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取下げとりさげ

不動産登記 第13章 登記手続の流れと登記官の処分 過去問で7肢

申請人が登記の完了前に申請を撤回する手続で、不動産登記規則39条が方法と時期を定めます。申請した方式で取り下げること、書面が戻ること、納めた登録免許税をどう扱うかが肢で突かれます。

取下げは、申請人が登記の完了前に申請そのものを撤回する手続です。不動産登記規則39条は、電子申請なら電子情報処理組織で、書面申請なら取り下げる旨の書面を提出してすることを定めています。登記完了後はできないこと、書面申請の取下げでは申請書と添付書面を還付することも同条の定めです。補正できない不備があるときや、申請人の事情が変わったときに使われ、取り下げた申請は初めからなかったことになります。肢で突かれるのは、取下げの方法と代理権、そして納めた登録免許税の行方です。

不動産登記規則 第39条

(申請の取下げ)
申請の取下げは、次の各号に掲げる申請の区分に応じ、当該各号に定める方法によってしなければならない。
一 電子申請 法務大臣の定めるところにより電子情報処理組織を使用して申請を取り下げる旨の情報を登記所に提供する方法
二 書面申請 申請を取り下げる旨の情報を記載した書面を登記所に提出する方法
申請の取下げは、登記完了後は、することができない。
登記官は、書面申請がされた場合において、申請の取下げがされたときは、申請書及びその添付書面を還付するものとする。前条第三項ただし書の規定は、この場合について準用する。

司法書士が短い書面を差し出し、職員が申請書と添付書類の封筒を返している。司法書士の手に証明印の付いた印紙
取下げは完了前に限り、書面申請なら申請書も添付書面も戻り、印紙は再使用証明を受けられます
完了後はできない申請と同じ方式申請書と添付書面が戻る印紙は再使用証明か還付

取下げは申請と同じ方式でし、完了後はできません

電子申請の取下げは、法務大臣の定めるところにより電子情報処理組織を使って取り下げる旨の情報を提供してします。「法務大臣の定めるところにより電子情報処理組織を使用する方法により登記の申請をした場合において、当該申請を取り下げるときは、当該申請を取り下げる旨の情報を記載した書面を登記所に提出する方法によることができる」という肢は誤りです。書面申請の取下げは、取り下げる旨の書面を登記所に提出してします。いずれも登記が完了した後はできず、完了した登記を消すには抹消の登記を申請するほかありません。

書面申請を取り下げると申請書と添付書面が戻ります

書面申請の取下げがあったときは、登記官は申請書と添付書面を還付します。却下のときは添付書面だけが戻って申請書は戻らないので、取下げと却下では申請書の行方が違います。ただし、偽造された書面など不正な登記の申請のために用いられた疑いがある書面は、取下げでも却下でも還付されません。取下げの書面には申請人または代理人が記名押印しますが、印鑑証明書を添える必要はありません。

申請意思の撤回による取下げには改めて委任が要ります

司法書士が代理人として申請を取り下げるには、取下げについての代理権が要ります。登記実務では、委任状に取下げの権限が書かれていても、それは補正のためにする取下げについての授権として扱われています。申請の意思そのものを撤回する取下げには、改めて本人からの委任を受けるのが通例です。「その申請書に添付した委任状にAに当該登記申請の取下げの代理権がある旨の記載があるときは、Aは、当該登記申請の取下げについて別途の代理権限証明情報を提供することなく、登記申請意思の撤回を理由として当該登記申請の取下げをすることができる」という肢は誤りです。本人の権利を失わせる方向の行為なので、本人の意思を確かめる手当てが求められます。

納めた登録免許税は再使用証明か還付で取り戻せます

取り下げた申請で印紙により納めた登録免許税は、登録免許税法31条により、取下げの際に再使用の証明を受けて1年以内に同じ登記所への申請に使うか、過誤納金として還付を受けます。再使用証明を受けた印紙は、同じ登記所の管轄区域内の申請であれば、申請人が別の人でも使えます。「当該申請代理人は、当該申請の申請人以外の者を申請人とする甲土地と同一の登記所の管轄区域内にある乙土地の所有権の移転の登記の申請のために、当該印紙を使用することはできない」という肢は誤りです。「再使用証明を受けた印紙を使用して登記の申請をした場合において,その後,当該登記の申請を取り下げるときは,当該印紙について重ねて再使用したい旨の申出をすることができる」という肢は正しい肢です。電子申請を取り下げた場合に印紙で納めていたときも還付を受けられるので、「当該印紙の額に相当する額の還付を受けることはできない」という肢は誤りです。

不動産登記規則 第38条

(申請の却下)
登記官は、申請を却下するときは、決定書を作成して、これを申請人ごとに交付するものとする。ただし、代理人によって申請がされた場合は、当該代理人に交付すれば足りる。
前項の交付は、当該決定書を送付する方法によりすることができる。
登記官は、書面申請がされた場合において、申請を却下したときは、添付書面を還付するものとする。ただし、偽造された書面その他の不正な登記の申請のために用いられた疑いがある書面については、この限りでない。

試験ではこう問われる

  1. 電子申請を取り下げる旨の書面を提出して取り下げられるか(取り下げられない。電子情報処理組織でする)
  2. 登記完了後に取下げができるか(できない)
  3. 取下げのとき申請書と添付書面は戻るか(戻る。却下なら申請書は戻らない)
  4. 再使用証明を受けた印紙を別の申請人の申請に使えるか(使える。同じ登記所の管轄なら)
  5. 委任状の取下げの授権だけで申請意思の撤回を理由とする取下げができるか(できない。改めて委任が要る)

この用語が問われた肢

R6 問15 イ誤り

法務大臣の定めるところにより電子情報処理組織を使用する方法により登記の申請をした場合において、当該申請を取り下げるときは、当該申請を取り下げる旨の情報を記載した書面を登記所に提出する方法によることができる。

R4 問18 ア誤り

司法書士Aが申請人を代理して所有権の移転の登記を申請した場合において、その申請書に添付した委任状にAに当該登記申請の取下げの代理権がある旨の記載があるときは、Aは、当該登記申請の取下げについて別途の代理権限証明情報を提供することなく、登記申請意思の撤回を理由として当該登記申請の取下げをすることができる。

R6 問15 ア誤り

申請代理人が甲土地の所有権の移転の登記の申請を取り下げて、当該申請の際に納付した印紙の再使用証明を受けた場合には、当該申請代理人は、当該申請の申請人以外の者を申請人とする甲土地と同一の登記所の管轄区域内にある乙土地の所有権の移転の登記の申請のために、当該印紙を使用することはできない。

R3 問27 エ正しい

再使用証明を受けた印紙を使用して登記の申請をした場合において,その後,当該登記の申請を取り下げるときは,当該印紙について重ねて再使用したい旨の申出をすることができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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