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共同申請主義きょうどうしんせいしゅぎ

不動産登記 第1章 登記の仕組みと申請の骨格 過去問で17肢

権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者と登記義務者が共同してしなければならないという原則です。何が別段の定めに当たり、共同申請でなくなるのかが肢で突かれます。

共同申請主義は、権利に関する登記の申請を登記権利者と登記義務者が共同してしなければならないとする不動産登記法60条の原則です。登記によって不利益を受ける義務者を申請に加えることで、その登記が実体に合っていることを担保する考え方です。義務者は登記識別情報を提供し、所有権の登記名義人なら印鑑証明書も添えるので、共同申請は本人確認の仕組みと一体になっています。例外は法令に別段の定めがある場合に限られ、判決・相続・合併・名義人の氏名等の変更・保存の登記などが単独申請になり、順位の変更や共有根抵当権の優先の定めは合同申請になります。肢で突かれるのは、原則と例外の境目と、申請の形で変わる添付情報の二つになります。

不動産登記法 第60条

(共同申請)
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。

売る側の夫婦と買う側の夫婦が並び、一枚の申請書に同時に手を添えて職員に差し出している
権利に関する登記は、法令に別段の定めがない限り登記権利者と登記義務者が共同して申請します
原則は共同申請別段の定めで単独・合同申請義務者の登記識別情報と印鑑証明書

相続や氏名の変更は別段の定めで共同申請ではありません

相続や法人の合併による権利の移転の登記は登記権利者が単独で申請でき、「相続による権利の移転の登記は、登記権利者及び登記義務者が共同して申請しなければならない」という肢は誤りです。登記名義人の氏名や住所の変更の登記も登記名義人の単独申請で、「登記名義人の氏名についての変更の登記は、登記権利者及び登記義務者が共同して申請しなければならない」という肢も誤りです。どちらも義務者に当たる人がそもそもいない登記で、不動産登記法63条2項と64条が別段の定めです。

順位の変更や優先の定めは全員の合同申請です

権利者と義務者に分かれない登記もあります。共有根抵当権の共有者間で優先弁済の定めをするときは、「当該定めの登記を申請するときは,C,E及びFが共同して申請しなければならない」という肢のとおり、共有者全員が申請人になります。順位の変更も同じで、順位を変える担保権者の全員が申請し、権利者・義務者の肩書を付けません。

受託者の任務終了や委託者の変更は受託者側の単独申請です

二人の受託者の一方が裁判による解任で任務を終了したときの権利の変更の登記は、残った受託者が単独で申請でき、「BとCが共同して申請しなければならない」という肢は誤りです。新受託者が就任したときの移転の登記も新受託者の単独申請です。委託者の地位の移転による委託者の変更の登記は受託者が単独で申請でき、「AとCが共同して申請しなければならない」という肢も誤りです。信託の登記には不動産登記法100条と103条の別段の定めがあり、共同申請の原則が外れています。

所有権の名義人が義務者なら印鑑証明書が要ります

書面による共同申請では、義務者が所有権の登記名義人であれば原則として印鑑証明書を提供します。地上権の設定の登記の回復を権利者と義務者が共同で申請するときに「登記義務者の印鑑に関する証明書を提供することを要しない」という肢は誤りで、義務者は所有権の登記名義人だからです。逆に、根抵当権者の元本確定請求による元本確定の登記を設定者と共同で申請するなら、単独申請のときに要る配達証明付き内容証明郵便の情報は要らず、「元本の確定の請求が配達証明付き内容証明郵便により行われたことを証する情報を提供しなければならない」という肢は誤りです。

共同申請と同時でも仮処分債権者は単独で抹消できます

処分禁止の仮処分の債権者が債務者を義務者として所有権の移転の登記を申請するときは、判決による単独申請でも債務者との共同申請でも、処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請できます。「債権者及び債務者が甲土地についての所有権の移転の登記を共同して申請する場合には,申請と同時にするときに限り,債権者は,処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請することができる」という肢は正しい肢です。本体の登記が共同申請でも、付随する抹消の単独申請は別の定めで認められています。

不動産登記法 第63条第2項

相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。

試験ではこう問われる

  1. 相続による移転や氏名の変更の登記は共同申請か(単独申請。法63条2項・64条の別段の定め)
  2. 順位の変更や共有根抵当権の優先の定めは誰が申請するか(関係する担保権者・共有者の全員の合同申請)
  3. 受託者の解任や委託者の変更による登記は共同申請か(受託者側の単独申請)
  4. 共同申請の回復の登記で所有権の登記名義人である義務者の印鑑証明書は要るか(要る)
  5. 共同申請の移転登記と同時に仮処分債権者は後れる登記を単独で抹消できるか(できる)
不動産登記を肢別で解く

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