補正ほせい
申請の不備が補正できるものであるとき、登記官が定めた相当の期間内に申請人がその不備を直すことです。補正期間中は却下されないこと、補正は申請した方式でしなければならないことが肢で突かれます。
補正は、申請に不備があるものの、その不備が直せる性質のものであるときに、登記官が定めた相当の期間内に申請人が不備を直す手続です。不動産登記法25条ただし書が補正されれば却下しないと定め、不動産登記規則60条が補正期間中は却下できないことと補正の方法を定めています。却下して出し直させると受付番号を失い、順位が後の申請に抜かれるおそれがあるので、直せる不備は申請を生かしたまま直させる仕組みです。肢で突かれるのは、補正の方法と電子申請での補正の作法です。
不動産登記法 第25条(申請の却下)
登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
一 申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。
二 申請が登記事項(他の法令の規定により登記記録として登記すべき事項を含む。)以外の事項の登記を目的とするとき。
三 申請に係る登記が既に登記されているとき。
四 申請の権限を有しない者の申請によるとき。
五 申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。
六 申請情報の内容である不動産又は登記の目的である権利が登記記録と合致しないとき。
七 申請情報の内容である登記義務者(第六十五条、第七十六条の五、第七十七条、第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)、第九十三条(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第百十条前段の場合にあっては、登記名義人)の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないとき。
八 申請情報の内容が第六十一条に規定する登記原因を証する情報の内容と合致しないとき。
九 第二十二条本文若しくは第六十一条の規定又はこの法律に基づく命令若しくはその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報が提供されないとき。
十 第二十三条第一項に規定する期間内に同項の申出がないとき。
十一 表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が第二十九条の規定による登記官の調査の結果と合致しないとき。
十二 登録免許税を納付しないとき。
十三 前各号に掲げる場合のほか、登記すべきものでないときとして政令で定めるとき。

補正できる不備なら期間内は却下されません
不動産登記法25条の却下事由に当たっても、その不備が補正できるものであれば、登記官は相当の期間を定めて補正を促します。期間を定めたときは、その期間内はその不備を理由に申請を却下できないと不動産登記規則60条1項が定めています。期間内に補正されれば申請は受付の時にさかのぼって不備がなかったものとして進み、受付番号も順位もそのままです。期間内に補正されなければ、登記官は理由を付した決定で却下し、管轄違いや登記事項でない事項の登記のように性質上直せない不備は補正の対象になりません。補正できるかどうかは不備の性質で決まり、添付情報の不足や申請情報の誤記、登録免許税の不足が補正できる不備の典型です。
補正は申請した方式に合わせてします
補正の方法は申請の区分で決まります。電子申請の補正は電子情報処理組織を使ってし、書面申請の補正は登記所に提出した書面を直すか、補正に係る書面を提出してします。電子申請について「登記官が定めた相当の期間内に申請人が当該誤記を補正するときは,当該補正に係る書面を登記所に提出する方法によってすることができる」という肢は誤りです。電子で出した申請情報を紙で直すことはできず、申請と同じ経路で補正情報を送ります。特例方式で紙のまま提出した添付書面については、その書面を直すか補正の書面を提出する方法で補正できる扱いで、書面申請の補正と同じ型です。添付情報が足りないときは、不足していた書面を期間内に追加で提出することが補正に当たり、登記実務では補正の連絡は登記所から申請人または代理人に電話などで行われるのが通例です。
本人の電子申請の補正情報には電子署名が要ります
電子申請の補正情報は申請情報と同じ扱いで、作成者が電子署名をし、電子証明書とともに送信します。「自然人である申請人が委任による代理人によらずに登記の電子申請をした場合において、申請情報に誤りがあり補正するときは、申請人は、補正情報を作成した上でこれに電子署名し、当該申請人の電子証明書とともに送信しなければならない」という肢は正しい肢です。代理人による電子申請なら代理人が電子署名をします。補正情報だけ署名を省けるとすると、申請の内容を本人の意思で変えたことを確かめられなくなるからです。司法書士が代理人として電子申請をしたときは、補正情報にも司法書士の電子署名を付し、本人の電子署名は要りません。
補正と訂正、補正と取下げは別の手続です
申請書の文字を書き間違えたときに申請人が自分で直すのが訂正で、登記官の指摘を受けて不備を直すのが補正です。訂正は申請前にも受付後にもあり、補正は受付の後に登記官が期間を定めて初めて問題になります。提出済みの申請書を訂正することが補正の方法になることもあり、二つは排他の関係ではありません。補正では直しきれない不備や、申請人が申請自体をやめたいときは取下げをし、取下げは登記の完了前に限ってできます。登記申請の一切の権限を委任されていれば通常の補正は含まれると扱われますが、司法書士の委任状には補正に関する権限の文言を入れておくのが通例です。補正は申請を生かす手続、取下げは申請を消す手続と覚えておくと、肢の文言に惑わされません。
不動産登記規則 第60条(補正)
登記官は、申請の補正をすることができる期間を定めたときは、当該期間内は、当該補正すべき事項に係る不備を理由に当該申請を却下することができない。
申請の補正は、次の各号に掲げる申請の区分に応じ、当該各号に定める方法によってしなければならない。
一 電子申請 法務大臣の定めるところにより電子情報処理組織を使用して申請の補正をする方法
二 書面申請 登記所に提出した書面を補正し、又は補正に係る書面を登記所に提出する方法
試験ではこう問われる
- 補正期間内に、その不備を理由として申請を却下できるか(できない)
- 電子申請の補正を補正に係る書面の提出でできるか(できない。電子情報処理組織でする)
- 本人による電子申請の補正情報に電子署名と電子証明書は要るか(要る)
- 補正をしても受付番号や順位は変わるか(変わらない)
この用語が問われた肢
自然人である申請人が委任による代理人によらずに登記の電子申請をした場合において、申請情報に誤りがあり補正するときは、申請人は、補正情報を作成した上でこれに電子署名し、当該申請人の電子証明書とともに送信しなければならない。
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