独立当事者参加の要件どくりつとうじしゃさんかのようけん
独立当事者参加とは、訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者(詐害防止参加)又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者(権利主張参加)が、当事者の双方又は一方を相手方として、当事者として訴訟に参加することです(47条1項)。
XがYに「この土地は私のものだから明け渡せ」と訴えているところに、Zが「いや、この土地は私のものだ」と言いたいとします。ZがXとYに別々に訴訟を起こすと、XY間ではXのもの、ZY間ではZのものという食い違った判決が出るおそれがあります。そこで民事訴訟法は、第三者が自分の請求を持って当事者として訴訟に入り、三人の争いを一つの判決でまとめて決めることを認めています。これが独立当事者参加です。

独立当事者参加には、詐害防止参加と権利主張参加の二つの類型があります
訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者、又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができます(47条1項)。前者を詐害防止参加、後者を権利主張参加と呼びます。判例は、この制度を、同一の権利関係について原告・被告・参加人の三者が互いに相争う紛争を一の訴訟手続によって一挙に矛盾なく解決しようとする訴訟形態であり、一の判決により訴訟の目的となった権利関係を全員につき合一に確定することを目的とするものと位置づけています(最判平成6年9月27日)。
- 詐害防止参加訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者の参加(47条1項前段)
- 権利主張参加訴訟の目的の全部又は一部が自己の権利であることを主張する第三者の参加(47条1項後段)。参加人の請求が本訴の請求と論理的に両立しない関係にある場合
詐害防止参加ができる第三者は、判決の効力を受ける者に限られません
「訴訟の結果によって権利が害される」の意味については、判決の効力が第三者に及んで不利益を受ける場合とする見解、第三者の権利が本訴の訴訟物の存否を論理的な前提とする場合とする見解、当事者がその訴訟を通じて第三者を害する意思を持つと客観的に認められる場合とする見解(詐害意思説)があります。判例は、所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴訟で、登記名義人の債権者としてその不動産の強制競売開始決定を得た第三者の参加を認め、判決の効力が及ぶ場合に限らず、間接に自己の権利が害されるおそれがある場合も含めています(最判昭和42年2月23日)。
権利主張参加は、参加人の請求が本訴の請求と論理的に両立しない場合に認められ、三者間で合一に確定すべき権利関係が必要です
権利主張参加の典型は、XがYに所有権に基づいて物の引渡しを求めているときに、Zが自分の所有権を主張して、Xに所有権確認を、Yに引渡しを求める場合です。債権の帰属をめぐって、訴訟係属前にXから債権を譲り受けたと主張するZが、Xに債権の帰属の確認を、Yに支払を求める場合もこれに当たります。判例は、Xが売買を理由にYに所有権移転登記手続を求める訴訟に、Yとの売買予約に基づく仮登記を持つZが、Yに本登記手続を、Xにその承諾を求めて参加した事案で、Zの申出は土地の所有権の所在の確定を求める申立てを含まず、三者間で合一に確定されるべき権利関係が訴訟の目的になっていないとして、参加の要件を欠くとしました(最判平成6年9月27日)。このとき判例は、Zの請求を独立の訴えとして第一審裁判所に移送しています。不動産の二重譲渡の第二の買主の参加を認めるかについては、見解が分かれています。

参加人は自ら請求を立てなければならず、当事者の双方又は一方を相手方として参加します
独立当事者参加は参加人が当事者として裁判を受ける制度なので、参加人は自分の請求を立てなければなりません。判例は、独立当事者参加の申出は、参加人が参加を申し出た訴訟において裁判を受けるべき請求を提出しなければならず、単に当事者の一方の請求に対して訴え却下又は請求棄却の判決を求めるのみの参加の申出は許されないとしました(最決平成26年7月10日)。相手方は当事者の「双方又は一方」なので(47条1項)、一方だけに請求を立てる片面的な参加もできます。参加人は原告とも被告とも対立する独立の当事者で、どちらかの共同訴訟人になるわけではありません。参加人の請求について、別訴を起こした場合に本訴の裁判所に管轄があるものに限るという制限もありません。
参加の申出は書面でし、要件は異議の有無にかかわらず判決で判断され、控訴審でもできますが上告審ではできません
参加の申出は書面でしなければならず、その書面は当事者双方に送達されます(47条2項・3項)。申出は参加人としてできる訴訟行為とともにすることができるので(47条4項・43条2項)、当事者が控訴しなくても第三者は参加の申出とともに控訴できます。参加の申出は新しい訴えの提起の性質を持つので、補助参加の異議と許否の決定(44条)の仕組みは使われず、参加の要件は当事者の異議の有無にかかわらず口頭弁論に基づいて審理し、欠けていれば判決で却下します。参加の申出は攻撃防御方法ではないので、時機に後れた攻撃防御方法として却下されることはありません。判例は、上告審は事実審ではないから、参加人の請求の当否を判断して係属中の事件と矛盾のない判決をすることができないとして、上告審での参加の申出を許さないとしました(最判昭和44年7月15日)。事実審である控訴審ではできるので、第一審の口頭弁論の終結時までに限られるわけではありません。参加するかどうかは第三者の選択に委ねられているので、参加できる場合でも別訴を起こすことは禁じられません。
判例によれば、債権者代位訴訟の債務者も、代位債権者と第三債務者を相手方として独立当事者参加ができます
判例は、債権者代位訴訟の係属中に、債務者が代位債権者に対して被保全債権の不存在を主張し、第三債務者に対して代位訴訟と訴訟物を同じくする請求をして参加することは、重複起訴の禁止に触れないとしました(最判昭和48年4月24日)。債務者の利益を守るため訴えを提起する特別の必要があり、代位訴訟と併合審理が強制されて訴訟の目的が合一に確定されるので、審判の重複、既判力の抵触、被告の応訴の煩という弊害がないからです。被保全債権が弁済で消滅したと主張する債務者は、この訴訟に独立当事者参加をすることができます。令和2年4月施行の民法改正で、債権者が代位行使した後も債務者は被代位権利の取立てその他の処分を妨げられないとされたので(民法423条の5)、債務者の請求が代位債権者の請求と両立しないといえるかには疑問があり、共同訴訟参加によるべきだとする見解もあります。この点は債権者代位訴訟の語で扱います。
民事訴訟法 第47条第1項訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
最決平成26年7月10日独立当事者参加の申出は、参加人が参加を申し出た訴訟において裁判を受けるべき請求を提出しなければならず、単に当事者の一方の請求に対して訴え却下又は請求棄却の判決を求めるのみの参加の申出は許されない
試験ではこう問われる
- 参加の申出の書面は、当事者の一方だけを相手方とする場合でも当事者双方に送達する(47条3項。H25 午後 問1 ア ×・出題当時)
- 参加の申出では、参加の趣旨と理由を明らかにする(47条4項・43条1項。H25 午後 問1 イ ○・出題当時)
- 参加の申出は控訴審でもでき、上告審ではできない(最判昭和44年7月15日。H25 午後 問1 ウ ×・出題当時)
- 参加人は請求を立てなければならず、請求棄却を求めるだけの参加はできない(最決平成26年7月10日)
- 相手方は当事者の双方又は一方でよく、参加人は原告・被告の共同訴訟人ではない(47条1項)
- 異議の有無にかかわらず許否の決定はせず、要件は判決で判断する
- 債権者代位訴訟の債務者の参加は重複起訴に触れない(最判昭和48年4月24日)

