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却下事由(25条)きゃっかじゆう

不動産登記 第13章 登記手続の流れと登記官の処分 過去問で13肢

登記官が理由を付した決定で申請を却下しなければならない場合として、不動産登記法25条が13の号で列挙する事由です。何が却下事由に当たり何は当たらないか、却下したときの書面の扱いが肢で突かれます。

却下事由は、不動産登記法25条が各号で列挙する、登記官が申請を却下しなければならない場合です。管轄違い、登記事項以外の事項、既登記、申請権限のない者の申請、方式違反、不動産や権利の登記記録との不一致、登記義務者の氏名・住所の登記記録との不一致の7つが前半です。後半は登記原因証明情報との不一致、添付情報の不提供、事前通知の申出がないこと、表示に関する登記の調査結果との不一致、登録免許税の不納付、政令で定める場合で、合わせて13の類型です。却下は理由を付した決定でしますが、補正できる不備なら相当の期間内に補正されれば却下しません。肢で突かれるのは、列挙にない事情を却下事由に見せかけるすり替えと、却下した後の書面の扱いです。

不動産登記法 第25条

(申請の却下)
登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
一 申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。
二 申請が登記事項(他の法令の規定により登記記録として登記すべき事項を含む。)以外の事項の登記を目的とするとき。
三 申請に係る登記が既に登記されているとき。
四 申請の権限を有しない者の申請によるとき。
五 申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。
六 申請情報の内容である不動産又は登記の目的である権利が登記記録と合致しないとき。
七 申請情報の内容である登記義務者(第六十五条、第七十六条の五、第七十七条、第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)、第九十三条(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第百十条前段の場合にあっては、登記名義人)の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないとき。
八 申請情報の内容が第六十一条に規定する登記原因を証する情報の内容と合致しないとき。
九 第二十二条本文若しくは第六十一条の規定又はこの法律に基づく命令若しくはその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報が提供されないとき。
十 第二十三条第一項に規定する期間内に同項の申出がないとき。
十一 表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が第二十九条の規定による登記官の調査の結果と合致しないとき。
十二 登録免許税を納付しないとき。
十三 前各号に掲げる場合のほか、登記すべきものでないときとして政令で定めるとき。

登記所のカウンターで職員が申請書を差し戻し、司法書士は添付書類の束だけを受け取っている。壁に13本の線が刻まれた板
却下事由は25条の13類型で、却下されても添付書面は戻りますが申請書は戻りません
25条の13類型補正できれば却下されない決定書は申請人ごとに交付申請書は還付されない

登記事項でない事項の登記を求める申請は却下されます

申請が登記事項以外の事項の登記を目的とするときは、不動産登記法25条2号で却下されます。地役権の設定の登記で登記できるのは、要役地と目的・範囲、民法281条1項ただし書や285条1項ただし書・286条の定めなど法律が挙げる事項に限られます。浸冠水について異議を述べないといった特約は登記事項ではありません。「「承役地の所有者は承役地の浸冠水その他の影響について一切異議求償等を申立てない」旨の特約を申請情報として地役権の設定の登記を申請した場合には,当該申請は却下される」という肢は正しい肢です。登記事項かどうかは権利ごとに法律が定めており、当事者が合意した内容を何でも載せられるわけではありません。

後れる登記の抹消の不申請や代表者の破産は却下事由ではありません

処分禁止の仮処分の債権者が本登記を申請するとき、仮処分に後れる登記の抹消を単独で申請できますが、それは債権者の権利であって義務ではありません。「Bが、AからBへの所有権の移転の登記の申請と同時に、単独で当該抵当権の設定の登記の抹消を申請しなかったときは、当該所有権の移転の登記の申請は却下される」という肢は誤りです。会社の代表者が申請した後に破産手続開始の決定を受けて代表者の資格を失っても、既に適法にされた申請の効力は失われないので、「当該登記が完了するまでの間に,Aについて破産手続開始の決定がされたときは,当該申請は却下される」という肢も誤りです。前の住所地への通知を受けた者から異議の申出があっただけで却下するとする肢も誤りで、登記官は不動産登記法24条の本人確認の調査に進みます。

外国の住所なら事前通知の期間は4週間です

事前通知の申出がないことは25条10号の却下事由ですが、期間は発送の日から2週間で、登記義務者が外国に住所を有するときは4週間です。「登記官が事前通知を発送した日から 2 週間内に当該登記義務者から申請の内容が真実である旨の申出がされなかったときは,当該申請は却下される」という外国に住所を有する登記義務者についての肢は誤りです。司法書士が提供した本人確認情報を登記官が相当と認めないときは、却下ではなく通常の事前通知に戻ります。「登記官が当該情報の内容を相当と認めないときは、登記官は、本件登記の登記義務者に対して事前通知をすることなく、本件登記の申請を却下しなければならない」という肢は誤りです。

農地法の許可がないことだけでは却下されません

時効取得を原因とする所有権の移転の登記を命じた判決で申請するとき、農地法の許可は要らず、許可を証する情報が添付されていないことがあります。登記実務では許可がないことだけで却下するのではなく、登記官が関係農業委員会にその申請があった旨を通知します。売買のように許可が効力要件である登記原因で許可書がなければ、添付情報の不提供として却下されます。「農地法所定の許可がないことのみをもって当該申請が却下されるわけではないですが,登記官は,その登記の申請がされた旨を,関係農業委員会に通知します」という解答は正しい解答です。不正登記防止申出がされている不動産について申請があったときも、申出があること自体は却下事由ではなく、登記官は申出人に通知したうえで本人確認の調査をします。

却下は決定書で知らせ、申請書は返しません

登記官が申請を却下するときは、不動産登記規則38条により決定書を作成して申請人ごとに交付し、代理人によって申請されたときは代理人に交付すれば足ります。「代理人によらず申請人自らが電子申請をした場合において,登記官が当該電子申請を却下するときは,登記官は,書面により決定書を作成して,申請人ごとにこれを交付しなければならない」という肢は正しい肢です。書面申請を却下したときは添付書面を還付しますが、申請書そのものは還付されず、偽造された疑いのある書面も還付されません。「書面申請の方法により登記の申請をした場合において、当該申請が却下されたときは、当該申請の申請書は還付されない」という肢は正しい肢です。却下の決定に不服があれば審査請求ができ、申請情報の保存期間が過ぎた後でも請求できます。

不動産登記規則 第38条

(申請の却下)
登記官は、申請を却下するときは、決定書を作成して、これを申請人ごとに交付するものとする。ただし、代理人によって申請がされた場合は、当該代理人に交付すれば足りる。
前項の交付は、当該決定書を送付する方法によりすることができる。
登記官は、書面申請がされた場合において、申請を却下したときは、添付書面を還付するものとする。ただし、偽造された書面その他の不正な登記の申請のために用いられた疑いがある書面については、この限りでない。

試験ではこう問われる

  1. 登記事項でない特約を申請情報に書いた申請は却下されるか(却下される。25条2号)
  2. 仮処分に後れる登記の抹消を同時に申請しないと本登記の申請は却下されるか(却下されない)
  3. 代表者が申請後に破産しても申請は却下されるか(却下されない。代理権は消滅しない)
  4. 外国に住所を有する登記義務者への事前通知の期間は何週間か(4週間)
  5. 却下されたとき申請書と添付書面はどうなるか(添付書面は還付、申請書は還付されない)

この用語が問われた肢

R6 問15 ウ正しい

「承役地の所有者は承役地の浸冠水その他の影響について一切異議求償等を申立てない」旨の特約を申請情報として地役権の設定の登記を申請した場合には、当該申請は却下される。

R6 問25 イ誤り

甲不動産について、Bを仮処分の債権者とする所有権の移転の登記請求権を保全する処分禁止の登記がされた後、Cを登記名義人とする抵当権の設定の登記がされた場合において、Bが、AからBへの所有権の移転の登記の申請と同時に、単独で当該抵当権の設定の登記の抹消を申請しなかったときは、当該所有権の移転の登記の申請は却下される。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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