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会計監査人の就任・退任・再任かいけいかんさにんのしゅうにんたいにんさいにん

商業登記 第5章 役員の変更 過去問で12肢

公認会計士か監査法人である会計監査人が株主総会で選任されて就任し、1年の任期を定時株主総会のたびに自動で更新しながら、辞任・解任・定款変更で退任することです。再任で省ける書面と省けない書面、退任の登記期間と添付書面が肢で突かれます。

会計監査人の就任・退任・再任は、会社法337条1項の公認会計士または監査法人が株主総会の決議で選任されて就任し、1年の任期を更新し、辞任・解任・任期満了などで退任する一連の登記です。任期は会社法338条1項により選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までで、別段の決議がなければ同条2項により再任されたものとみなす扱いです。登記事項は会社法911条3項19号の会計監査人設置会社である旨と氏名または名称で、添付書面は商業登記法54条2項が定めています。肢で突かれるのは、再任で省ける書面、退任の登記期間、解任と解散の扱いです。

会社法 第338条第1項

会計監査人の任期は、選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。

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会計監査人の任期は1年で、別段の決議がなければ再任されたものとみなされます
みなし再任は承諾書不要・資格証明は必要退任の登記期間は退任の日から解散で職権抹消

就任の添付書面は承諾書と資格を証する書面で、再任は資格だけです

商業登記法54条2項により、就任の登記には就任承諾書と資格を示す書面を添付します。法人なら登記事項証明書(同じ管轄内か、申請書に会社法人等番号を記載すれば不要)、個人なら公認会計士であることを証する書面です。定時株主総会で別段の決議がなく再任されたものとみなされたときは、承諾の意思表示がないので承諾書は要らない扱いです。「会計監査人設置会社において,会計監査人が選任後 1 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会において別段の決議がされなかったことにより再任されたものとみなされた場合には,会計監査人の重任による変更の登記の申請書には,当該会計監査人が就任を承諾したことを証する書面の添付を要しない」という肢は正しい肢です。資格を証する書面には再任の除外がない点が違います。「公認会計士である会計監査人の重任による変更の登記の申請書には,当該会計監査人が選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会において別段の決議がされなかったことにより当該株主総会において再任されたものとみなされた場合であっても,公認会計士であることを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。

退任の登記期間は退任の日から数え、後任と同時でなくてよいです

会計監査人が辞任すると、登記期間は会社法915条1項により辞任の効力が生じた日から2週間になります。「Aのみを会計監査人とする会社において,令和 3 年 6 月 28 日に会計監査人Aが辞任し,同年 7 月 1 日に開催された株主総会において新たに会計監査人Bが選任され即時就任を承諾した場合,会計監査人Aの辞任による変更の登記の申請は,令和 3 年 7月 1 日から 2 週間以内にしなければならない」という肢は誤りです。唯一の会計監査人が辞任しても会計監査人には会社法346条1項の権利義務がなく、辞任の登記を後任の就任の登記と同時に申請する義務もないものです。「唯一の会計監査人が辞任した場合にする会計監査人の辞任による変更の登記は,新たに選任された会計監査人(一時会計監査人の職務を行うべき者も含む。)の就任による変更の登記と同時に申請しなければならない」という肢は誤りです。

解任は機関によって添付書面が分かれます

株主総会で解任するときは会社法344条により監査役(監査役会設置会社では監査役会)が議案の内容を決めますが、添付するのは株主総会議事録と株主リストだけになります。「株主総会の決議により会計監査人を解任した場合には、会計監査人の退任による変更の登記の申請書には、監査役会が当該株主総会の議案の内容を決定したことを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。監査役や監査役会が会社法340条で解任するときは、「職務を怠ったことを理由として監査役会が会計監査人を解任した場合には、会計監査人の退任による変更の登記の申請書には、監査役の全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢が正しい肢で、監査役会の決議ではなく全員の同意です。

解散すると会計監査人の登記は職権で抹消されます

会社が解散して清算株式会社になると会計監査人を置けません。商業登記規則72条1項により、解散の登記をしたときに会計監査人設置会社である旨と会計監査人の登記には登記官が抹消する記号を記録します。「会計監査人設置会社が株主総会の決議により解散した場合は、解散の登記の申請と同時に、会計監査人設置会社の定めの廃止及び会計監査人の任期満了による退任の登記の申請をしなければならない」という肢は誤りです。会計監査人を置く定めを廃止する定款変更をしたときは、会社法338条3項により任期が満了し、定めの廃止と退任の登記を申請します。会計監査人が欠けて遅滞なく選任されないときは監査役(監査役会・監査等委員会・監査委員会)が一時会計監査人の職務を行うべき者を選任し、正規の会計監査人の就任の登記で職権抹消されます。

責任限定契約の定めは契約がなくても登記します

会計監査人は会社法427条1項の非業務執行取締役等に含まれ、責任限定契約を結べる旨の定款の定めは会社法911条3項25号の登記事項です。「会計監査人が負う責任の限度に関する契約の締結についての定款の定めを設けた場合には,会計監査人と当該契約を締結していないときであっても,会計監査人の責任の制限に関する定めの設定による変更の登記の申請をしなければならない」という肢は正しい肢です。登記するのは定款の定めで、個々の契約の有無ではありません。

商業登記法 第54条第2項

会計参与又は会計監査人の就任による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
一 就任を承諾したことを証する書面
二 これらの者が法人であるときは、当該法人の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に当該法人の主たる事務所がある場合を除く。
三 これらの者が法人でないときは、会計参与にあつては会社法第三百三十三条第一項に規定する者であること、会計監査人にあつては同法第三百三十七条第一項に規定する者であることを証する書面

試験ではこう問われる

  1. みなし再任の重任で就任承諾書と資格を証する書面のどちらを省けるかを問う肢
  2. 会計監査人の辞任の登記期間の起算日と、後任の就任と同時申請が要るかを問う肢
  3. 株主総会・監査役・監査役会のどれが解任したかで添付書面が変わることを問う肢
  4. 解散や定款の定めの廃止で会計監査人の登記が職権抹消か申請かを問う肢
  5. 責任限定契約の定款の定めを契約の締結前に登記するかを問う肢

この用語が問われた肢

R2 問29 エ正しい

会計監査人設置会社において,会計監査人が選任後 1 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会において別段の決議がされなかったことにより再任されたものとみなされた場合には,会計監査人の重任による変更の登記の申請書には,当該会計監査人が就任を承諾したことを証する書面の添付を要しない。

R3 問29 ウ誤り

Aのみを会計監査人とする会社において,令和 3 年 6 月 28 日に会計監査人Aが辞任し,同年 7 月 1 日に開催された株主総会において新たに会計監査人Bが選任され即時就任を承諾した場合,会計監査人Aの辞任による変更の登記の申請は,令和 3 年 7月 1 日から 2 週間以内にしなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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