審査請求しんさせいきゅう
登記官の処分に不服がある者や不作為に係る処分を申請した者が、その登記官を監督する法務局または地方法務局の長に対してする不服申立てです。経由先、期間制限の有無、取下げの方式、誰ができるかが肢で突かれます。
審査請求は、登記官の処分に不服がある者または登記官の不作為に係る処分を申請した者が、その登記官を監督する法務局または地方法務局の長に対してする不服申立てです。不動産登記法156条から158条が手続を定め、行政不服審査法の多くの規定を適用除外にして登記に合わせた形にしています。却下の決定だけでなく、完了した登記で登記官が職権で抹消できるものや、申請を放置する不作為も対象です。肢で突かれるのは、経由先と期間、法務局長と登記官のそれぞれができること、そして誰が請求できるかです。
不動産登記法 第156条(審査請求)
登記官の処分に不服がある者又は登記官の不作為に係る処分を申請した者は、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができる。
審査請求は、登記官を経由してしなければならない。

審査請求は登記官を経由し、期間の制限がありません
審査請求は処分をした登記官を経由してしなければならず、「審査請求は、登記官を経由してしなければならない」という肢は正しい肢です。行政不服審査法18条の審査請求期間は不動産登記法158条で適用除外になっているので、いつまででも請求できます。「登記の申請を却下する処分に対する審査請求は、当該申請において提供された申請情報及びその添付情報の保存期間が経過した後もすることができる」という肢は正しい肢です。処分の取消しの訴えを先に審査請求で争う必要もなく、「登記官の処分に不服のある者は,審査請求とは別に,処分の取消しの訴えを提起することができる」という肢も正しい肢です。
理由があれば登記官が自ら相当の処分をします
審査請求を受けた登記官は、理由があると認めるときは自ら相当の処分をし、審査請求人に処分の内容を通知します。「登記官は、処分についての審査請求を理由があると認めるときは、相当の処分をしなければならない」という肢は正しい肢です。理由がないと認めるときは、審査請求の日から3日以内に意見を付して事件を法務局または地方法務局の長に送付します。「登記官は,処分についての審査請求を理由があると認めるときは,審査請求の日から 3 日以内に,意見を付して事件を当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長に送付しなければならない」という肢は誤りで、3日以内の送付は理由がないと認めた場合の手続です。
法務局長は仮登記を命ずることができます
法務局または地方法務局の長は、審査請求に理由があると認めるときは登記官に相当の処分を命じ、審査請求人と登記上の利害関係人に通知します。命ずる前に登記官に仮登記を命ずることができますが、義務ではありません。「相当の処分を命ずる前に登記官に仮登記を命ずることができる」という肢は正しい肢で、「当該登記官に相当の処分を命ずる前に、当該登記官に仮登記を命じなければならない」という肢は誤りです。執行停止の規定は適用除外なので、「審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の執行の停止の措置をとることができる」という肢は誤りです。
請求できるのは申請人で、取下げは書面でします
却下の処分について審査請求ができるのはその申請の申請人で、申請人でない者はできません。「抵当権の移転の登記の申請が却下された場合には、抵当権設定者は、当該申請を却下する処分について審査請求をすることができない」という肢は正しい肢です。相当の期間が過ぎても登記官が何の処分もしないときは、「登記の申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、登記官が何らの処分をもしない場合には、審査請求をすることができる」という肢のとおり不作為を理由に請求できます。審査請求の取下げは書面でするので、「審査請求の取下げは、口頭ですることができる」という肢は誤りです。審査請求人が死亡したときは相続人が地位を承継し、法務局または地方法務局の長に書面で届け出ます。
完了した登記は職権抹消できる場合だけ対象です
登記が完了した後は、登記官が自ら登記を是正できる場面でなければ審査請求をしても意味がありません。登記官が職権で抹消できるのは不動産登記法71条が引く25条1号から3号までと13号の場合に限られるので、申請権限のない者の申請による登記は4号の問題で職権抹消の対象外です。「所有権の移転の登記が完了したが、当該登記が申請の権限を有しない者の申請によりされたものであると判明した場合には、そのことを理由として審査請求をすることができる」という肢は誤りです。完了した登記を争うには、抹消の登記を求める申請や訴えによるほかありません。
不動産登記法 第157条(審査請求事件の処理)
登記官は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、相当の処分をしなければならない。
登記官は、前項に規定する場合を除き、審査請求の日から三日以内に、意見を付して事件を前条第一項の法務局又は地方法務局の長に送付しなければならない。この場合において、当該法務局又は地方法務局の長は、当該意見を行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十一条第二項に規定する審理員に送付するものとする。
前条第一項の法務局又は地方法務局の長は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、登記官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか登記上の利害関係人に通知しなければならない。
前条第一項の法務局又は地方法務局の長は、前項の処分を命ずる前に登記官に仮登記を命ずることができる。
前条第一項の法務局又は地方法務局の長は、審査請求に係る不作為に係る処分についての申請を却下すべきものと認めるときは、登記官に当該申請を却下する処分を命じなければならない。
前条第一項の審査請求に関する行政不服審査法の規定の適用については、同法第二十九条第五項中「処分庁等」とあるのは「審査庁」と、「弁明書の提出」とあるのは「不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百五十七条第二項に規定する意見の送付」と、同法第三十条第一項中「弁明書」とあるのは「不動産登記法第百五十七条第二項の意見」とする。
試験ではこう問われる
- 審査請求はどこに、どこを経由してするか(監督する法務局または地方法務局の長に、登記官を経由して)
- 審査請求に期間の制限はあるか(ない。保存期間経過後もできる)
- 理由があるとき登記官は何をするか(自ら相当の処分。3日以内の送付は理由がないとき)
- 法務局長は仮登記を命じなければならないか、執行停止ができるか(命ずることができるが義務ではない。執行停止はできない)
- 審査請求の取下げは口頭でできるか(できない。書面)
この用語が問われた肢
審査請求は、登記官を経由してしなければならない。
登記官の処分についての審査請求は,登記官を経由してしなければならない。
登記の申請を却下する処分に対する審査請求は、当該申請において提供された申請情報及びその添付情報の保存期間が経過した後もすることができる。
登記官の処分に不服のある者は,審査請求とは別に,処分の取消しの訴えを提起することができる。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。