解散かいさん
会社が営業活動をやめ、清算の手続に入る原因となる事実です。どの解散事由なら申請で登記し、登記の後にどの機関の登記が職権で消えるかが肢で突かれます。
解散は、会社が事業活動をやめ、財産関係を整理する清算に入る原因となる事実です。株式会社の解散事由は会社法471条が六つ列挙し、持分会社は641条が七つ列挙しています。合併による解散を除いて、解散した会社は清算の目的の範囲内で清算が結了するまで存続し、破産手続開始の決定による解散では破産手続が終わらない間は会社法上の清算に入りません。登記の側から見ると、申請で解散の登記をする事由、合併の登記や裁判所書記官の嘱託で処理される事由、休眠会社のみなし解散のように登記官が職権で登記する場合に分かれます。肢で突かれるのは、この申請と職権の線引きと、解散後の会社に何ができないかです。
会社法 第471条(解散の事由)
株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。
一 定款で定めた存続期間の満了
二 定款で定めた解散の事由の発生
三 株主総会の決議
四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
五 破産手続開始の決定
六 第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第一項の規定による解散を命ずる裁判

申請で登記する解散事由は三つです
株式会社の解散事由は、定款で定めた存続期間の満了、定款で定めた解散事由の発生、株主総会の決議、合併による消滅、破産手続開始の決定、解散を命ずる裁判の六つです。会社が申請で解散の登記をするのは前の三つで、解散の日から2週間以内に本店の所在地で登記します。合併による解散は吸収合併や新設合併の登記の一部として処理され、破産手続開始の決定と解散命令は裁判所書記官の嘱託で登記されます。株主総会で解散を決めるときは特別決議が要り、登記の登録免許税は3万円です。登記すべき事項は、解散した旨とその事由、年月日の三つです。
添付書面は解散事由ごとに違い、存続期間の満了なら添付は要りません
株主総会の決議で解散したときは、株主総会議事録と株主リストを添付します。定款で定めた解散事由の発生で解散したときは、その事由の発生を証する書面を添付します。存続期間の満了は登記記録に存続期間が登記されているので、満了を証する書面は要りません。解散の登記を代表清算人が申請するときは資格を証する書面が要りますが、取締役がそのまま清算人になり、解散前の代表取締役が代表清算人になった場合は要りません。実務では解散の登記と清算人の登記を一つの申請書で同時に申請し、添付書面の定款や就任承諾書は清算人の登記のために添えます。
取締役の登記は職権で消え、監査役の登記は残ります
合併と破産手続開始の決定を除く事由で解散の登記がされると、登記官は役員などの登記に抹消の記号を記録します。対象になるのは取締役会設置会社である旨と取締役・代表取締役、会計参与、会計監査人、監査等委員会、指名委員会等の登記で、監査役は含まれません。「定款の定めにより監査役及び会計監査人を置いていた会社が解散したときは,解散の登記がされても,監査役設置会社である旨及び会計監査人設置会社である旨の登記を抹消する記号は,いずれも記録されない」という肢は誤りです。会計監査人の登記は職権で消え、監査役の登記は清算中も残るので、「委員会設置会社である旨の登記並びに委員,執行役及び代表執行役に関する登記は,いずれも登記官の職権により抹消される」という肢は正しい肢です。職権で消えるので、「解散の登記の申請と同時に、会計監査人設置会社の定めの廃止及び会計監査人の任期満了による退任の登記の申請をしなければならない」という肢は誤りです。支配人の登記も解散の登記で抹消の記号が記録されますが、清算中に支配人を選任すればその登記はできます。
解散した会社は存続会社になる合併や吸収分割の承継ができません
解散した株式会社は、自らが存続する合併と、吸収分割で他の会社の権利義務を承継することができません。消滅する側として合併することはできます。一般社団法人や一般財団法人でも同じ扱いで、「社員総会の決議により解散した一般社団法人を合併後存続する一般社団法人とする合併による変更の登記の申請は,することができる」という肢は誤りです。「一般財団法人が解散した場合には,当該一般財団法人は,当該一般財団法人が合併後存続する一般財団法人となる合併による変更の登記の申請をすることができない」という肢は正しい肢です。登記官は解散の登記がある会社を存続会社とする合併の登記の申請を受理できないので、登記記録の会社状態区を読むことが前提になります。
持分会社の社員構成の変化は解散ではなく種類の変更として登記します
合資会社の無限責任社員が全員退社して有限責任社員だけになると、合資会社は合同会社になる定款の変更をしたものとみなされます。登記の手続は解散と設立の二本立てで、「当該合資会社については解散の登記を,当該合資会社から種類を変更した合同会社については設立の登記を,それぞれ申請しなければならない」という肢は正しい肢です。退社と同時に新しい社員が加入すれば種類は変わらないので、「合資会社の解散の登記及び合名会社の設立の登記をした後でなければ,新たな有限責任社員の加入による変更の登記の申請をすることはできない」という肢は誤りです。解散の登記という名前でも実体は会社の消滅ではなく、清算は始まりません。
商業登記法 第71条(解散の登記)
解散の登記において登記すべき事項は、解散の旨並びにその事由及び年月日とする。
定款で定めた解散の事由の発生による解散の登記の申請書には、その事由の発生を証する書面を添付しなければならない。
代表清算人の申請に係る解散の登記の申請書には、その資格を証する書面を添付しなければならない。ただし、当該代表清算人が会社法第四百七十八条第一項第一号の規定により清算株式会社の清算人となつたもの(同法第四百八十三条第四項に規定する場合にあつては、同項の規定により清算株式会社の代表清算人となつたもの)であるときは、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 会社が申請で解散の登記をする事由はどれか(存続期間の満了・解散事由の発生・株主総会の決議)
- 解散の登記で職権で抹消されるのはどの登記か(取締役・会計参与・会計監査人・委員会など。監査役は残る)
- 会計監査人の退任の登記を解散と同時に申請する必要はあるか(ない。職権で抹消される)
- 解散した会社は存続会社として合併できるか(できない。消滅会社にはなれる)
- 合資会社の社員が有限責任社員だけになったときの登記は何か(解散の登記と合同会社の設立の登記)
この用語が問われた肢
会計監査人設置会社が株主総会の決議により解散した場合は、解散の登記の申請と同時に、会計監査人設置会社の定めの廃止及び会計監査人の任期満了による退任の登記の申請をしなければならない。
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