商号の登記(個人商人)と商号の譲渡しょうごうのとうきとしょうごうのじょうと
会社でない商人が任意にする商号の登記と、商号を営業とともに譲渡したときの変更の登記です。会社の商号との違い、譲渡の要件と申請人、商号の登記の抹消の申請が肢で突かれます。
商号の登記(個人商人)と商号の譲渡は、会社でない商人の商号に関する登記の論点です。商法11条は商人が氏や氏名その他の名称を商号とし、登記することができると定め、登記は義務ではありません。商業登記法28条は商号の登記を営業所ごとにするものとし、商号、営業の種類、営業所、商号使用者の氏名と住所を登記事項とします。商号は営業とともにする場合か営業を廃止する場合に限って譲渡でき、譲渡は登記が第三者への対抗要件です。会社の商号は会社の登記簿に登記されるので個人商人の商号登記簿とは別の仕組みで、肢で突かれるのは、任意登記であること、譲渡の登記の申請人と添付書面、同一商号の制限と抹消の申請です。
商業登記法 第28条(登記事項等)
商号の登記は、営業所ごとにしなければならない。
商号の登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。
一 商号
二 営業の種類
三 営業所
四 商号使用者の氏名及び住所

個人商人の商号の登記は任意で、営業所ごとにします
商人は商号を登記することができますが、会社と違って登記は義務ではありません。商号の登記は営業所ごとにし、登記事項は商号、営業の種類、営業所、商号使用者の氏名と住所です。同一の当事者から数個の商号の登記の申請があったときは、各商号について別々の登記記録に登記します。商号にはローマ字その他法務大臣が指定する符号を用いることも可能です。商号を廃止したときや営業所を管轄外に移したときの旧所在地の登記は登記記録区にされ、登記記録が閉鎖されます。営業所を他の登記所の管轄に移したときは、旧所在地で営業所移転の登記を、新所在地で商号の登記を申請し、新所在地の申請書には旧所在地でした登記を証する書面を添付します。
商号の譲渡は営業とともにか廃止の場合に限り、登記が対抗要件です
商人の商号は、営業とともにする場合または営業を廃止する場合に限って譲渡でき、譲渡は登記をしなければ第三者に対抗できません。商号の譲渡による変更の登記は譲受人が申請し、譲渡人の承諾書と、営業とともにする譲渡または営業の廃止に当たることを証する書面を添付し、承諾書の印鑑についての譲渡人の印鑑証明書(届出印なら不要)も添えます。相続による変更の登記には相続を証する書面を添付し、相続人が申請するときは資格を証する書面も要り、会社の商号は会社の登記簿で変更の登記をするので商号の登記の規定の多くが適用されません。
同一所在場所の同一商号は登記できず、不使用なら抹消を申請できます
商号の登記は、他人が既に登記した商号と同一で、営業所の所在場所も同一であるときはできません。会社では本店の所在場所で同じ判断をし、違反する申請は却下されます。商号の登記をした者が商号を廃止や変更したのに登記をしないときや、正当な事由なく2年間商号を使用しないときは、その所在場所で同一の商号を使おうとする者が商号の登記の抹消を申請できます。抹消の申請書には同一の商号を使用しようとする者であることを証する書面を添付し、登記官は職権抹消と同じ通知と異議の手続を経て抹消します。
会社の商号には使えない文字と使える文字があります
会社は商号中に株式会社などの種類を示す文字を用い、他の種類の会社と誤認される文字は使えません。「支店」「支社」「出張所」のように会社の一部門を表す文字は商号に使えない扱いですが、「支部」の文字を含む商号は登記実務で申請できるとされています。「株式会社コウ東京支部」のような会社の商号の登記を「申請することはできません」とする回答は誤りです。商号の譲渡や営業の譲渡に伴う免責の登記は譲受人が申請し、新設分割による設立と同時に免責の登記を申請するときは、「それぞれの登記に係る登録免許税額を合計します」という回答のとおり、登録免許税を合算して納めます。
商法 第15条(商号の譲渡)
商人の商号は、営業とともにする場合又は営業を廃止する場合に限り、譲渡することができる。
前項の規定による商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
試験ではこう問われる
- 個人商人の商号の登記は義務か(任意)
- 商号を譲渡できるのはどんな場合か(営業とともに、または営業を廃止する場合)
- 商号の譲渡の登記は誰が申請し何を添付するか(譲受人。譲渡人の承諾書とその印鑑証明書、譲渡の要件を証する書面)
- 同一所在場所に同一商号の登記はできるか(できない。2年不使用なら抹消を申請できる)
- 「支部」の文字を含む会社の商号は登記できるか(できる扱い)
この用語が問われた肢
【問】それでは、会社の商号の登記について質問します。会社はその商号中に「支部」という文字を使用し、「株式会社コウ東京支部」のような会社の商号の登記を申請することができますか。 そのような会社の商号の登記を申請することはできません。
【問】最後に、新設分割による設立の登記と同時に、新設分割設立会社が新設分割会社の債務を弁済する責任を負わない旨の商号の譲渡人の債務に関する免責の登記を申請する場合には、登録免許税はどのように計算しますか。 それぞれの登記に係る登録免許税額を合計します。
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