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単独申請たんどくしんせい

不動産登記 第1章 登記の仕組みと申請の骨格 過去問で26肢

共同申請主義の例外として、法令の定めにより権利者または名義人の一方だけで申請できる登記です。どの登記が単独申請で、単独申請でも登記識別情報が要る場面はどれかが肢で突かれます。

単独申請は、法令に別段の定めがある場合として、登記権利者または登記名義人が相手方なしに申請できる登記の総称です。不動産登記法63条が判決による登記、相続・合併による移転、相続人に対する遺贈による所有権の移転を定めています。64条の氏名等の変更、74条の保存、69条の2の買戻特約の抹消、111条の仮処分に後れる登記の抹消、118条の収用、103条の受益者変更、107条・110条の仮登記も同じです。相続人に対する遺贈の単独申請は令和5年4月1日施行の改正で加わりました。肢で突かれるのは、列挙にない登記を単独申請に見せかけるすり替えと、単独申請でも義務者側の本人確認が残る場面の二つになります。

不動産登記法 第63条

(判決による登記等)
第六十条、第六十五条又は第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。

一人の女性が遺影と戸籍の束を職員に差し出し、隣のカウンターは空いている
判決・相続・合併・相続人への遺贈・氏名等の変更・保存などは、法令の定めで単独申請になります
63条の判決・相続・合併・相続人への遺贈64条の氏名等変更、74条の保存名義人自身が消す申請には登記識別情報

設定や通常の移転は単独申請になりません

抵当権の設定は所有権の登記名義人を義務者とする共同申請で、「抵当権の設定の登記は、登記権利者が単独で申請することができる」という肢は誤りです。相続人の不存在が確定して相続財産から特別縁故者以外の共有者に持分が帰属する場合も、相続財産法人からの移転は共同申請で、「特別縁故者不存在確定を登記原因とするAからBへのAの持分の移転の登記は,Bが単独で申請することはできない」という肢は正しい肢です。単独申請になるのは法令が個別に定めた登記に限られます。

相続・相続人への遺贈・収用は単独申請です

相続分の譲渡を受けて単独の相続人になった者は、相続を原因とする移転の登記を単独で申請でき、「Dは,甲土地について相続を原因とするAからDへの所有権の移転の登記を単独で申請することができる」という肢は正しい肢です。相続人に対する遺贈も令和5年4月1日から単独申請になり、遺言執行者がいる場合でも「Bは,甲土地について,当該遺言に基づき,遺贈を原因とする所有権の移転の登記を単独で申請することができる」という肢は正しい肢です。収用で所有権を取得した起業者も単独で申請でき、「収用を登記原因とする所有権の移転の登記を単独で申請することができる」という肢は正しい肢です。法定相続分で登記した後に遺産分割で単独所有になった相続人は、令和5年3月28日民二第538号通達により、所有権の更正の登記を単独で申請できます。

受益者の変更は単独申請で、受託者の辞任は共同申請です

受益者の変更の登記は受託者が単独で申請でき、「売買を登記原因とする受益者の変更の登記は,Aが単独で申請することができる」という肢は正しい肢です。他方、受託者の一人が辞任で任務を終了したときの権利の変更の登記は、死亡や解任のように法が単独申請を認める事由ではないので、「Bが単独で申請することができる」という肢は誤りです。単独申請になる任務終了の事由は不動産登記法100条が限定しています。

名義人が自分の登記を消す単独申請には登記識別情報が要ります

仮登記の登記名義人が単独で仮登記を抹消するときは、自分の権利を失う申請なので登記識別情報を提供します。「Bが売買予約の解除を原因とする本件仮登記の抹消を単独で申請する場合には、本件仮登記が完了した際に通知された登記識別情報を提供することを要しない」という肢は誤りです。相続や判決の単独申請では義務者の登記識別情報が要らないのに対し、名義人自身が申請する抹消では本人確認が残ります。

仮処分債権者の単独抹消は本登記と同時の場合だけです

処分禁止の仮処分の債権者は、債務者を義務者とする所有権の登記を申請するときに、処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請できます。仮登記では使えず、「A及びBが甲土地について所有権の移転請求権の保全の仮登記を申請する場合には,Bは,当該処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請することができる」という肢は誤りです。処分禁止の登記そのものは登記官が職権で抹消するので、「Bは,当該処分禁止の登記の抹消を単独で申請することができる」という肢も誤りです。抹消にはあらかじめ名義人に通知したことを証する情報が要り、仮処分の決定書の正本は登記原因証明情報として要りません。後れる登記が所有権の移転と抵当権の設定のように目的の違う複数のものであるときは、「一の申請情報により申請することができない」という肢のとおり、登記ごとに申請します。

不動産登記法 第64条第1項

登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。

試験ではこう問われる

  1. 抵当権の設定や特別縁故者不存在確定による持分移転は単独申請か(共同申請)
  2. 相続人への遺贈・収用・相続分譲渡後の相続登記は単独申請か(単独申請。相続人への遺贈は令和5年4月1日から)
  3. 受益者の変更と受託者の辞任による変更の登記はどちらが単独申請か(受益者の変更。辞任は共同申請)
  4. 仮登記名義人が単独で仮登記を抹消するとき登記識別情報は要るか(要る)
  5. 仮処分債権者は仮登記の申請と同時に後れる登記を単独で抹消できるか(できない。仮登記を除く所有権の登記や、所有権以外の権利の移転・消滅の登記のとき)

この用語が問われた肢

R8 問16 エ正しい

甲土地の所有権の登記名義人であるAが死亡し、Aの相続人が子B、C及びDである場合において、B及びCがいずれもDに対して相続分を譲渡したときは、Dは、甲土地について相続を原因とするAからDへの所有権の移転の登記を単独で申請することができる。

R8 問14 ア正しい

甲土地の所有権の登記名義人であるAがその子であるBに甲土地を遺贈するとともに遺言執行者としてCを指定する旨の遺言をした場合において、Aが死亡したときは、Bは、甲土地について、当該遺言に基づき、遺贈を原因とする所有権の移転の登記を単独で申請することができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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