口頭弁論の終結と再開・判決の言渡しこうとうべんろんのしゅうけつとさいかいはんけつのいいわたし
口頭弁論の終結とは、訴訟が裁判をするのに熟したと裁判所が判断して審理を締めくくることで、口頭弁論の再開とは、終結した口頭弁論を判決前に裁判所が再び開くことです(153条)。判決の言渡しとは、終結後に裁判長が主文を朗読して判決を告げることで、判決はこれによって効力を生じます(250条)。
審理を尽くして判決できる状態になったら、裁判所は口頭弁論を終結し、日を決めて判決を言い渡します。終結した後に新しい資料を出されても判決には使えませんが、どうしても聴くべき言い分が出てきたときは、裁判所は弁論を再開できます。いつ終結し、再開するかは手続の進め方の問題なので、原則として裁判所が決めます。判決の言渡しは、当事者が来ていなくてもできます。

口頭弁論の再開は裁判所の裁量で当事者に申立権はありませんが、手続的正義が明らかに求める特段の事由があれば再開しなければなりません
153条は、裁判所は、終結した口頭弁論の再開を命ずることができると定めます。再開するかどうかは裁判所の訴訟指揮の裁量に属し、当事者の再開の申立ては職権の発動を促すものにとどまります。裁判所は申立てがなくても職権で再開できます。ただし判例(最判昭和56年9月24日)は、弁論を再開して当事者に攻撃防御方法を提出する機会を与えることが明らかに民事訴訟における手続的正義の要求するところであると認められる特段の事由があるときは、裁判所は弁論を再開すべきで、再開しないで判決するのは違法であるとしました。再開しても裁判官が代わっていなければ、従前の審理に関与した裁判官がそのまま判決するので、弁論の更新は要りません。
訴訟が裁判をするのに熟したら口頭弁論を終結して判決し、終結後に提出された資料は判決の基礎になりません
裁判所は、訴訟が裁判をするのに熟したときは終局判決をします(243条1項)。「裁判所は,当事者が審理の続行を求めたとしても,訴訟が裁判をするのに熟したと判断したときには,口頭弁論を終結し,終局判決をすることができる」という肢(R3 午後 問5 ア)は正しいです。口頭弁論を経た以上は、本案判決でも訴えを却下する訴訟判決でも、口頭弁論を終結してから判決します。訴えが不適法で補正できないときは口頭弁論を経ないで却下判決ができますが(140条)、口頭弁論を経たならば終結が必要です。終結後に当事者が書証として提出した文書は、口頭弁論でした訴訟行為ではないので第一審判決の資料にならず、控訴審で第一審の口頭弁論の結果を陳述しても、その結果に含まれません。
口頭弁論の終結後も和解は試みることができ、再開は要らず、終結時と別の裁判官が和解に関与してもかまいません
裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、和解を試みることができます(89条1項)。口頭弁論を終結した後でも、判決の言渡しまでは和解を試みられ、そのために弁論を再開する必要はありません。「裁判所は、口頭弁論を終結した後判決の言渡しまでの間に和解を試みるときは、口頭弁論を再開しなければならない」という肢(R6 午後 問4 エ)は誤りです。直接主義(249条1項)は判決をする裁判官についての要請で、当事者の合意で紛争を解決する和解には及びません。そのため、口頭弁論終結時と別の裁判官が和解の期日に関与してもかまいません。

判決は言渡しによって効力を生じ、言渡しは裁判長が主文を朗読してし、当事者が在廷しなくてもできます
判決は言渡しによってその効力を生じ(250条)、決定及び命令は相当と認める方法で告知することによって効力を生じます(119条)。「判決は、当事者に対する判決書の送達によってその効力を生ずる」という肢(R7 午後 問5 ウ)は誤りです。決定には言渡期日の定めがないので、「裁判所は,決定をする場合には,あらかじめ,決定を告知する日を定めなければならない」という肢(R3 午後 問5 イ)も誤りです。言渡しは裁判長が主文を朗読してし、理由は相当と認めるときに朗読し、又は要領を告げることができるにとどまります(民事訴訟規則157条)。判決の言渡しは、当事者が在廷しない場合でもすることができます(251条2項)。「判決の言渡しは、当事者双方が判決の言渡期日に出頭しない場合においても、することができる」という肢(R7 午後 問5 ア)は正しく、「判決は,少なくとも一方の当事者が在廷する口頭弁論期日において言い渡さなければならない」という肢(R3 午後 問5 エ)は誤りです。訴訟手続の中断中でも判決は言い渡せるので(132条1項)、「判決の言渡しは、訴訟手続の中断中には、することができない」という肢(R7 午後 問5 イ)も誤りです。言渡しは口頭弁論の終結の日から2か月以内にしなければなりませんが(251条1項本文)、事件が複雑であるときなど特別の事情があれば例外が認められ、この期間は訓示的な定めと解されています。
口頭弁論を終結した期日に言渡期日を告知すれば、欠席した当事者にも効力が及び、言渡期日の呼出状を送達する必要はありません
判例(最判昭和23年5月18日、最判昭和56年3月20日)は、適式な呼出しを受けながら期日に出頭しない当事者がいる場合でも、裁判所は口頭弁論を終結でき、裁判長がその期日で判決言渡期日を指定して告知したときは、在廷しない当事者にも効力が及ぶので、言渡期日の呼出状を改めて送達する必要はないとしています。当事者双方が欠席した場合も同じです。期日の呼出しの方法の詳細は期日・期間と呼出しの語で扱います。
- 弁論の再開(153条)裁判所の裁量で当事者に申立権なし。手続的正義が明らかに求める特段の事由があれば再開義務(最判昭和56年9月24日)
- 再開と更新裁判官が代わらなければ更新不要
- 終結後の資料判決の基礎にならず、控訴審で結果陳述しても資料にならない
- 終結後の和解再開不要。別の裁判官が関与してよい
- 言渡し主文の朗読(民事訴訟規則157条)。当事者不在でも可(251条2項)。終結から2か月以内は訓示的(251条1項)
- 言渡期日の告知欠席した当事者にも効力が及び、呼出状の送達は不要
民事訴訟法 第153条(口頭弁論の再開)
裁判所は、終結した口頭弁論の再開を命ずることができる。
民事訴訟法 第251条第1項判決の言渡しは、口頭弁論の終結の日から二月以内にしなければならない。ただし、事件が複雑であるときその他特別の事情があるときは、この限りでない。
民事訴訟法 第251条第2項判決の言渡しは、当事者が在廷しない場合においても、することができる。
試験ではこう問われる
- 裁判所は、当事者が審理の続行を求めても、裁判をするのに熟したと判断すれば口頭弁論を終結して終局判決ができる(243条1項、R3 午後 問5 ア ○)
- 弁論の再開は裁判所が職権で命じ、当事者に申立権はない(153条)。手続的正義が明らかに求める特段の事由があれば再開しなければ違法である(最判昭和56年9月24日)
- 口頭弁論の終結後に和解を試みるのに再開は不要で(R6 午後 問4 エ ×)、終結時と別の裁判官が関与してよい
- 判決は言渡しで効力を生じ、判決書の送達で生じるのではない(250条、R7 午後 問5 ウ ×)。決定・命令は相当と認める方法での告知で効力を生じ、告知日をあらかじめ定める必要はない(119条、R3 午後 問5 イ ×)
- 判決の言渡しは当事者双方が欠席してもでき(251条2項、R7 午後 問5 ア ○)、少なくとも一方の在廷も要らない(R3 午後 問5 エ ×)
- 判決の言渡しは訴訟手続の中断中でもできる(132条1項、R7 午後 問5 イ ×)
- 言渡期日を終結の期日に告知すれば、欠席した当事者に呼出状を送達する必要はない(最判昭和23年5月18日・最判昭和56年3月20日)

