役員の再任と印鑑証明書の省略やくいんのさいにんといんかんしょうめいしょのしょうりゃく
同じ地位に再び就任する役員については、商業登記規則61条4項から7項が就任承諾書の印鑑証明書と本人確認証明書の添付を免除する仕組みです。何が再任に当たるか、再任でも省けない書面、議事録の印鑑証明書との違いが肢で突かれます。
役員の再任と印鑑証明書の省略は、取締役や監査役などが同じ地位に再び就任するときの添付書面の軽減です。商業登記規則61条4項(5項で読み替える場合を含む)と7項の括弧書きにより、就任承諾書に押した印鑑の印鑑証明書と本人確認証明書の添付が要らなくなります。任期満了と同時に再選される重任が典型ですが、退任した後に再び同じ地位に就く場合も再任として扱われます。再任で省けるのは本人の意思の真正を確かめる書面だけで、就任承諾書そのものや資格を証する書面は省けません。肢で突かれるのは、再任の範囲と、省ける書面と省けない書面の線引きです。
商業登記規則 第61条第7項設立の登記又は取締役、監査役若しくは執行役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役(以下この項及び第百三条において「取締役等」という。)が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと)を証する書面に記載した取締役等の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾した場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)を添付しなければならない。ただし、登記の申請書に第四項(第五項において読み替えて適用される場合を含む。)又は前項の規定により当該取締役等の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。

再任は同じ地位への就任で、重任に限りません
再任とは、退任した役員が同じ会社の同じ地位に再び就任することです。任期満了の時に再選されて退任と就任が同時に起きる重任のほか、辞任や任期満了で退任した後に改めて選任され、退任と就任の登記を同じ申請書で申請する場合も再任に含めて扱われています。取締役を退任した者が監査役に就任する場合や、監査役を退任した者が取締役に就任する場合は地位が違うので再任ではなく、新任として印鑑証明書や本人確認証明書が要ります。登記すべき事項には重任なら「重任」、間が空いた再任なら「退任」または「辞任」と「就任」をそれぞれ記載します。
再任で省けるのは承諾書の印鑑証明書と本人確認証明書です
商業登記規則61条4項と5項の就任承諾書の印鑑証明書、7項の本人確認証明書は、いずれも再任のときは要りません。同じ条の6項の議事録の印鑑証明書には再任の除外がありません。本人がすでにその地位にあり、就任の意思の真正を改めて確かめる必要が薄いからです。就任承諾書そのものは商業登記法54条1項により再任でも要ります。議事録に席上で承諾した旨が書かれていれば、その議事録を承諾書として援用できます。再任かどうかは登記簿の記録で登記官が判断するので、再任であることを証する書面は要りません。
資格を証する書面は再任でも省けません
会計監査人や会計参与の資格を証する書面は商業登記法54条2項が定め、再任を除く括弧書きがありません。「公認会計士である会計監査人の重任による変更の登記の申請書には,当該会計監査人が選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会において別段の決議がされなかったことにより当該株主総会において再任されたものとみなされた場合であっても,公認会計士であることを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。会計監査人のみなし再任では承諾の意思表示がないので承諾書は要らず、「会計監査人設置会社において,会計監査人が選任後 1 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会において別段の決議がされなかったことにより再任されたものとみなされた場合には,会計監査人の重任による変更の登記の申請書には,当該会計監査人が就任を承諾したことを証する書面の添付を要しない」という肢は正しい肢です。
議事録の印鑑証明書は再任ではなく届出印で省けます
代表取締役の選定の議事録や互選書に押した印鑑の印鑑証明書は商業登記規則61条6項が定め、再任による除外はありません。省けるのは、変更前の代表取締役で取締役を兼ねる者が登記所の届出印を押しているときだけです。代表取締役が重任するときは本人が変更前の代表取締役なので、議事録に届出印を押せば印鑑証明書を省けます。改印届を出した後は従前の印鑑では省略できないので、重任のときも届出印の最新の状態を確かめます。
商業登記規則 第61条第4項設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと。以下この項において同じ。)を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。取締役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき取締役が就任を承諾したことを証する書面に押印した印鑑についても、同様とする。
試験ではこう問われる
- 重任と間を置いた再任、取締役から監査役への就任のどれが再任に当たるかを問う肢
- 再任のときに就任承諾書・本人確認証明書・印鑑証明書のどれを省けるかを問う肢
- 会計監査人のみなし再任で資格を証する書面と就任承諾書のどちらが要るかを問う肢
- 代表取締役の重任で議事録の印鑑証明書を省ける条件(届出印の押印)を問う肢
この用語が問われた肢
会計監査人設置会社において,会計監査人が選任後 1 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会において別段の決議がされなかったことにより再任されたものとみなされた場合には,会計監査人の重任による変更の登記の申請書には,当該会計監査人が就任を承諾したことを証する書面の添付を要しない。
代表取締役Aが登記されている取締役会設置会社において,更に代表取締役Bを選定した取締役会の議事録にAが登記所に提出している印鑑と同一の印鑑を押印した場合には,その後,Bが代表取締役に就任したことによる変更の登記の申請前にAが改印届を登記所に提出したときであっても,当該登記の申請書には,当該議事録に押印した取締役及び監査役の印鑑につき市町村長の作成した証明書の添付を要しない。
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