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相続分の譲渡そうぞくぶんのじょうと

不動産登記 第5章 相続・遺贈の登記 過去問で3肢

共同相続人が、遺産全体に対する自分の持分を他の人に譲ることです。譲受人が共同相続人か第三者かで、被相続人から直接登記できるかが分かれます。

相続分の譲渡は、遺産分割が終わる前に、共同相続人の一人が遺産全体に対する自分の割合的な持分を他の人に譲ることです。譲り受けた人は遺産分割の当事者になり、譲った人は分割から抜けます。登記の場面では、譲受人が共同相続人なら被相続人の名義から譲受人へ「相続」を原因として直接登記できるのに対し、第三者なら法定相続分の登記を経てから持分移転の登記をする、という二本立てになります。似た書類に相続分なきことの証明書があり、こちらは特別受益で相続分が無いことを証する書面です。

民法 第905条第1項

共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。

相続人3人のうち1人が自分の持分を表す扇形の紙を隣の相続人に手渡している
共同相続人への相続分の譲渡なら被相続人から直接相続で登記できます
共同相続人なら直接第三者は二段階印鑑証明書

共同相続人への譲渡なら、被相続人から直接「相続」で登記できます

譲受人が同じ相続の共同相続人であれば、遺産の中の配分が相続人の間で動いただけなので、譲渡証明書を登記原因証明情報の一部として提供し、被相続人から譲受人へ相続を原因とする登記ができます。数次相続で、一次相続の相続人B・Cが二次相続の相続人E・Fに相続分を譲渡し、E・Fの遺産分割でFが取得したときは、一次相続の中間でDが単独取得し、次いでFが取得した関係になります。「Fは、相続分譲渡証明書及び遺産分割協議書を提供して「年月日D相続、年月日相続」を登記原因とするFへの所有権の移転の登記の申請をすることができる」という肢は正しい肢で、原因に二つの相続を連記します。

第三者への譲渡は、法定相続分の登記を経てから持分移転です

譲受人が相続人でない第三者のときは、相続を原因として被相続人から第三者へ直接登記することはできません。いったん法定相続分どおりの相続登記をして、譲渡人の持分を第三者へ、有償なら「相続分の売買」、無償なら「相続分の贈与」を原因に移転します。「Eは、遺産分割を登記原因として、B、C及びDから直接Eへの持分の移転の登記の申請をすることができる」という肢は誤りです。第三者が遺産分割協議に参加して単独所有になった場合は、法定相続分の登記、譲渡人から第三者への相続分の売買・贈与による持分移転、残る相続人から第三者への遺産分割による持分移転、と順に積み重ねます。

譲渡が別の相続の相続人からされたときは、中間を省略できません

一次相続の相続人が死亡して二次相続が始まると、二次相続の相続人が一次相続の遺産に対する持分を承継します。その人が一次相続の他の相続人に相続分を譲渡すると、譲渡の経路が二つの相続をまたぐため、被相続人から譲受人へ一つの相続として登記することはできません。一次相続を法定相続分で登記し、死亡した相続人の持分について二次相続の登記を経てから、譲渡による持分移転を重ねる形になります。「CとEとが、その各相続分をそれぞれDに譲渡した場合には、相続を登記原因とするAからDへの所有権の移転の登記を申請することができない」という肢は正しい肢です。二次相続の相続人が相続人でない立場で譲渡した、と見るのが登記実務の整理です。

相続分なきことの証明書にも印鑑証明書が要ります

生前贈与などで相続分に相当する財産を受けていた相続人は、遺産分割協議に代えて、相続分が無い旨の証明書を作り、残る相続人がそれを登記原因証明情報の一部として提供して登記します。この証明書には作成者の印鑑証明書を添えます。昭和30年4月23日民事甲第742号回答は、遺産分割協議書と同じく相続分なき旨の証明書にも印鑑証明書を要するとしています。印鑑証明書は登記原因証明情報の一部なので、作成後3か月以内という制限はありません。証明書の内容が事実に反していても登記官は審査しないので、実務では作成者の意思を確かめてから使います。

不動産登記法 第63条第2項

相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。

試験ではこう問われる

  1. 共同相続人に相続分を譲渡したとき、被相続人から譲受人へ直接相続の登記ができるか(できる)
  2. 第三者に譲渡したとき、被相続人から第三者へ直接登記できるか(できない。法定相続分の登記を経る)
  3. 二次相続の相続人からの譲渡で、一次相続の被相続人から譲受人へ一つの相続として登記できるか(できない)
  4. 相続分なきことの証明書に印鑑証明書が要るか(要る。3か月制限は無い)

この用語が問われた肢

R2 問19 エ正しい

Aの遺産分割協議が未了のままDが死亡し,Dの相続人がE及びFである場合において,BがEに,CがFにそれぞれ相続分の譲渡をした上で,E及びF間における遺産分割協議に基づきFが甲不動産を取得することになったときは,Fは,相続分譲渡証明書及び遺産分割協議書を提供して「年月日D相続,年月日相続」を登記原因とするFへの所有権の移転の登記の申請をすることができる。

R2 問19 ア誤り

甲不動産について法定相続分による所有権の移転の登記がされた後に,Bが自らの相続分をAの相続人でないEに譲渡し,C,D及びEの間で遺産分割協議を行ってEが単独で甲不動産の所有権を取得したときは,Eは,遺産分割を登記原因として,B,C及びDから直接Eへの持分の移転の登記の申請をすることができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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