監査役の就任・退任かんさやくのしゅうにんたいにん
株主総会で選任された監査役が就任を承諾して就き、任期満了・辞任・定款変更などで退任することです。就任の添付書面が取締役とどう違うか、どの定款変更で任期が満了するか、清算株式会社で監査役を外せるかが肢で突かれます。
監査役の就任・退任は、会社法329条1項の株主総会の決議で選任された監査役が承諾して就任し、任期満了や辞任、定款変更などで地位を失うことです。就任の登記には商業登記法54条1項の就任承諾書と、商業登記規則61条7項の本人確認証明書(再任を除く)を添付しますが、取締役と違って承諾書の印鑑証明書は要りません。監査役を置く会社は会社法911条3項17号により監査役設置会社である旨と監査役の氏名を登記します。肢で突かれるのは、添付書面の取締役との違い、任期を満了させる定款変更、そして清算株式会社での扱いです。
会社法 第911条第3項第17号監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)であるときは、その旨及び次に掲げる事項

就任の添付書面は承諾書と本人確認証明書で、印鑑証明書は要りません
監査役の選任は会社法341条の普通決議です。現任の監査役がいるときは取締役が議案を出すのに会社法343条により監査役(複数なら過半数、監査役会設置会社なら監査役会)の同意が要りますが、同意書は添付書面ではありません。就任の登記には株主総会議事録・株主リスト・就任承諾書を添付し、再任でなければ本人確認証明書を加えます。「監査役の就任の登記において、新任の監査役の本人確認証明書として、就任承諾書に記載した当該監査役の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている住民票の写しを添付することができる」という肢は正しい肢です。商業登記規則61条4項と5項の印鑑証明書は取締役会設置会社でない会社の取締役と、取締役会設置会社の代表取締役の承諾書だけが対象なので、監査役の承諾書には要りません。
任期は4年で、4つの定款変更で満了します
会社法336条1項により監査役の任期は選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までで、短縮はできません。公開会社でない会社は定款で10年まで伸ばせ、補欠として選任した監査役の任期を前任者の残任期間までとする定款の定めも可能です。会社法336条4項は任期が満了する定款変更を4つ挙げます。監査役を置く定めの廃止、監査等委員会や指名委員会等の設置、監査の範囲を会計に限定する定めの廃止、全部の株式の譲渡制限の廃止です。任期満了や辞任で員数を欠けば、会社法346条1項により後任が就任するまで権利義務を負います。清算株式会社には会社法480条2項により336条が適用されず、特例有限会社も整備法により任期の規定の適用がありません。
監査役設置会社である旨は特例有限会社では登記しません
監査役を置く株式会社は、会社法911条3項17号により監査役設置会社である旨と監査役の氏名を登記します。特例有限会社は会社法の整備法により監査役設置会社である旨と会計限定の旨の登記をせず、監査役の氏名と住所を登記します。「定款に監査役を置く旨を定めた場合には,監査役設置会社である旨を登記しなければならない」という特例有限会社についての肢は誤りです。取締役会設置会社(監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社を除く)は原則として監査役を置かなければならず、公開会社でない会計参与設置会社だけが例外です。
清算開始時に公開会社か大会社だった清算会社は監査役を外せません
会社法477条4項により、清算の開始時に公開会社または大会社であった清算株式会社は監査役を置かなければなりません。「清算の開始時に会社法上の公開会社であった清算株式会社は、定款を変更して公開会社でない会社となった場合であっても、監査役設置会社の定めの廃止の登記を申請することができない」という肢は正しい肢です。監査役会はこの義務の対象でないので、清算株式会社が監査役会を置く定めを廃止する登記はできます。会社が解散しても監査役設置会社である旨は職権で抹消されず、取締役会設置会社である旨や取締役・代表取締役、会計参与、会計監査人に関する登記が商業登記規則72条1項により抹消されます。
会計監査人を置く会社と監査役会の関係も一緒に問われます
会社法327条3項により会計監査人設置会社は監査役を置かなければならず、監査役会まで要るのは会社法328条1項の公開大会社だけです。いずれも監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社は除かれます。「取締役会及び監査役を置く旨の定款の定めがある会社法上の公開会社であって大会社ではない会社が、新たに会計監査人設置会社の定めの設定による変更の登記をする場合には、併せて監査役会設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をしなければならない」という肢は誤りです。反対に監査等委員会設置会社は会社法327条5項により会計監査人を置かなければなりません。監査役設置会社の定めを廃止して監査等委員会設置会社になる登記では、まだ会計監査人設置会社でなければ会計監査人設置会社の定めの設定も併せて申請します。
会社法 第336条第4項前三項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
一 監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
二 監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の変更
三 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
四 その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
試験ではこう問われる
- 監査役の就任承諾書に印鑑証明書が要るか、本人確認証明書で足りるかを取締役と混ぜて問う肢
- 監査役の任期が満了する定款変更の種類と、清算株式会社の監査役に任期があるかを問う肢
- 特例有限会社で監査役設置会社である旨を登記するかを問う肢
- 清算開始時に公開会社や大会社だった清算株式会社で監査役や監査役会の定めを廃止できるかを問う肢
- 会計監査人設置会社に監査役会が要るか、監査等委員会設置会社に会計監査人が要るかを問う肢
この用語が問われた肢
監査役の就任の登記において、新任の監査役の本人確認証明書として、就任承諾書に記載した当該監査役の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている住民票の写しを添付することができる。
清算の開始時に会社法上の公開会社であった清算株式会社は、定款を変更して公開会社でない会社となった場合であっても、監査役設置会社の定めの廃止の登記を申請することができない。
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