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形式的審査主義けいしきてきしんさしゅぎ

不動産登記 第13章 登記手続の流れと登記官の処分 過去問で2肢

登記官の審査は提供された申請情報・添付情報と登記記録を照らし合わせる範囲で行い、登記原因である実体関係の真否までは立ち入らないという考え方です。登記官に何を調べる権限があり、何は調べないかが肢で突かれます。

形式的審査主義は、登記官が申請を審査するときに、申請情報と添付情報、そして登記記録の記載を突き合わせ、法令が定めた要件を満たしているかを見るにとどめるという説明です。登記原因となった売買や相続が実体的に有効かまでは調べません。不動産登記法25条の却下事由が、管轄・登記事項・申請権限・方式・登記記録や登記原因証明情報との合致といった書面上で判断できる事項で組まれているのは、その現れです。登記は大量の申請を短い期間で処理する手続なので、審査の範囲を書面に限ることで迅速と公平を保っています。肢で突かれるのは、この原則の裏で例外として登記官に与えられている調査の権限です。

不動産登記法 第25条

(申請の却下)
登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
一 申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。
二 申請が登記事項(他の法令の規定により登記記録として登記すべき事項を含む。)以外の事項の登記を目的とするとき。
三 申請に係る登記が既に登記されているとき。
四 申請の権限を有しない者の申請によるとき。
五 申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。
六 申請情報の内容である不動産又は登記の目的である権利が登記記録と合致しないとき。
七 申請情報の内容である登記義務者(第六十五条、第七十六条の五、第七十七条、第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)、第九十三条(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第百十条前段の場合にあっては、登記名義人)の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないとき。
八 申請情報の内容が第六十一条に規定する登記原因を証する情報の内容と合致しないとき。
九 第二十二条本文若しくは第六十一条の規定又はこの法律に基づく命令若しくはその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報が提供されないとき。
十 第二十三条第一項に規定する期間内に同項の申出がないとき。
十一 表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が第二十九条の規定による登記官の調査の結果と合致しないとき。
十二 登録免許税を納付しないとき。
十三 前各号に掲げる場合のほか、登記すべきものでないときとして政令で定めるとき。

職員が申請書と帳簿だけを見比べ、窓の外で売買する夫婦と家には目を向けていない。机と窓の間に衝立
登記官の審査は申請情報・添付情報・登記記録の範囲で行い、実体の真否には立ち入りません
書面と登記記録で審査本人確認の調査は例外表示登記は実地調査公信力はない

審査の材料は申請情報・添付情報・登記記録に限られます

登記官は、申請情報の内容が登記記録と合っているか、登記原因証明情報の内容と合っているか、必要な添付情報が揃っているかを見て、揃っていれば登記を実行します。売買契約が本当に成立したか、代金が支払われたかといった実体の事実は、登記原因証明情報に書かれた限りで読むだけで、当事者を呼んで確かめることはしないのです。却下事由は書面と登記記録から判断できる形を基本に列挙され、本人確認の調査による申請権限の有無と表示に関する登記の実地調査の結果だけが例外で、列挙にない理由で却下することはできません。ただし、申請情報・添付情報・登記記録から登記が無効であることが明らかなときは、不動産登記令20条8号により25条13号で却下されます。書面の上に表れない無効は、後に当事者の申請や裁判で正されるのであって、登記官の審査の段階で止めるものではありません。

申請人の本人性については登記官に調査の権限があります

申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があるときは、不動産登記法24条が登記官に調査を義務づけています。登記官は出頭を求め、質問をし、文書の提示を求めて申請の権限の有無を調べます。実体の真否ではなく申請の権限についての調査で、形式的審査の原則の中で登記官に認められた例外です。遠隔地に住む申請人については他の登記所の登記官に調査を嘱託できます。不正登記防止申出がされているときや、前の住所地への通知を受けた者から異議の申出があったときは、この調査に進むのであって、申出や異議があること自体で却下するわけではありません。

表示に関する登記では実地の調査ができます

表示に関する登記は不動産の物理的な状況を公示するものなので、不動産登記法29条により、登記官は必要があれば不動産の表示に関する事項を調査できます。日出から日没までの間に限って不動産を検査し、所有者などの関係者に文書の提示を求め、質問をすることができ、このとき身分を示す証明書を携帯します。調査の結果と申請の内容が合わなければ、25条11号で却下されます。権利に関する登記にはこの実地調査の規定がなく、権利の審査は書面に限られるという対比が肢の軸です。

審査の範囲が狭い分、公信力はなく推定力にとどまります

登記官が実体を調べない以上、登記があるからといって実体上の権利があるとは限らず、不動産登記には公信力がありません。登記原因証明情報や印鑑証明書、登記識別情報といった添付情報の仕組みが、書面の上で真実らしさを担保する役目を負っています。登記名義人は実体上も権利者であると事実上推定されるにとどまり、真の権利者は登記を信頼しただけの第三者にも権利を主張できます。第三者が守られるのは民法94条2項の適用や類推適用がある場合に限られます。司法書士が本人確認と意思確認を丁寧に行う実務上の理由はここにあり、登記官の審査で止まらない不正を申請の入口で防ぐ役目です。登記識別情報や印鑑証明書、資格者代理人による本人確認情報の制度は、形式的審査を補うための仕組みとして組まれており、どれか一つで足りるものではありません。

不動産登記法 第24条

(登記官による本人確認)
登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、次条の規定により当該申請を却下すべき場合を除き、申請人又はその代表者若しくは代理人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請の権限の有無を調査しなければならない。
登記官は、前項に規定する申請人又はその代表者若しくは代理人が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に同項の調査を嘱託することができる。

試験ではこう問われる

  1. 登記官は売買契約が実体上有効かを調べて申請を却下できるか(できない。書面と登記記録で審査)
  2. 申請人でない者が申請している疑いがあるとき登記官は何をするか(出頭を求め質問し文書の提示を求める調査。24条)
  3. 表示に関する登記で登記官は不動産を検査できるか(できる。日出から日没まで。29条)
  4. 登記に公信力はあるか(ない。推定力にとどまる)
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