判決による所有権移転の単独申請はんけつによるしょゆうけんいてんのたんどくしんせい
登記義務者に登記手続を命ずる確定判決があれば、登記権利者が単独で所有権の移転の登記を申請できます。どんな判決や調書なら使えるか、執行文や承継執行文がいつ要るかが肢で突かれます。
判決による所有権移転の単独申請は、共同申請の相手方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決があるとき、他方の当事者が単独で申請できる仕組みです。不動産登記法63条1項が定め、判決が登記義務者の申請の意思表示に代わるので、登記識別情報と印鑑証明書は要りません。使えるのは登記手続を命ずる給付判決で、所有権の確認判決や登記に必要な書類の交付を命ずる判決では足りないのが原則です。判決と同じ効力を持つ和解調書や調停調書、執行決定のある仲裁判断も使えます。肢は、執行文の要否、承継執行文で誰まで動かせるか、判決書に添える書面を突いてきます。
不動産登記法 第63条第1項第六十条、第六十五条又は第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。

登記手続を命ずる確定判決と同じ効力の調書で申請できます
単独申請の根拠になるのは、登記義務者に登記手続を命ずる確定判決です。和解調書や調停調書も確定判決と同じ効力があり、仲裁判断に確定した執行決定があれば同じように扱われます。「仲裁判断につき確定した執行決定がある場合であっても,Bは,単独で当該所有権の移転の登記を申請することはできない」という肢は誤りです。登記手続そのものを命じていない調書は使えず、「所有権の移転の登記手続に必要な書類を交付することを内容とする和解調書に基づき,Bは,単独で甲土地の所有権の移転の登記を申請することができる」という肢は誤りです。判決があっても当事者が共同で申請することは妨げられず、判決を登記原因証明情報として共同申請できるとする肢は正しい肢です。
執行文は反対給付や条件が付いた判決にだけ要ります
判決による登記は登記官が判決の内容を確認して行うので、通常の判決に執行文は要りません。判決の確定後に登記義務者が死亡し、その相続人に対して判決による登記を申請するときは承継執行文が要ります。判決の確定を示す確定証明書は要りますが、送達証明書は要らず、「判決書の正本に当該判決の確定証明書及びAへの送達証明書を添付しなければならない」という肢は誤りです。反対給付との引換えに登記手続を命ずる和解調書では、反対給付の履行を確認するため執行文の付与が要り、要るとする肢は正しい肢です。農地法の許可を条件とする判決も、許可書を添付するだけでは足りず執行文が要り、「当該許可があったことを証する情報を提供すれば,当該判決について執行文の付与を受けていなくても,当該登記を申請することができる」という肢は誤りです。
権利者の相続人は承継執行文なしで申請できます
判決の確定後に登記権利者が死亡したときは、相続人が一般承継人として判決による登記を申請できます。不動産登記法62条で申請人の地位を承継しているので、承継執行文は要りません。「当該判決の確定後にBが死亡し,CがBを相続した場合には,Cは,当該判決について承継執行文の付与を受けなければ,単独でAからBへの所有権の移転の登記を申請することはできない」という肢は誤りです。登記は亡B名義への移転で、相続人Cが相続を証する情報を添えて申請し、その後にBからCへの相続登記をつなぎます。
判決後に登記を得た第三者には承継執行文でも及びません
判決の確定後、登記がされる前に義務者が第三者に売って移転の登記をしてしまうと、権利者はその第三者に登記なしで対抗できません。承継執行文を得ても第三者から直接の移転の登記はできず、「当該判決に承継執行文の付与を受けてCからBへの所有権の移転の登記を単独で申請することができる」という肢は誤りです。権利者の側の特定承継も同じで、判決後に権利者から贈与を受けた者が承継執行文で義務者から直接の移転の登記を受けることはできず、できるとする肢は誤りです。判決による登記も物権変動の過程を写す原則に従い、中間の権利者を飛ばせません。
前提の登記は代位で済ませてから判決で申請します
土地の一部を買った者が判決を得たときは、まず売主に代位して分筆の登記を申請し、分筆後の土地について判決で単独申請します。「Bに代位して甲土地の分筆の登記を申請し,その後,当該判決に基づき単独で甲土地の当該一部についての所有権の移転の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。義務者の住所が登記と違うときの住所の変更の登記も、判決があれば代位で申請できます。判決の主文や理由に売買の日付が無いときは「年月日不詳売買」で申請できます。
不動産登記法 第62条(一般承継人による申請)
登記権利者、登記義務者又は登記名義人が権利に関する登記の申請人となることができる場合において、当該登記権利者、登記義務者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該権利に関する登記を申請することができる。
試験ではこう問われる
- 仲裁判断や和解調書で単独申請できるか(執行決定のある仲裁判断と登記手続を命ずる和解調書はできる。書類交付の和解は不可)
- 執行文と確定証明書と送達証明書はどれが要るか(確定証明書は要る。執行文は反対給付や条件付きと義務者側の承継のとき。送達証明書は不要)
- 判決確定後に権利者が死亡したら相続人は承継執行文が要るか(要らない)
- 判決後に義務者から登記を得た第三者に承継執行文で直接移転できるか(できない)
- 土地の一部の判決はどう登記するか(代位で分筆してから判決で単独申請)
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