合同会社ごうどうがいしゃ
社員の全部を有限責任社員とする持分会社です。設立までに出資を全部履行すること、資本金の額と業務執行社員が登記事項であること、代表社員の印鑑証明書の扱いが肢で突かれます。
合同会社は、社員の全部を有限責任社員とする持分会社です。社員の責任が出資額に限られるので、社員になろうとする者は設立の登記までに出資の全額を払い込むか財産の全部を給付しなければならず、設立の登記に払込みと給付を証する書面を添付します。登記事項には資本金の額、業務執行社員の氏名、代表社員の氏名と住所が入り、株式会社に近い形で債権者に情報を開示します。資本金の額の増減には原則として計上に関する証明書が要り、減少には債権者保護手続も要ります。肢で突かれるのは、出資と資本金の決め方、印鑑証明書の要否、株式会社との組織変更での添付書面です。
会社法 第578条(合同会社の設立時の出資の履行)
設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、当該合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、合同会社の社員になろうとする者全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、合同会社の成立後にすることを妨げない。

設立までに出資を全部履行し、払込みを証する書面を添付します
合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、設立の登記をする時までに出資に係る金銭の全額を払い込み、金銭以外の財産の全部を給付します。設立の登記の申請書には払込みと給付があったことを証する書面を添付し、「当該金銭の払込みがあったことを証する書面として,当該合同会社の代表社員が作成した出資金領収書を添付することができる」という肢は正しい肢です。株式会社の払込金保管証明書や通帳の写しのような形式は求められず、代表社員が領収した旨の書面で足ります。登録免許税は資本金の額の1000分の7で、6万円に満たなければ6万円です。
資本金の額は出資額の範囲で社員が決め、2分の1の縛りはありません
合同会社の資本金の額は、社員が出資した財産の額の範囲内で、業務執行社員の過半数の一致などにより会社が定めます。株式会社のような払込額の2分の1以上という下限はなく、「資本金の額として,出資として払込み又は給付がされた財産の価額の2分の1以上の額を記載しなければならない」という肢は誤りです。資本金の額の決定は定款の変更ではないので総社員の同意は要らず、「定款に資本金の額を定めていないときは,合同会社の設立の登記の申請書には,資本金の額の決定に係る総社員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。業務執行社員が自然人Aと法人Bで、Bの職務執行者がDのときは、「資本金の額の決定についてA及びDの一致を証する書面を添付して,設立の登記を申請することができる」という肢が正しい肢として出ています。
業務執行社員の氏名と代表社員の氏名・住所が登記事項です
合同会社の登記事項は、目的、商号、本店と支店の所在場所、存続期間や解散事由の定め、資本金の額、公告方法が土台です。社員については業務執行社員の氏名または名称、代表社員の氏名または名称と住所、法人の代表社員の職務執行者の氏名と住所を登記します。業務を執行しない社員は登記されず、業務執行社員は氏名または名称だけで住所は登記されず、代表社員は代表しない社員がいなくても常に住所まで登記します。業務執行社員が業務を執行しないことになれば登記事項が変わり、「業務執行社員が業務を執行しないこととなった場合には、業務執行権の喪失による変更の登記を申請しなければならない」という肢は正しい肢です。
代表社員の就任承諾書にも職務執行者にも印鑑証明書は要りません
株式会社の代表取締役の就任承諾書や選定議事録に印鑑証明書を求める商業登記規則の規定は、合同会社には準用されていません。代表社員の印鑑証明書が要るのは登記所に印鑑を提出する印鑑届書についてで、就任承諾書や互選を証する書面には要りません。「定款の定めに基づく社員の互選によってAが代表社員と定められた場合において,Aが代表社員への就任を承諾したことを証する書面に押印された印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければ,設立の登記を申請することができない」という肢は誤りです。代表社員が法人であるときの職務執行者の就任承諾書には印鑑証明書が要らず、「当該職務執行者が就任を承諾したことを証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することを要しない」という肢は正しい肢です。職務執行者の就任承諾書に印鑑証明書を要求する肢は誤りです。
株式会社との組織変更では取締役の印鑑証明書が要りません
合同会社が取締役会を置かない株式会社に組織変更したときの設立の登記では、取締役の就任承諾書に押した印鑑の印鑑証明書を添付しません。印鑑証明書の規定が組織変更による設立を除いているからで、「取締役が就任を承諾したことを証する書面に押印された印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない」という肢は誤りです。組織変更を無効とする判決が確定したときの登記は裁判所書記官の嘱託で、「組織変更後の会社についての解散の登記及び組織変更前の会社についての回復の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。合同会社は株式交付の親会社にはなれず、株式交付計画を添付した登記申請はできません。
会社法 第914条(合同会社の設立の登記)
合同会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店及び支店の所在場所
四 合同会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
五 資本金の額
六 合同会社の業務を執行する社員の氏名又は名称
七 合同会社を代表する社員の氏名又は名称及び住所
八 合同会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
九 第九百三十九条第一項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め
十 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項
イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
ロ 第九百三十九条第三項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め
十一 第九号の定款の定めがないときは、第九百三十九条第四項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨
試験ではこう問われる
- 合同会社の設立の登記に払込みを証する書面は要るか(要る。代表社員作成の出資金領収書でよい)
- 合同会社の資本金の額に払込額の2分の1以上という下限はあるか(ない)
- 合同会社の資本金の額の決定に総社員の同意は要るか(要らない。業務執行社員の過半数の一致)
- 合同会社の登記事項に業務執行社員の住所は入るか(入らない。代表社員は氏名と住所)
- 合同会社から株式会社への組織変更で取締役の印鑑証明書は要るか(要らない)
この用語が問われた肢
合同会社を設立しようとする場合において,定款に資本金の額を定めていないときは,合同会社の設立の登記の申請書には,資本金の額の決定に係る総社員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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