登記原因証明情報とうきげんいんしょうめいじょうほう
権利に関する登記を申請するときに、登記原因となった事実や法律行為があったことを証するために提供する情報です。何がこの情報になり、何では足りないかが肢で突かれます。
登記原因証明情報は、権利に関する登記を申請するときに、その登記の原因となった事実または法律行為があったことを証する情報です。売買契約書や遺産分割協議書のように原因そのものを示す書面のほか、申請のために作った報告形式の書面でも足ります。不動産登記法61条が原則として提供を義務づけ、不動産登記令7条3項が例外を列挙しています。肢で突かれるのは、その書面で本当に原因を証せているかという内容の十分性と、原因証明情報が要らない登記はどれかという例外の範囲です。
不動産登記法 第61条(登記原因証明情報の提供)
権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。

会社分割による移転には分割契約書が要ります
会社分割で抵当権や根抵当権が承継会社に移るときの登記原因証明情報は、分割契約書または分割計画書と、承継会社の登記事項証明書です。分割の記載がある登記事項証明書だけでは、どの権利が承継されたかが分からないため、契約書や計画書まで求められます。「会社分割を登記原因とするB社への抵当権の移転の登記を申請するときは,登記原因証明情報として,会社分割の記載があるB社の登記事項証明書を提供すれば,分割契約書を提供することを要しない」という肢は誤りで、元本確定後の根抵当権について「当該会社分割の記載のあるB株式会社の登記事項証明書を提供すれば足りる」という肢も誤りです。
確定判決は共同申請の登記原因証明情報にもなります
登記手続を命じる確定判決があれば登記権利者は単独で申請できますが、判決を使わずに、当事者双方がその判決を登記原因証明情報として共同申請することもできます。「A及びBは,Aに対してBへの所有権の移転の登記手続を命ずる確定判決を登記原因証明情報として提供し,共同して,当該所有権の移転の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。判決は原因となった売買などの存在を公的に認めた文書なので、原因を証する情報としての資格を失いません。
和解調書の更正決定には確定証明書も要ります
和解調書に地積の誤記があって更正決定がされた場合、その更正決定は不服申立ての対象になるので、確定していなければ和解調書の内容は固まりません。「当該和解調書と当該更正の決定書を提供して甲土地の所有権の移転の登記を申請するときは,登記原因証明情報として当該更正の決定が確定したことを証する書面の提供を要しない」という肢は誤りです。裁判所の書面を原因証明情報にするときは、その書面が確定しているかを常に気にする、という読み方が定着します。
仮処分に後れる登記の抹消には要りません
仮処分の債権者が債務者を登記義務者とする登記と同時に、処分禁止の登記に後れる登記を単独で抹消するときは、不動産登記令7条3項により登記原因証明情報の提供を要しません。「当該抹消の登記の申請に際して登記原因証明情報の提供を要しない」という肢は正しい肢で、逆に「登記原因証明情報として仮処分の決定書の正本を提供しなければならない」という肢は誤りです。同じ例外の仲間に、所有権の保存の登記と、契約の日から10年を経過したことによる買戻しの特約の登記の単独抹消があります。
書面の名前ではなく事実を証せるかで決まります
婚姻で氏が変わったことによる氏名の変更の登記は、住民票コードを提供して申請できます。「登記原因証明情報として住民基本台帳法に規定する住民票コードを提供して申請することができる」という肢は正しい肢です。他方で、自己信託による権利の変更の登記は、公正証書などで信託をした場合はその書面を、それ以外の書面でした場合は受益者となるべき第三者への確定日付のある通知を証する書面を提供します。委託者兼受託者であるA自身への通知では足りず、「Aに対する確定日付のある証書による当該信託がされた旨及びその内容の通知がされたことを証する書面を提供して申請することができる」という肢は誤りです。財産分与の公正証書を原因証明情報にしても登記識別情報の提供は別に必要で、「当該公正証書を登記原因証明情報として,AからBへの所有権の移転の登記を申請するときは,Aに対して通知された登記識別情報を提供することを要しない」という肢も誤りです。
不動産登記令 第7条第3項第2号所有権の保存の登記を申請する場合(敷地権付き区分建物について法第七十四条第二項の規定により所有権の保存の登記を申請する場合を除く。)
試験ではこう問われる
- 会社分割による抵当権の移転の登記原因証明情報は登記事項証明書だけで足りるか(足りない。分割契約書などが要る)
- 確定判決を共同申請の登記原因証明情報として使えるか(使える)
- 和解調書の更正決定を提供するとき、確定証明書は要るか(要る)
- 処分禁止の登記に後れる登記の抹消に登記原因証明情報は要るか(要らない)
- 氏名変更の登記を住民票コードで申請できるか(できる)
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。