役員の氏名・住所の変更やくいんのしめいじゅうしょのへんこう
登記された役員の氏名や、代表取締役の住所が変わったときにする変更の登記です。住所が登記事項になる役員の範囲、住居表示の実施でも登記が要ること、添付書面が要らないことが肢で突かれます。
役員の氏名・住所の変更は、会社法911条3項に基づき登記されている役員の氏名や代表取締役の住所が変わったときに、2週間以内に申請する変更の登記です。取締役・監査役・会計参与・会計監査人は氏名または名称だけが登記事項で、住所まで登記するのは会社法911条3項14号の代表取締役と23号の代表執行役などです。氏名や住所の変更を証する書面の添付は法令で求められておらず、代理人が申請するときの委任状だけで足ります。肢で突かれるのは、誰の住所が登記事項か、住居表示の実施の扱い、そして旧氏の記録です。
会社法 第911条第3項第14号代表取締役の氏名及び住所(第二十三号に規定する場合を除く。)

住所が登記事項なのは代表取締役や代表執行役などに限られます
会社法911条3項13号により取締役は氏名だけを登記し、14号により代表取締役は氏名と住所を登記します。監査役・会計参与・会計監査人も氏名または名称だけです。取締役が引っ越しても登記は動かず、代表取締役が引っ越したときだけ住所の変更の登記をします。取締役の住所は就任の登記のときに本人確認証明書で確かめるだけで、登記簿には載りません。取締役会設置会社でない会社で各自代表の取締役は代表取締役として住所まで登記されているので、その住所の変更は登記の対象です。清算株式会社では代表清算人の住所が登記事項です。
住居表示の実施でも住所の変更の登記は要ります
住居表示の実施や行政区画の変更で住所の表記が変わったときも、登記簿の住所と一致しなくなるので変更の登記を申請します。「住居表示の実施により代表取締役の住所に変更があった場合には,代表取締役の住所の変更の登記を申請しなければならない」という肢は正しい肢です。住居表示の実施に伴う変更の登記は登録免許税法5条4号により非課税で、申請書には市町村長の住居表示実施証明書を添付します。行政区画や町名そのものが変わったり名称が変わったりしたときは、商業登記法26条によりその変更による登記があったものとみなされ、申請は要りません。住居表示の実施は番地の付け方を変える手続で、名称の変更とは別なので申請が要ります。
氏名の変更には証明書の添付が要らず、旧氏を併記できます
婚姻などで役員の氏名が変わったときは、氏名の変更の登記を申請し、添付書面は委任状だけです。平成27年2月27日施行の商業登記規則の改正で、役員の就任や氏名変更の登記の際に申し出れば婚姻前の氏を登記簿に記録できるようになりました。令和4年9月1日からは婚姻前に限らない旧氏を、登記の申請と別の時期にも申し出られます。「合同会社の代表社員が法人である場合の職務執行者の就任による変更の登記の申請をする者は,婚姻によって氏を改めた当該職務執行者の婚姻前の氏記録すべき氏と同一であるときを除く。をも記録するように申し出ることができる」という肢は正しい肢です。旧氏の記録の申出には戸籍事項証明書などで婚姻前の氏を証します。株式会社の役員や持分会社の社員、一般社団法人の理事など、氏名が登記事項になる者なら申出ができます。
登記期間は2週間で、登録免許税は役員変更分です
氏名や住所の変更は会社法915条1項により変更の日から2週間以内に本店の所在地で登記し、怠れば過料の対象です。変更の日は転居の日や婚姻の日で、登記官はその日付を書面で確かめません。登録免許税は役員変更分として資本金の額が1億円を超える会社は3万円、1億円以下は1万円で、同じ申請書で就任や退任と一緒に申請しても1件分です。会計参与や会計監査人の名称の変更も同じ区分で、法人の名称変更に添付するのは商業登記法54条3項の登記事項証明書ですが、申請書に会社法人等番号を記載すれば省けるものです。代表取締役の住所は取引の相手が代表者を特定するための情報ですが、令和6年10月1日施行の住所非表示措置を住所変更の登記と同時に申し出れば、証明書への表示を抑えられます。
会社法 第915条第1項会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
試験ではこう問われる
- 取締役・監査役の住所が登記事項かを、代表取締役の住所と混ぜて問う肢
- 住居表示の実施で住所の変更の登記が要るか、登録免許税が課されるかを問う肢
- 氏名の変更や住所の変更に戸籍や住民票の添付が要るかを問う肢
- 婚姻前の氏の併記の申出ができる役員の範囲を問う肢
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