定款変更の決議と登記ていかんへんこうのけつぎととうき
成立後の会社が株主総会の特別決議で定款を変更すること、決議の種類が重くなる場合と軽くなる場合、変更が登記事項に及んだときの変更の登記です。特殊決議や株主全員の同意が要る場面と、取締役会で済む場面の境界で肢が作られます。
定款変更は、成立後の株式会社が株主総会の決議によって定款の内容を改めることで、会社法466条が原則を定め、309条2項11号が特別決議を要求します。定款変更そのものは登記事項ではなく、変更した事項が商号や目的のような登記事項に当たるときに限って、変更から2週間以内に変更の登記をします。決議の重さは一律ではなく、株主の地位に深く関わる変更では特殊決議や全員の同意に重くなり、法律に特則がある一部の変更では取締役会の決議で足ります。肢で突かれるのは、どの変更にどの決議が要るかと、添付する議事録です。
会社法 第466条株式会社は、その成立後、株主総会の決議によって、定款を変更することができる。

原則は特別決議で、登記事項に及んだときだけ変更の登記をします
定款変更は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成による特別決議で決めます。商号、目的、本店、公告方法、発行可能株式総数、株式の内容などは登記事項なので、変更すれば変更の登記が要ります。株主総会の招集地や取締役の員数など登記事項でない定款の変更は、登記簿に現れません。申請書には株主総会議事録と株主リストを添付し、株主名簿管理人を置く変更のような例外を除いて変更後の定款は添付しません。
譲渡制限の設定は特殊決議ですが、緩和は特別決議で足ります
全部の株式に譲渡制限の定めを設ける定款変更は、議決権を行使できる株主の半数以上であって議決権の3分の2以上の賛成という特殊決議が要ります。すでにある譲渡制限に、株主間の譲渡は承認したものとみなす旨のただし書を加える変更は制限を緩める方向なので、特別決議で足ります。「ただし書を追加する旨の定款の変更をした場合には,株式の譲渡制限に関する規定の変更の登記の申請書には,当該定款の変更が,株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上であって,当該株主の議決権の 3 分の 2 以上に当たる多数をもって可決された旨の株主総会の議事録を添付しなければならない」という肢は誤りです。逆にただし書を削除して制限を強めるときは、現に株券を発行している会社なら株券提供公告を証する書面が要ります。全部について発行していなければその旨を証する書面で足り、「現に株券を発行しているときは,株式の譲渡制限に関する規定の変更の登記の申請書には,株券提供公告をしたことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。
取得条項付株式にする変更は株主全員の同意が要ります
ある種類の株式を取得条項付株式にする定款変更は、株主総会の特別決議に加えて、その種類の株主全員の同意がなければ効力を生じません。「ある種類の株式について株式の内容を取得条項付株式とする定款変更による株式の内容の変更の登記を申請するときは,当該登記の申請書には,当該種類株主全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。株主総会議事録と株主リストに加えて、同意があったことを証する書面を添付します。1株に2個の議決権を与えるような一株一議決権に反する定款変更は、決議をしても登記できません。「議決権の個数をA種類株式 1 株につき 1 個,B種類株式 1 株につき 2 個とする旨を追加する定款の変更の決議をした場合は,発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の変更の登記を申請することができる」という肢は誤りです。
株式分割に伴う発行可能株式総数の増加は取締役会でできる例外です
株式の分割と同時に分割比率を超えない範囲で発行可能株式総数を増やす定款変更は、株主総会の決議によらずに取締役会で決められます。ただし現に二以上の種類の株式を発行している会社は、この特則を使えません。「現に 2 以上の種類の株式を発行している取締役会設置会社がそのうち 1 の種類の株式の分割をする場合には、株式の分割の効力発生と同時に当該株式の分割に係る分割比率を超えない範囲内で発行可能株式総数を増加する定款の変更の決議をした取締役会の議事録を添付して、当該発行可能株式総数の変更の登記を申請することができる」という肢は誤りです。単元株式数の減少や廃止も、取締役の決定や取締役会の決議でできる定款変更です。
公開会社になる定款変更は役員の任期満了を連れてきます
譲渡制限の定めを廃止して公開会社になると、監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社の取締役を除き、取締役や監査役の任期は定款変更の効力発生時に満了します。監査役会設置会社でも同じで、「会社法上の公開会社でない監査役会設置会社が株式の譲渡制限に関する規定を廃止する旨の定款の変更をした場合には、役員の任期満了による退任の登記をもしなければならない」という肢は正しい肢です。設立の段階では創立総会が定款を変更でき、「発行可能株式総数を定款で定めていない場合において、設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日以後に発行可能株式総数を定めたときは、設立の登記の申請書には、発行可能株式総数の定めを設ける旨の定款変更の決議をした創立総会の議事録を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。
会社法 第309条第2項第11号第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
試験ではこう問われる
- 定款変更の原則の決議は何か(株主総会の特別決議。変更後の定款は添付しない)
- 譲渡制限の設定と緩和でそれぞれ必要な決議は何か(設定は特殊決議、緩和は特別決議)
- 取得条項付株式にする定款変更に要るものは何か(特別決議に加えて種類株主全員の同意)
- 株式分割に伴う発行可能株式総数の増加を取締役会で決められない会社はどれか(二以上の種類の株式を現に発行する会社)
- 譲渡制限を廃止すると役員の任期はどうなるか(満了する。退任登記が要る)
この用語が問われた肢
株式の譲渡制限に関する規定として「当会社の株式を譲渡により取得するには取締役会の承認を受けなければならない。」と定款に定めて登記している会社が、「ただし、当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得する場合においては取締役会が承認をしたものとみなす。」とのただし書を追加する旨の定款の変更をした場合には、株式の譲渡制限に関する規定の変更の登記の申請書には、当該定款の変更が、株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上であって、当該株主の議決権の 3 分の 2 以上に当たる多数をもって可決された旨の株主総会の議事録を添付しなければならない。
株式の譲渡制限に関する規定として「当会社の株式を譲渡により取得するには取締役会の承認を受けなければならない。ただし、当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得する場合においては取締役会が承認をしたものとみなす。」と定款に定めて登記している会社が、当該規定中ただし書を削除する旨の定款の変更をした場合において、現に株券を発行しているときは、株式の譲渡制限に関する規定の変更の登記の申請書には、株券提供公告をしたことを証する書面を添付しなければならない。
ある種類の株式について株式の内容を取得条項付株式とする定款変更による株式の内容の変更の登記を申請するときは、当該登記の申請書には、当該種類株主全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
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