事前通知じぜんつうち
登記識別情報を提供できない申請について、登記官が登記義務者に申請があった旨を書面で通知し、期間内に真実である旨の申出があったときに登記をする手続です。送り方、期間、申出の方法が肢で突かれます。
事前通知は、登記義務者の登記識別情報を提供できない申請について、登記官が登記義務者に対し、その申請があった旨と、申請内容が真実なら一定期間内に申し出るべき旨を通知する手続です。申出があれば登記が実行され、なければ却下されます。本人しか知らない登記識別情報の代わりに、本人の住所に届く郵便で確かめる仕組みだと考えると筋が通ります。通知は必ず書面で送られ、電子申請であっても電子的な通知にはなりません。肢では、郵便の種類、期間の起算点と長さ、申出の方法が入れ替えて出されます。
不動産登記法 第23条第1項登記官は、申請人が前条に規定する申請をする場合において、同条ただし書の規定により登記識別情報を提供することができないときは、法務省令で定める方法により、同条に規定する登記義務者に対し、当該申請があった旨及び当該申請の内容が真実であると思料するときは法務省令で定める期間内に法務省令で定めるところによりその旨の申出をすべき旨を通知しなければならない。この場合において、登記官は、当該期間内にあっては、当該申出がない限り、当該申請に係る登記をすることができない。

国内の自然人には本人限定受取郵便で送ります
通知は、登記義務者が国内に住所を有する自然人なら本人限定受取郵便で、法人なら書留郵便などで送られます。法人について申請人から代表者の住所に宛てて送付を希望する旨の申出があったときは、本人限定受取郵便で送られます。自然人でも法人でも外国に住所を有するときは書留郵便などによります。電子申請の場合でも通知は書面で送付され、「登記官がする事前通知は、電子情報処理組織を使用して送信する方法によりしなければならない」という肢は誤りです。通知書には通知を識別するための番号などが記載されます。申請人が速達の料金相当の郵便切手を提出したときは、速達で送られます。
期間は発送日から2週間で、外国なら4週間です
申出の期間は、登記官が通知を発送した日から2週間です。登記義務者が外国に住所を有する場合は4週間になります。「外国に住所を有する登記義務者が登記識別情報を提供することができないために事前通知による手続を利用して登記の申請をする場合において、登記官が事前通知を発送した日から2週間内に当該登記義務者から申請の内容が真実である旨の申出がされなかったときは、当該申請は却下される」という肢は誤りです。起算点が到達日ではなく発送日である点も押さえます。末日が行政機関の休日にあたるときは次の開庁日まで延びますが、通知書が本人に届くまでの日数も2週間に含まれるので、実務では届いたらすぐ返送します。
申出は申請の方法と同じ方法でします
真実である旨の申出は、電子申請なら電子情報処理組織を使用する方法で、書面申請なら通知書に記名押印して登記所に提出する方法でします。「本件登記の申請が書面を提出する方法により行われた場合において、登記官が本件登記の登記義務者に対して事前通知をしたときは、当該登記義務者は、電子情報処理組織を使用する方法によって、本件登記の申請内容が真実である旨の申出をすることはできない」という肢は正しい肢です。書面での申出は通知書に登記義務者が記名し、申請書または委任状に押したものと同じ印を押して返送します。電子申請なら電子署名を付して送信しますが、代理人が委任状を書面で提出する特例方式のときは書面で申し出ることもできます。
申出の日は受付日になりません
事前通知は申請を受け付けた後の手続なので、受付日は申請のときで固定されます。申出があった日を受付日として記録するという肢は誤りです。受付の順序で登記の順位が決まるため、事前通知の分だけ順位が後ろに下がることはありません。同じ売主から同じ買主へ同じ日に売買で移転した同じ管轄の2筆について、一方は登記識別情報を提供し、他方は事前通知によるときでも、一つの申請情報で申請できます。
申出がなければ却下され、他の添付情報は変わりません
期間内に真実である旨の申出がなければ、登記官は申請を却下します。事前通知の手続に入っても、登記義務者の印鑑証明書や登記原因証明情報など他の添付情報が免除されることはありません。地上権設定登記の抹消のような書面申請で問われています。「登記義務者が登記識別情報を提供することができないときは、申請情報を記載した書面に当該登記義務者の印鑑に関する証明書を添付することを要する」という肢は正しい肢です。資格者代理人の本人確認情報か公証人の認証を登記官が相当と認めたときは、そもそも事前通知が省かれます。
不動産登記規則 第70条第8項法第二十三条第一項の法務省令で定める期間は、通知を発送した日から二週間とする。ただし、法第二十二条に規定する登記義務者が外国に住所を有する場合には、四週間とする。
試験ではこう問われる
- 事前通知はどんな郵便で送られるか(国内の自然人は本人限定受取郵便、法人や外国住所は書留など)
- 申出の期間は何日で、起算点はいつか(発送日から2週間、外国に住所があれば4週間)
- 書面申請のときに電子で申出できるか(できない)
- 申出の日が受付日になるか(ならない。受付日は申請時)
この用語が問われた肢
所有権の移転の登記の電子申請をする場合において、登記義務者の登記識別情報を提供することができないときは、登記官がする事前通知は、電子情報処理組織を使用して送信する方法によりしなければならない。
外国に住所を有する登記義務者が登記識別情報を提供することができないために事前通知による手続を利用して登記の申請をする場合において、登記官が事前通知を発送した日から 2 週間内に当該登記義務者から申請の内容が真実である旨の申出がされなかったときは、当該申請は却下される。
本件登記の申請が書面を提出する方法により行われた場合において、登記官が本件登記の登記義務者に対して事前通知をしたときは、当該登記義務者は、電子情報処理組織を使用する方法によって、本件登記の申請内容が真実である旨の申出をすることはできない。
登記官が本件登記の登記義務者に対して事前通知をする場合には、法令で定める期間内に当該登記義務者から本件登記の申請内容が真実である旨の申出がされた日が、本件登記の申請の受付日として記録される。
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