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所有権移転登記(売買)しょゆうけんいてんとうき

不動産登記 第4章 所有権の登記(売買・保存) 過去問で178肢

売買契約で所有権が買主に移ったことを公示する、権利の登記の基本形です。申請人の組合せ、登記原因の日付、売主が死亡したときの前提登記が肢で突かれます。

所有権移転登記(売買)は、売買契約によって所有権が売主から買主に移ったことを甲区に記録する登記で、権利に関する登記の共同申請の原型です。買主を登記権利者、売主を登記義務者として二人で申請し、売主の本人性は登記識別情報と印鑑証明書で、買主の実在は住所証明情報で確かめます。登記原因は「年月日売買」で、日付は契約日ではなく所有権が移転した日です。売買の肢は、申請人が誰と誰か、日付をどう書くか、売主が亡くなっていたらどの登記を先にするかという申請の骨格を突いてきます。

不動産登記法 第60条

(共同申請)
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。

家の模型を挟んで握手する売主と買主、窓口で帳簿の名義を買主に書き換える係員
売買による所有権の移転は買主と売主の共同申請で、日付は所有権が移った日です
買主が権利者、売主が義務者日付は移転日。不詳なら年月日不詳売買売主死亡なら相続人全員が義務者

買主と売主が共同して申請します

権利に関する登記は、法令に別段の定めがない限り登記権利者と登記義務者が共同して申請します。売買では買主が登記権利者、売主が登記義務者です。売主側は登記識別情報の提供と印鑑証明書の添付で本人であることを示し、買主側は住所証明情報で実在する人物であることを示します。登記原因証明情報は売買契約書そのものでも、当事者が登記所に報告する形式の書面でもかまいません。「成年後見人Aが,成年被後見人Bが所有権の登記名義人であり,Bの居住の用に供しない建物をCとの間で売買した場合において,当該売買を原因とする所有権の移転の登記を申請するときは,当該売買につき家庭裁判所の許可を得たことを証する情報を提供することを要しない」という肢は正しい肢で、成年後見人の処分に家庭裁判所の許可が要るのは居住の用に供する不動産だけです。

登記原因の日付は所有権が移った日です

売買の登記原因の日付は、契約の成立日ではなく所有権が買主に移った日です。代金の完済をもって所有権が移る特約があれば、完済の日が日付になります。「所有権の移転の時期を後日売買代金の全額を支払ったときとする旨の合意がされた場合には、……所有権の移転の登記の申請に係る登記原因の日付を当該売買代金全額の支払をした日として、買戻しの特約の登記と所有権の移転の登記とを同時に申請することができる」という肢は正しい肢です。判決で登記するときに主文にも理由中にも売買の日付が無ければ、「年月日不詳売買」と書いて申請できます。「判決の主文又は理由中に売買の日付が表示されていないときは,登記原因及びその日付を「年月日不詳売買」とすることができる」という肢は正しい肢です。

売主が死亡していたら相続人全員が登記義務者です

売主が登記の前に死亡したときは、相続人が登記義務者の地位を承継して申請します。売買で所有権はすでに買主に移っているので、相続人への相続登記は要らず、相続人全員が義務者として買主と共同で申請します。相続を放棄した者は初めから相続人でなかったことになるので申請人に入りません。「Aには子B,C及びDがおり,Aの相続開始後Cが相続を放棄したが,Aが生前に甲不動産をEに売却していた場合において,売買を登記原因としてAからEへの所有権の移転の登記を申請するときは,B,C,D及びEが共同してしなければならない」という肢は誤りです。遺言で不動産を売ってその代金を遺贈するよう定めた清算型の遺言では、遺言執行者が売るのは相続人に承継された不動産なので、相続登記を先にしてから売買の登記をします。「遺言執行者Cが甲不動産をDへ売却したときは,Cは,売買を登記原因としてAからDへの所有権の移転の登記を申請することができる」という肢は誤りです。

住所が登記と違うときは先に変更や更正の登記をします

登記義務者の住所が登記記録と合わないと、申請は却下事由に当たります。売主の住所が引っ越しで変わっていれば住所の変更の登記を先にしますが、印鑑証明書の住所の書き方が登記記録より簡略なだけなら同一性に疑いはなく、更正の登記は要りません。登記記録の住所にマンション名と部屋番号まであり、印鑑証明書が地番までしか記載していない事例で、「当該所有権の移転の登記の前提として,Aの住所の更正の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。令和8年4月1日からは住所等の変更の登記そのものに申請義務が課されるので、前提登記の要否と義務の有無は別の問題です。

農地の売買では許可書が要り、合意解除の抹消でも要ります

農地法の許可を要する農地の売買では、許可が所有権移転の効力要件なので、許可があったことを証する情報を添付します。許可が無いうちは所有権が移らず、仮登記で保全するにとどまります。登記した後に売買を合意で解除して移転の登記を抹消するときも、実質は所有権が売主に戻る法律行為なので許可が必要です。「地目が農地である土地に売買を原因とする所有権の移転の登記がされている場合において、当該売買の合意解除による当該所有権の移転の登記の抹消を申請するときは、農地法所定の許可があったことを証する情報を提供しなければならない」という肢は正しい肢です。

不動産登記法 第62条

(一般承継人による申請)
登記権利者、登記義務者又は登記名義人が権利に関する登記の申請人となることができる場合において、当該登記権利者、登記義務者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該権利に関する登記を申請することができる。

試験ではこう問われる

  1. 申請人は誰と誰か(買主が登記権利者、売主が登記義務者の共同申請)
  2. 登記原因の日付は契約日か(所有権が移った日。完済特約なら完済日。判決で日付不明なら年月日不詳売買)
  3. 売主が死亡していたら相続登記が先に要るか(要らない。相続人全員が義務者。放棄した者は除く)
  4. 清算型の遺言で遺言執行者が売ったとき被相続人から直接買主へ移転できるか(できない。相続登記が先)
  5. 農地の売買の合意解除による抹消に許可書は要るか(要る)

この用語が問われた肢

R4 問20 ウ正しい

成年後見人Aが、成年被後見人Bが所有権の登記名義人であり、Bの居住の用に供しない建物をCとの間で売買した場合において、当該売買を原因とする所有権の移転の登記を申請するときは、当該売買につき家庭裁判所の許可を得たことを証する情報を提供することを要しない。

R5 問20 オ正しい

買戻しの特約が付された売買契約が締結され、所有権の移転の時期を後日売買代金の全額を支払ったときとする旨の合意がされた場合には、買戻しの特約の登記の申請に係る登記原因の日付を当該売買契約の締結の日とし、所有権の移転の登記の申請に係る登記原因の日付を当該売買代金全額の支払をした日として、買戻しの特約の登記と所有権の移転の登記とを同時に申請することができる。

R3 問18 イ正しい

登記義務者に対して所有権の移転の登記手続をすべきことを命ずる確定判決の正本を添付して売買を登記原因とする所有権の移転の登記を申請する場合において,当該判決の主文又は理由中に売買の日付が表示されていないときは,登記原因及びその日付を「年月日不詳売買」とすることができる。

R8 問15 エ正しい

Aが所有権の登記名義人である甲建物について、売買を原因とするAからBへの所有権の移転の登記手続をすべきことを命ずる判決が確定した場合において、判決の主文又は理由中に売買の日付が表示されていないときは、Bは、年月日不詳売買を登記原因及びその日付として、所有権の移転の登記を申請することができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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