地役権の登記(要役地・承役地)ちえきけんのとうき
要役地の便益のために承役地を使う権利を、承役地の乙区に公示する登記です。要役地側の要件、複数の承役地を一つの申請にまとめられるか、承役地に登記した後に要役地で何が起きるかが肢で突かれます。
地役権の登記は、自分の土地(要役地)の便益のために他人の土地(承役地)を使う権利を、承役地の乙区に公示する登記です。要役地の所有者が地役権者になる通常の形では、要役地の所有権の登記名義人が登記権利者、承役地の所有権の登記名義人が登記義務者で、共同申請です。地役権者の氏名や住所は登記されず、代わりに要役地の表示が登記事項になります。肢で突かれるのは、要役地側の要件、複数の承役地を一つの申請にまとめられるか、承役地に登記したあと要役地に何が起きるかです。
不動産登記法 第80条(地役権の登記の登記事項等)
承役地(民法第二百八十五条第一項に規定する承役地をいう。以下この条において同じ。)についてする地役権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 要役地(民法第二百八十一条第一項に規定する要役地をいう。以下この条において同じ。)
二 地役権設定の目的及び範囲
三 民法第二百八十一条第一項ただし書若しくは第二百八十五条第一項ただし書の別段の定め又は同法第二百八十六条の定めがあるときは、その定め
前項の登記においては、第五十九条第四号の規定にかかわらず、地役権者の氏名又は名称及び住所を登記することを要しない。
要役地に所有権の登記がないときは、承役地に地役権の設定の登記をすることができない。
登記官は、承役地に地役権の設定の登記をしたときは、要役地について、職権で、法務省令で定める事項を登記しなければならない。

要役地に所有権の登記がなければ承役地に設定の登記はできません
地役権は要役地の所有権に従う権利なので、要役地に所有権の登記があることが前提です。「所有権の登記はないがBを表題部所有者とする表題登記のある乙土地を要役地とする地役権の設定の登記の申請は、することができない」という肢は正しい肢で、先に要役地の所有権の保存の登記をします。地役権者は要役地の所有者に限られず、要役地の地上権者も自分の地上権の存続期間の範囲内で地役権を設定でき、「甲土地を要役地とし,乙土地を承役地とする地役権の設定の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。要役地が他の登記所の管轄にあるときは、要役地の登記事項証明書を添付情報として提供するので、「甲土地の登記事項証明書を提供することを要しない」という肢は誤りです。
承役地の所有者が違えば、一つの申請情報にまとめられません
一の申請情報で申請できるのは、同じ登記所の管轄にある複数の不動産について登記の目的と登記原因が同一で、申請人も同じ場合です。要役地が一つでも、承役地の所有者が違えば登記義務者が別になるので、「乙土地及びCが所有権の登記名義人である丙土地を承役地とする地役権の設定の登記は,一の申請情報により申請することができる」という肢は誤りとされています。同じ趣旨の肢は繰り返し出ており、「それぞれ所有者を異にする複数の土地を承役地とする地役権の設定の登記は、一の申請情報によって申請することができる」という肢も誤りです。承役地がすべて同じ所有者なら一つにまとめられますが、登録免許税は承役地1個につき1500円なので、2筆なら3000円です。「登録免許税の額は、1500 円である」という肢は誤りで、「承役地の不動産の個数 1 個につき1500円である」という肢は正しい肢です。
同じ承役地に複数の地役権を設定でき、持分は書きません
通行地役権は承役地を排他的に占有する権利ではないので、同じ承役地に別の要役地のための通行地役権を重ねて設定できます。「丙土地を要役地とする通行地役権の設定の登記の申請は、することができる」という肢は正しい肢です。地役権者の氏名は登記されないため、要役地が共有でも持分を書くことはなく、「地役権者ごとの持分を申請情報の内容としなければならない」という肢は誤りです。登記事項でない特約は申請情報にできず、「承役地の所有者は承役地の浸冠水その他の影響について一切異議求償等を申立てない」旨の特約を書いた申請は却下されます。
承役地に登記すると要役地には職権で登記され、抹消も連動します
登記官は承役地に地役権の設定の登記をしたとき、要役地の乙区に、要役地の地役権である旨、承役地の表示、目的と範囲、登記の年月日を職権で記録します。要役地が他の登記所の管轄にあれば、その登記所へ通知して記録させます。承役地の地役権の登記が申請により抹消されたときも要役地側は職権で抹消され、「要役地についての地役権の登記は、登記官の職権により抹消される」という肢は正しい肢です。要役地の地番が土地区画整理で変わったときは、要役地の表示を直す地役権の変更の登記を共同で申請でき、「AとBは共同して乙土地の地役権の変更の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。
抹消では要役地の抵当権者が利害関係人になります
地役権は要役地の所有権とともに移転し、要役地に設定された抵当権の効力も地役権に及びます。地役権の登記を抹消すると要役地の抵当権者は担保の価値を失うので、抹消の申請には承諾を証する情報か、対抗できる裁判があったことを証する情報が要ります。「当該抵当権の登記名義人の承諾を証する当該抵当権の登記名義人が作成した情報又は当該抵当権の登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない」という肢は正しい肢です。承諾書に添える印鑑証明書には作成後3か月の制限がなく、地役権の変更の登記について「作成後3か月以内のものであることを要しない」という肢も正しい肢です。
不動産登記規則 第159条(地役権の登記)
法第八十条第四項に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 要役地の地役権の登記である旨
二 承役地に係る不動産所在事項及び当該土地が承役地である旨
三 地役権設定の目的及び範囲
四 登記の年月日
登記官は、地役権の設定の登記をした場合において、要役地が他の登記所の管轄区域内にあるときは、遅滞なく、当該他の登記所に承役地、要役地、地役権設定の目的及び範囲並びに地役権の設定の登記の申請の受付の年月日を通知しなければならない。
登記官は、地役権の登記事項に関する変更の登記若しくは更正の登記又は地役権の登記の抹消をしたときは、要役地の登記記録の第一項各号に掲げる事項についての変更の登記若しくは更正の登記又は要役地の地役権の登記の抹消をしなければならない。
第二項の規定は、地役権の登記事項に関する変更の登記若しくは更正の登記又は地役権の登記の抹消をした場合において、要役地が他の登記所の管轄区域内にあるときについて準用する。
第二項(前項において準用する場合を含む。)の通知を受けた登記所の登記官は、遅滞なく、要役地の登記記録の乙区に、通知を受けた事項を記録し、又は第三項の登記をしなければならない。
試験ではこう問われる
- 要役地に所有権の登記がない土地を要役地として地役権の設定の登記を申請できるか(できない)
- 所有者の違う複数の承役地を一つの申請情報で申請できるか(できない。同じ所有者なら可能で、税は承役地1個につき1500円)
- 地役権者が複数のとき持分を書くか(書かない)
- 承役地の地役権が抹消されたとき要役地の登記はどうなるか(職権で抹消)
- 地役権の抹消に要役地の抵当権者の承諾は要るか(要る)
この用語が問われた肢
Aが所有権の登記名義人である甲土地を承役地とし、所有権の登記はないがBを表題部所有者とする表題登記のある乙土地を要役地とする地役権の設定の登記の申請は、することができない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。