印鑑証明書と3か月制限いんかんしょうめいしょとさんかげつせいげん
申請書や委任状に押した印鑑が本人のものであることを証する市町村長または登記官作成の証明書で、作成後3か月以内のものに限られます。誰の印鑑証明書が要り、3か月制限がどの書面に及ぶかが肢で突かれます。
印鑑証明書は、申請書や委任状に押された印鑑が本人の届出印であることを、住所地の市町村長または登記官が証明する書面です。所有権の登記名義人が登記義務者として申請するときに押印と印鑑証明書が求められるのは、登記識別情報と並ぶ本人確認の手段だからです。不動産登記令16条は申請書に押印した者の印鑑証明書を求め、同条3項がそれを作成後3か月以内に限っています。肢で突かれるのは、誰の印鑑証明書が要るか、どの書面に付けた印鑑証明書に3か月制限が及ぶか、住所の食い違いをどう埋めるかです。
不動産登記令 第16条(申請情報を記載した書面への記名押印等)
申請人又はその代表者若しくは代理人は、法務省令で定める場合を除き、申請情報を記載した書面に記名押印しなければならない。
前項の場合において、申請情報を記載した書面には、法務省令で定める場合を除き、同項の規定により記名押印した者(委任による代理人を除く。)の印鑑に関する証明書(住所地の市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長又は区長若しくは総合区長とする。次条第一項において同じ。)又は登記官が作成するものに限る。以下同じ。)を添付しなければならない。
前項の印鑑に関する証明書は、作成後三月以内のものでなければならない。
官庁又は公署が登記の嘱託をする場合における嘱託情報を記載した書面については、第二項の規定は、適用しない。
第十二条第一項及び第十四条の規定は、法務省令で定めるところにより申請情報の全部を記録した磁気ディスクを提出する方法により登記を申請する場合について準用する。

3か月制限は承諾書の印鑑証明書には及びません
作成後3か月以内という制限は、申請書に押印した者の印鑑証明書と、委任状に押印した者の印鑑証明書に付いています。第三者の承諾を証する書面に添える印鑑証明書は不動産登記令19条が求めますが、期間の制限はありません。「登記上の利害関係を有する第三者の承諾を得て,付記登記によってする地役権の変更の登記を申請する場合において,当該第三者の承諾を証する当該第三者が作成した書面に添付すべき印鑑に関する証明書は,作成後3か月以内のものであることを要しない」という肢は正しい肢です。遺産分割協議書に添える相続人の印鑑証明書も登記原因証明情報の一部なので、同じく制限が及びません。遺産分割協議書の印鑑証明書に期間の制限がないことは、昭和30年4月23日民事甲第742号回答を出発点に実務で定着しています。
所有権の名義人が義務者になるときなどに要ります
不動産登記規則47条3号と48条は、印鑑証明書を添える申請人を、所有権の登記名義人が登記義務者となる申請と、登記識別情報を提供できずに申請する場合などに絞っています。それ以外の申請人は印鑑証明書が要りません。「建物を新築する場合における不動産工事の先取特権の保存の登記を申請するときは,登記義務者の印鑑に関する証明書を提供することを要しない」という肢は正しい肢で、まだ所有権の登記がない建物だからです。逆に、地上権の抹消で登記義務者が登記識別情報を提供できないときは印鑑証明書が要り、「登記義務者が登記識別情報を提供することができないときであっても,当該登記義務者の印鑑に関する証明書を提供することを要しない」という肢は誤りです。
識別情報を提供した債務者変更には要りません
抵当権の債務者を変更する登記で、設定者である所有権の登記名義人が登記識別情報を提供して申請するときは、印鑑証明書が要りません。「Aの債務をBが引き受けたときは,登記識別情報を提供した上でする当該抵当権の債務者を変更する登記の申請に際して,Aの印鑑に関する証明書を添付情報とすることを要しない」という肢は正しい肢です。所有権の登記名義人が義務者になるからといって、常に印鑑証明書が要るわけではないことを、この肢で押さえておきます。
住所が違ってもつながりを証せば使えます
印鑑証明書の住所が登記記録上の住所と違うとき、住所の移転の経過を証する市町村長の証明書を併せて提供すれば、その印鑑証明書を添付情報にできます。「Aの住所がYと記載されている発行後3か月以内の印鑑に関する証明書は,Aの住所がX,Y,Zと順次移転したことを証する市町村長の証明書を併せて提供しても,甲土地についてAを登記義務者とする登記の申請の添付情報とすることができない」という肢は誤りです。日本に住む外国人が市の長から受けた印鑑証明書も使え、「Aが居住している市の長が発行したAの印鑑に関する証明書は,甲土地についてAを登記義務者とする登記の申請の添付情報とすることができない」という肢も誤りです。認可地縁団体なら市の長が発行した代表者の印鑑証明書が使え、「当該認可をした市の長が発行した当該団体の代表者の印鑑に関する証明書は,甲土地について当該団体を登記義務者とする所有権の移転の登記の申請の添付情報とすることができる」という肢は正しい肢です。
3か月は暦どおりに数え、災害があっても伸びません
作成後3か月以内という期間は、申請の日を基準に暦で数えます。登記所の事務が止まった期間があっても、その分だけ有効期間が延びる規定はありません。「台風などの災害が発生し,登記所の事務が1か月間停止した場合には,登記義務者の印鑑に関する証明書としての有効期間は1か月間伸長される」という肢は誤りです。期間の起算や伸長を問う肢は、数字を動かすだけで作れるので、条文どおり「作成後三月以内」を固定して覚えます。
不動産登記令 第19条(承諾を証する情報を記載した書面への記名押印等)
第七条第一項第五号ハ若しくは第六号の規定又はその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならない同意又は承諾を証する情報を記載した書面には、法務省令で定める場合を除き、その作成者が記名押印しなければならない。
前項の書面には、官庁又は公署の作成に係る場合その他法務省令で定める場合を除き、同項の規定により記名押印した者の印鑑に関する証明書を添付しなければならない。
試験ではこう問われる
- 承諾書に添付する印鑑証明書に3か月制限が及ぶか(及ばない)
- 所有権以外の権利の抹消で登記識別情報を提供できないとき、登記義務者の印鑑証明書は要るか(要る)
- 登記識別情報を提供した抵当権の債務者変更で設定者の印鑑証明書は要るか(要らない)
- 住所が登記記録と違う印鑑証明書は、移転の経過を証する書面を添えれば使えるか(使える)
- 登記所の事務停止で印鑑証明書の有効期間は延びるか(延びない)
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