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会計監査人のみなし再任かいけいかんさにんのみなしさいにん

商業登記 第5章 役員の変更 過去問で3肢

会計監査人は任期満了の定時株主総会で別段の決議がされなければ、会社法338条2項によりその総会で再任されたものとみなされます。重任の登記の原因日付、承諾書が要らず資格を証する書面は要ること、株主リストの要否が要点です。

会計監査人のみなし再任は、会社法338条2項により、任期満了の定時株主総会で別段の決議がされなかったときに、その定時株主総会で会計監査人が再任されたものとみなす仕組みです。会計監査人の任期は1年なので、毎年の定時株主総会で選び直す手間を省き、監査の継続性を保つために置かれています。登記は「重任」で、原因日付は定時株主総会の終結の日です。再任しないことに関する議案の内容は会社法344条により監査役または監査役会が決めます。肢で突かれるのは、重任の登記に添付する書面と、通常の選任との違いです。

会社法 第338条第2項

会計監査人は、前項の定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなす。

定時株主総会で誰も手を挙げず、公認会計士風の人物が同じ席に座り続けている。頭上に循環する矢印
会計監査人は定時株主総会で別段の決議がなければ再任されたものとみなされ、重任の登記をします
原因日付は定時株主総会の終結の日承諾書不要・資格証明は必要株主リスト不要

別段の決議がなければ定時株主総会の終結の時に重任します

会社法338条1項の任期は選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。任期満了の定時株主総会で再任しない旨や別の会計監査人を選任する旨の決議がされなければ、2項によりその総会で再任されたものとみなされます。退任と就任が同時なので登記は重任で、原因日付は定時株主総会の終結の日です。再任しない議案は会社法344条により監査役設置会社では監査役が、監査役会設置会社では監査役会が内容を決めます。

就任承諾書は要らず、資格を証する書面は要ります

みなし再任では会計監査人が改めて承諾の意思表示をしないので、就任承諾書は添付しません。「会計監査人設置会社において,会計監査人が選任後 1 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会において別段の決議がされなかったことにより再任されたものとみなされた場合には,会計監査人の重任による変更の登記の申請書には,当該会計監査人が就任を承諾したことを証する書面の添付を要しない」という肢は正しい肢です。資格を証する書面は商業登記法54条2項に再任の除外がないので、「公認会計士である会計監査人の重任による変更の登記の申請書には,当該会計監査人が選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会において別段の決議がされなかったことにより当該株主総会において再任されたものとみなされた場合であっても,公認会計士であることを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。

決議を要しないので株主リストは添付しません

みなし再任は株主総会の決議によらないので、商業登記規則61条3項の株主リストは添付しません。添付するのは、別段の決議がされなかったことを示す定時株主総会議事録と、資格を証する書面です。定時株主総会で改めて選任の決議をして再任したときは通常の選任なので、株主総会議事録と株主リストを添付し、承諾書も要ります。定時株主総会の決議を会社法319条のみなし決議で済ませたときは、同条5項により総会が終結したものとみなされる日が重任の日です。

定款の定めを廃止すれば任期は満了し、みなし再任は起きません

会社法338条3項により、会計監査人を置く旨の定款の定めを廃止する定款変更をすると、会計監査人の任期はその時に満了します。定めの廃止と会計監査人の退任の登記を併せて申請し、退任を証する書面は定款変更の株主総会議事録と株主リストです。株主総会の決議などで解散したときは、商業登記規則72条1項により会計監査人設置会社である旨と会計監査人の登記が職権で抹消されるので、申請は要りません。合併や破産手続開始による解散は同項の対象外です。会計監査人が辞任や解任で欠けて遅滞なく選任されないときは、監査役(監査役会・監査等委員会・監査委員会)が一時会計監査人の職務を行うべき者を選任します。みなし再任は定時株主総会の終結の時に任期が満了する場面だけに働き、途中で欠けた場合には適用がありません。

商業登記法 第54条第2項

会計参与又は会計監査人の就任による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
一 就任を承諾したことを証する書面
二 これらの者が法人であるときは、当該法人の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に当該法人の主たる事務所がある場合を除く。
三 これらの者が法人でないときは、会計参与にあつては会社法第三百三十三条第一項に規定する者であること、会計監査人にあつては同法第三百三十七条第一項に規定する者であることを証する書面

試験ではこう問われる

  1. みなし再任の重任の原因日付(定時株主総会の終結の日)を問う肢
  2. みなし再任の重任で就任承諾書と資格を証する書面のどちらを省けるかを問う肢
  3. みなし再任の重任に株主リストが要るかを、通常の選任による再任と混ぜて問う肢
  4. 会計監査人を置く定めの廃止や解散で、任期満了の退任の登記を申請するかを問う肢

この用語が問われた肢

R2 問29 エ正しい

会計監査人設置会社において,会計監査人が選任後 1 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会において別段の決議がされなかったことにより再任されたものとみなされた場合には,会計監査人の重任による変更の登記の申請書には,当該会計監査人が就任を承諾したことを証する書面の添付を要しない。

R4 問33 ウ誤り

会計監査人設置会社が株主総会の決議により解散した場合は、解散の登記の申請と同時に、会計監査人設置会社の定めの廃止及び会計監査人の任期満了による退任の登記の申請をしなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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