円滑」を掲げ、会社法907条が会社の登記事項を商業登記法の手続で登記すると定めています。登記は法令に別段の定めがある場合を除いて当事者の申請か官庁の嘱託がなければできず、登記の後でなければ善意の第三者に対抗できません。肢で突かれるのは、申請人が誰か、登記の効力がいつ生じるか、そして誰がどの証明書を取れるかという骨格の部分です。
商業登記法 第1条(目的)
この法律は、商法(明治三十二年法律第四十八号)、会社法(平成十七年法律第八十六号)その他の法律の規定により登記すべき事項を公示するための登記に関する制度について定めることにより、商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的とする。

商業登記簿は9種類あり、会社ごとに登記記録が起こされます
登記所には商号・未成年者・後見人・支配人の各登記簿と、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社・外国会社の各登記簿の合わせて9種類が備えられます。商業登記法6条が列挙する帳簿で、磁気ディスクで調製され、会社ごとに一つの登記記録が起こされます。登記した事項に変更が生じたときの登記を「変更の登記」、消滅したときの登記を「消滅の登記」と呼び、商業登記法1条の2が定義しています。不動産登記が物件ごとに登記記録を持つのに対し、商業登記は人である会社や商人ごとに記録を持つ点が出発点です。
登記の後でなければ善意の第三者に対抗できません
会社法908条1項は、登記すべき事項は登記の後でなければ善意の第三者に対抗できないと定めます。登記の後でも、第三者が正当な事由によって登記を知らなかったときは同じ扱いです。反対に、故意または過失で不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることを善意の第三者に対抗できません。登記は会社の内部で生じた事実を外に向けて効かせるための手続です。設立の登記のように登記そのものが会社の成立要件になる場面とは性質が違います。
申請人は会社なら代表者、商人なら本人です
商業登記法14条の当事者申請主義のもと、会社の登記は会社を代表すべき者が申請し、支配人や未成年者の登記はその商人や未成年者本人が申請します。「外国会社の登記については,日本における代表者が外国会社を代表して申請しなければならず,本国における代表者が申請することはできない」という肢は正しい肢です。「支配人の登記において,会社以外の商人小商人を除く。が複数の支配人を選任したときは,各支配人はそれぞれその登記を別個に申請しなければならない」という肢は誤りで、支配人の登記の申請人は支配人を選任した商人であって支配人ではありません。「未成年者の登記において,未成年者の営業の許可の取消しによる消滅の登記は,法定代理人のほか未成年者自身も申請することができる」という肢は正しい肢で、商業登記法36条が本人申請を原則とし、許可の取消しによる消滅の登記は法定代理人も申請できると定めています。
誰でも手数料を納めて登記事項証明書を取れます
商業登記法10条により、何人も手数料を納付して登記事項証明書の交付を請求でき、他の登記所の登記官に対しても請求できます。「登記事項証明書には、現在事項証明書、履歴事項証明書、閉鎖事項証明書、代表者事項証明書の 4 種類がある」という肢は正しい肢で、商業登記規則30条1項が4つの区分を定めています。「例えば,登記簿に記録されている存続期間が満了しているにもかかわらず,解散の登記をしていない会社の代表者事項証明書は,交付を受けることができません」という答えは正しい肢です。代表者事項証明書は代表権が現に効力を有することを証明する書面だからです。存続期間が満了した会社では代表権の存続を証明できないので、交付されない扱いになっています。
却下などの処分には登記官を経由して審査請求ができます
登記官の処分に不服がある者は監督法務局または地方法務局の長に審査請求ができ、「審査請求は,登記官を経由してしなければならない」という肢は正しい肢です。申請の却下だけでなく、附属書類の閲覧請求を却下された者も審査請求ができるので、「登記の申請をした者は,当該申請を却下した処分に対して審査請求をすることができるが,登記簿の附属書類の閲覧を請求した者は,当該請求を却下した処分に対して審査請求をすることができない」という肢は誤りです。審査請求の対象は登記官の処分で、登記官の不作為についてはその処分を申請した者が審査請求できます。
会社法 第908条第1項この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。
試験ではこう問われる
- 外国会社・支配人・未成年者・後見人の登記で誰が申請人かをすり替える肢
- 登記事項証明書の種類の数や、代表者事項証明書が交付されない場合を問う肢
- 却下処分や閲覧請求の却下に対して審査請求ができるか、経由先はどこかを問う肢
- 登記の後でなければ善意の第三者に対抗できないという効力を、設立の登記と混ぜて問う肢
この用語が問われた肢
登記事項証明書には、現在事項証明書、履歴事項証明書、閉鎖事項証明書、代表者事項証明書の 4 種類がある。
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