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登記の申請の却下事由きゃっかじゆう

商業登記 第1章 商業登記の骨格と申請書 過去問で8肢

商業登記法24条が列挙する、登記官が理由を付した決定で申請を却下しなければならない事由です。補正で免れる不備との線引き、経由申請での却下の連動、却下に対する審査請求が肢で突かれます。

登記の申請の却下事由は、商業登記法24条が1号から15号まで列挙する、登記官が申請を却下しなければならない事由です。前半には管轄違い、登記事項以外の登記、既に登記されている事項、申請権限のない者の申請、方式違反、添付書面の欠缺が並びます。後半は申請書と添付書面や登記簿との不一致、無効や取消しの原因、経由すべき登記所を経由しないこと、同時申請を欠くこと、商号の制限、登録免許税の不納付です。却下は理由を付した決定でし、補正できる不備は登記官が定めた期間内に補正すれば却下されません。肢で突かれるのは、却下事由に当たるかどうかの線引きと、却下の後の争い方です。

商業登記法 第24条

(申請の却下)
登記官は、次の各号のいずれかに掲げる事由がある場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
一 申請に係る当事者の営業所の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。
二 申請が登記すべき事項以外の事項の登記を目的とするとき。
三 申請に係る登記がその登記所において既に登記されているとき。
四 申請の権限を有しない者の申請によるとき、又は申請の権限を有する者であることの証明がないとき。
五 第二十一条第三項に規定する場合において、当該申請に係る登記をすることにより同項の登記の申請書のうち他の申請書に係る登記をすることができなくなるとき。
六 申請書がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。
七 申請書に必要な書面(第十九条の二に規定する電磁的記録を含む。)を添付しないとき。
八 申請書又はその添付書面(第十九条の二に規定する電磁的記録を含む。以下同じ。)の記載又は記録が申請書の添付書面又は登記簿の記載又は記録と合致しないとき。
九 登記すべき事項につき無効又は取消しの原因があるとき。
十 申請につき経由すべき登記所を経由しないとき。
十一 同時にすべき他の登記の申請を同時にしないとき。
十二 申請が第二十七条の規定により登記することができない商号の登記を目的とするとき。
十三 申請が法令の規定により使用を禁止された商号の登記を目的とするとき。
十四 商号の登記を抹消されている会社が商号の登記をしないで他の登記を申請したとき。
十五 登録免許税を納付しないとき。

窓口で職員が申請書を押し返し、理由を記した決定書を差し出す
却下事由は商業登記法24条が列挙し、補正できる不備は相当の期間内に補正すれば却下されません
24条の列挙事由理由を付した決定補正で免れる本店移転の却下は連動

却下事由は列挙されたものに限られ、理由を付した決定でします

登記官は商業登記法24条各号のいずれかに当たるときに限って申請を却下でき、却下は理由を付した決定でします。実体法上の無効や取消しの原因があるときも9号の却下事由です。ただし訴えでのみ主張できる無効や取消しの原因について、その訴えが提起期間内に提起されなかったときは、商業登記法25条により9号は適用されません。登記官の審査は申請書と添付書面と登記簿の記載による形式的なものが原則で、却下事由はその範囲で判断されます。申請権限を疑う相当な理由があるときだけ、商業登記法23条の2により出頭を求めたり質問したりして申請の権限を調査する仕組みです。却下された申請書と添付書面は原則として返されず、登録免許税は還付の手続を取ります。

補正できる不備は期間内に補正すれば却下されません

商業登記法24条のただし書により、申請の不備が補正できるものであるときは、登記官が定めた相当の期間内に申請人が補正すれば却下を免れます。添付書面の通数の不足や記載の誤記のように後から直せる不備が対象で、管轄違いや登記事項以外の登記のように直しようのない不備は補正の余地がありません。「株式会社の設立の登記の申請が、電子情報処理組織を使用する方法により、公証人への定款の認証の嘱託と同時にされた場合において、申請された日の当日中に定款が認証されなかったときは、当該設立の登記の申請は却下される」という肢は正しい肢です。申請日に認証が済まなければ定款が添付されていないことになり、補正の対象にもなりません。

本店移転の経由申請では新所在地の却下が旧所在地に及びます

他の登記所の管轄区域内への本店移転では、新所在地の申請を旧所在地の登記所を経由して同時に申請します。商業登記法52条5項により、新所在地の登記所が申請を却下したときは、旧所在地の申請は却下されたものとみなされます。「他の登記所の管轄区域内への本店移転の登記を申請した場合において、新所在地を管轄する登記所の登記官が新所在地における登記の申請を却下したときは、旧所在地における登記の申請は、却下されたものとみなされる」という肢は正しい肢です。「本店を甲県所在のA登記所の管轄区域内から乙県所在のB登記所の管轄区域内に移転する本店移転の登記が申請された場合において,B登記所の登記官が新所在地における登記の申請を却下したときは,その旨の通知を受けたA登記所の登記官は,旧所在地における登記の申請を却下しなければならない」という肢は誤りで、旧所在地の登記官が改めて却下の決定をするのではありません。

却下や不作為には審査請求で争えます

商業登記法142条により、登記官の処分に不服がある者や不作為に係る処分を申請した者は、監督法務局または地方法務局の長に審査請求ができます。「登記官が登記された事項に無効の原因があることを発見し,当該登記をした者に,一月を超えない一定の期間内に書面で異議を述べないときは登記を抹消すべき旨の通知をしたところ,当該登記をした者が異議を述べた場合において,登記官が異議を却下したときは,当該登記をした者は,当該異議を却下した処分に関する審査請求をすることができる」という肢は正しい肢です。「新株予約権の発行による変更の登記を申請した後,当該登記がされないまま 6 か月が経過した場合であっても,当該申請が却下されていないときには,申請人は審査請求をすることができない」という肢は誤りで、不作為も審査請求の対象です。「登記すべき事項につき無効の原因があるにもかかわらず登記がされている場合において,登記官が職権により当該登記を抹消することができるときは,当該登記に関する審査請求をすることはできない」という肢も誤りで、職権抹消の余地があっても審査請求は妨げられません。

商業登記法 第25条第1項

登記すべき事項につき訴えをもつてのみ主張することができる無効又は取消しの原因がある場合において、その訴えがその提起期間内に提起されなかつたときは、前条第九号の規定は、適用しない。

試験ではこう問われる

  1. 却下事由の列挙(管轄・登記事項以外・添付書面欠缺・同時申請を欠く・登録免許税不納付)に当たるかを問う肢
  2. 補正できる不備かどうか、補正の期間を誰が定めるかを問う肢
  3. 本店移転の経由申請で、新所在地の却下が旧所在地の申請にどう及ぶかを問う肢
  4. 却下処分・不作為・異議却下に対する審査請求の可否と経由先を問う肢

この用語が問われた肢

R6 問29 オ正しい

株式会社の設立の登記の申請が、電子情報処理組織を使用する方法により、公証人への定款の認証の嘱託と同時にされた場合において、申請された日の当日中に定款が認証されなかったときは、当該設立の登記の申請は却下される。

R8 問30 オ正しい

他の登記所の管轄区域内への本店移転の登記を申請した場合において、新所在地を管轄する登記所の登記官が新所在地における登記の申請を却下したときは、旧所在地における登記の申請は、却下されたものとみなされる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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