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登記の申請適格(申請人)とうきのしんせいてきかく

不動産登記 第1章 登記の仕組みと申請の骨格 過去問で34肢

その登記を申請する権限を持つ者が誰かという問題で、権利に関する登記では登記権利者と登記義務者の共同申請が原則です。誰が単独で申請でき、誰が申請人になれないかが肢で突かれます。

登記の申請適格は、その登記を申請する権限が誰にあるかという問題で、申請人になれる者を定める不動産登記法の各条がその中身です。権利に関する登記は60条により登記権利者と登記義務者が共同して申請するのが原則で、判決や相続のように法令に別段の定めがあるときだけ単独で申請できます。表示に関する登記は表題部所有者や所有者が申請人になり、官公署の嘱託や登記官の職権による登記には申請人がいません。申請の権限を有しない者の申請は25条4号で却下され、登記官は疑いがあれば24条の本人確認で申請の権限を調べます。肢で突かれるのは、単独申請の例外に当たるかどうかと、申請人のすり替えです。

不動産登記法 第60条

(共同申請)
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。

登記所の窓口で職員が二人組の申請書を受け取り、割り込もうとする三人目を手で制している
権利に関する登記の申請人は登記権利者と登記義務者で、法令の定めがあるときだけ単独申請です
原則は権利者と義務者の共同判決・相続・相続人への遺贈は単独権限のない者の申請は却下

権利に関する登記は権利者と義務者の二人が申請人です

登記権利者は登記で直接に利益を受ける者、登記義務者は直接に不利益を受ける登記名義人で、両者が共同して申請人になります。所有権を取得して賃借権が混同で消えた後に土地を売った元の賃借人について、「Aは,単独で混同を登記原因とする賃借権の登記の抹消を申請することができる」という肢は誤りです。現在の所有権の登記名義人が登記権利者、賃借権の登記名義人が登記義務者として共同で申請する形になります。順位の変更では順位を動かす担保権者全員が申請人になるので、根抵当権者を権利者、1番抵当権者を義務者として「順位の変更の登記を申請することができる」という肢も誤りです。

法令に定めがあるときだけ単独で申請できます

不動産登記法63条は、確定判決による登記と相続や合併による移転の登記を単独申請とし、令和5年4月1日からは相続人に対する遺贈による所有権の移転の登記も単独申請になりました。根抵当権の元本の確定の登記手続を命ずる確定判決を得た根抵当権者が「単独で根抵当権の元本の確定の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。遺産分割を経て取得した相続人が「単独でAからCへの相続を登記原因とする甲土地の所有権の移転の登記を申請することができる」という肢も正しい肢です。相続人でない包括受遺者が「単独で相続を登記原因とする甲土地の所有権の移転の登記を申請することができる」という肢は誤りで、遺贈を原因とする共同申請になります。権利が死亡で消滅する旨が登記された抵当権者が死亡したときは、69条により所有者が「単独で,当該抵当権の設定の登記の抹消を申請することができる」という肢のとおりです。

申請の権限がない者の申請は却下されます

不動産登記法25条4号は、申請の権限を有しない者の申請を却下事由とし、申請人のすり替えは登記官の審査で弾かれます。申請人以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があれば、登記官は24条により出頭を求め、質問し、文書の提示を求めて申請の権限を調べます。申請人や代理人が遠隔の地に住むときは「他の登記所の登記官に当該申請人の申請の権限の有無の調査を嘱託しなければならない」という肢は誤りで、嘱託は登記官の裁量です。申請の権限があるかどうかは、登記名義人本人かどうかの確認とは別の問題として整理しておきます。

申請人は申請情報に表示し、受領証や決定書の相手になります

申請人の氏名や名称と住所は申請情報の先頭に記載し、法人なら代表者の氏名、代理人によるときは代理人の表示を添えます。書面申請をした申請人は、「申請に係る登記が完了するまでの間,申請書及びその添付書面の受領証の交付を請求することができる」という肢のとおり受領証を求められます。申請人自らが電子申請をして却下されるときも、「登記官は,書面により決定書を作成して,申請人ごとにこれを交付しなければならない」という肢が正しい肢です。登記識別情報は申請人自らが登記名義人になるときに通知され、申請人でない被代位者には通知されません。

不動産登記法 第25条

(申請の却下)
登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
一 申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。
二 申請が登記事項(他の法令の規定により登記記録として登記すべき事項を含む。)以外の事項の登記を目的とするとき。
三 申請に係る登記が既に登記されているとき。
四 申請の権限を有しない者の申請によるとき。
五 申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。
六 申請情報の内容である不動産又は登記の目的である権利が登記記録と合致しないとき。
七 申請情報の内容である登記義務者(第六十五条、第七十六条の五、第七十七条、第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)、第九十三条(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第百十条前段の場合にあっては、登記名義人)の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないとき。
八 申請情報の内容が第六十一条に規定する登記原因を証する情報の内容と合致しないとき。
九 第二十二条本文若しくは第六十一条の規定又はこの法律に基づく命令若しくはその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報が提供されないとき。
十 第二十三条第一項に規定する期間内に同項の申出がないとき。
十一 表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が第二十九条の規定による登記官の調査の結果と合致しないとき。
十二 登録免許税を納付しないとき。
十三 前各号に掲げる場合のほか、登記すべきものでないときとして政令で定めるとき。

試験ではこう問われる

  1. 権利に関する登記の申請人は誰か(登記権利者と登記義務者の共同。混同の抹消は現在の所有者と元の賃借人)
  2. 単独で申請できるのはどんなときか(判決、相続・合併、相続人への遺贈、死亡による消滅の定め、氏名等の変更など)
  3. 相続人でない包括受遺者は相続を原因として単独で申請できるか(できない。遺贈を原因とする共同申請。相続人なら遺贈を原因に単独申請できる)
  4. 申請の権限がない者の申請はどうなるか(却下。疑いがあれば登記官が本人確認し、他の登記所への嘱託は任意)
  5. 申請人は何を請求できるか(書面申請なら完了までの受領証、却下なら書面の決定書)
不動産登記を肢別で解く

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