死亡・解散による抹消の単独申請しぼうかいさんによるまっしょうのたんどくしんせい
権利が人の死亡や法人の解散で消滅する旨が登記されている場合に、実際に死亡や解散で権利が消滅したときは、登記権利者が単独で抹消を申請できる制度です。前提として消滅の定めが登記されていることと、添付情報が肢で突かれます。
死亡・解散による抹消の単独申請は、権利が権利者の死亡や法人の解散で消滅する旨が登記されている場合の特則です。実際に死亡や解散で権利が消滅したとき、不動産登記法69条により登記権利者が単独で抹消の登記を申請できます。共同申請の原則では相続人や清算人の協力が要りますが、消滅の定めは登記で公示され、死亡や解散は公的な書面で証明できるので、単独申請が認められています。前提となる権利の消滅に関する定めは不動産登記法59条5号の登記事項で、付記登記でされます。肢で突かれるのは、定めの登記の有無、申請人、添付情報、似た単独抹消との区別です。
不動産登記法 第69条(死亡又は解散による登記の抹消)
権利が人の死亡又は法人の解散によって消滅する旨が登記されている場合において、当該権利がその死亡又は解散によって消滅したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該権利に係る権利に関する登記の抹消を申請することができる。

消滅の定めが登記されていることが前提です
単独申請ができるのは、権利が人の死亡や法人の解散によって消滅する旨が登記されている場合に限られます。契約で定めがあっても登記していなければ通常の共同申請で、相続人や清算人が登記義務者です。定めは権利の設定の登記と同時に申請するのが通常で、後から権利の変更の登記として追加することもできるものです。所有権について受贈者の死亡で前主に戻る旨の定めが登記されている場合は、登記実務では抹消ではなく前主への所有権の移転の登記で処理するとされ、69条の単独抹消の場面ではありません。定めが付記されている登記を見たら、死亡や解散の日付が登記原因の日付になり、その日に権利が消滅したことを前提に抹消の申請書を組み立てます。
申請人は登記権利者で、相続人や清算人の協力は要りません
抹消によって利益を受ける登記権利者、通常は設定者である所有権の登記名義人が単独で申請します。死亡した権利者の相続人や解散した法人の清算人は登記義務者にならず、登記識別情報の提供も要りません。相続人が協力しないときに判決を取る必要もなく、相続による権利の移転の登記を前提として入れる必要もありません。解散した法人についても、清算結了の登記がされていれば清算人を探して協力を求めることは難しく、単独申請の実益が大きい場面です。消滅の定めが登記されていない権利の名義人が死亡したときは、死亡の後に権利が消滅したのなら相続による移転の登記が前提です。生前に消滅していた権利や、登記されていない定めで死亡と同時に消滅した権利は、相続人を登記義務者とする共同申請で抹消するのが扱いで、定めの登記の有無による違いが肢で突かれます。
添付情報は死亡や解散を証する公的な書面です
登記原因証明情報として、死亡なら戸籍の記載事項証明書や除籍の謄本、解散なら解散の登記がある法人の登記事項証明書を提供します。登記原因には、権利が消滅した事実として死亡や解散の事実とその日付を記載します。単独申請なので登記識別情報は要らず、申請人が所有権の登記名義人でも登記義務者ではないので印鑑証明書も要りません。代理人に委任するときの委任状は通常どおり提供します。消滅した権利を目的とする転抵当権者などの利害関係人がいるときは、通常の抹消登記と同じく不動産登記法68条により承諾を証する情報が要ります。登録免許税は抹消登記として不動産1個につき1,000円です。
買戻特約の10年経過による単独抹消は別の条文です
令和5年4月1日施行の不動産登記法69条の2は、買戻しの特約の登記について契約の日から10年を経過したときに、登記権利者が単独で抹消を申請できるとしました。買戻特約の方は買戻権者の死亡ではなく期間の経過が理由で、不動産登記令7条3項により登記原因証明情報の提供も要りません。死亡・解散による抹消は死亡や解散を証する情報を提供する点で異なります。休眠担保権の抹消のように所在不明を理由とする単独抹消とも別の仕組みです。69条は定めの登記、69条の2は期間の経過、70条は所在不明と、三つの条文の要件を並べて整理すると混同を防げます。
不動産登記法 第59条第1項第5号登記の目的である権利の消滅に関する定めがあるときは、その定め
試験ではこう問われる
- 単独申請の前提(消滅の定めが登記されていること)
- 申請人(登記権利者の単独。相続人・清算人は義務者にならない)
- 添付情報(死亡・解散を証する戸籍や登記事項証明書。登記識別情報は不要)
- 似た単独抹消との区別(買戻特約の10年経過は69条の2、所在不明は70条)
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