司法書士試験AIブートラボ 司法書士試験AIブートラボ

裁判の種類(判決・決定・命令)さいばんのしゅるい

民事訴訟法 第8章 判決 過去問で13肢

裁判の種類とは、民事訴訟の裁判を、誰が裁判するかと手続の重さで判決・決定・命令の3つに分けたものです。判決と決定は裁判所の裁判で、命令は裁判長・受命裁判官・受託裁判官などの裁判官の裁判です。

裁判所の判断には、訴えに答える重い判断から、期日の変更や移送のような手続の途中の判断まで、いろいろな重さのものがあります。全部を法廷で言い渡す判決で決めていたら、訴訟がいつまでも進みません。そこで民事訴訟法は、事件の中身に答える判断は判決で慎重に、手続の付随的な判断は決定や命令で簡易迅速にする、という使い分けをしています。誰が裁判をするかでも、裁判所の裁判(判決・決定)と個々の裁判官の裁判(命令)に分かれます。

裁判所の廊下から見た3つの部屋の断面図。左は公開の法廷で、法壇の先生(札「裁判所」)が傍聴席に向かって紙を読み上げている。看板「判決=言渡し(250条)」。中央は裁判官室で、先生(札「裁判所」)が机で書面に押印し、看板「決定=相当と認める方

判決と決定は裁判所がする裁判で、命令は裁判長や受命裁判官などの個々の裁判官がする裁判です

判決と決定は、単独体か合議体かを問わず、裁判機関としての裁判所がする裁判です。両者の違いは主体ではなく手続にあり、判決は原則として口頭弁論を経て言渡しでする重い裁判、決定は口頭弁論を開くかどうかを裁判所が決める簡易な裁判です。これに対し、裁判長・受命裁判官・受託裁判官が、その資格でする裁判を命令といいます。訴状の不備について裁判長がする補正命令と訴状却下命令(137条)が典型です。したがって、決定を裁判長の裁判とするのは、決定の主体を取り違えています。条文が「裁判所は、決定で」と書くか「裁判長は、命令で」と書くかで、主体を確かめることができます。

  • 判決主体は裁判所です。原則として口頭弁論を経て(87条1項本文)、言渡しで効力を生じ(250条)、不服申立ては控訴・上告です
  • 決定主体は裁判所です。口頭弁論を開くかは裁判所が決め(87条1項ただし書)、相当と認める方法の告知で効力を生じ(119条)、不服申立ては抗告です
  • 命令主体は裁判長・受命裁判官・受託裁判官です。手続と効力の発生は決定と同じで、不服申立ても抗告です

判決は公開の法廷での言渡しで効力を生じ、決定と命令は相当と認める方法で告知すれば効力を生じます

判決は言渡しによって効力を生じます(250条)。憲法82条1項は判決を公開法廷で行うと定めているので、判決の言渡しは公開の法廷でします。これに対し、決定と命令は相当と認める方法で告知することによって効力を生じます(119条)。期日に口頭で告げる、書面を送付するなど、告知の方法は裁判所の裁量に任されています。決定・命令の対象は手続の付随的な事項が多く、簡易迅速に処理する必要があるからです。判決の言渡期日にあたる告知の日をあらかじめ定める規定もないので、「裁判所は,決定をする場合には,あらかじめ,決定を告知する日を定めなければならない」という肢(R3 午後 問5 イ)は誤りです。決定と命令には、その性質に反しない限り判決に関する規定が準用されます(122条)。「決定に計算違い,誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは,裁判所は,申立てにより又は職権で,いつでも更正決定をすることができる」という肢(R3 午後 問5 オ)は、この準用の例として正しいです。

決定で完結すべき事件では、口頭弁論を開くかどうかを裁判所が決め、判決にも口頭弁論を経ないでできる場合があります

当事者は、訴訟について、裁判所で口頭弁論をしなければなりません(87条1項本文。必要的口頭弁論)。ただし、決定で完結すべき事件については、口頭弁論をすべきかどうかを裁判所が定めます(同項ただし書。任意的口頭弁論)。口頭弁論を開かないときは、当事者を審尋することができます(同条2項)。決定は口頭弁論を経てもよく、経なくてもよいとされています。前半の判決についても例外があり、補正できない不適法な訴えの却下(140条)、補正できない不適法な控訴の却下(290条)、理由のない上告の棄却(319条)は、口頭弁論を経ないで判決ですることができます。いずれも口頭弁論を開いても結論が変わらない場合です。「控訴が不適法でその不備を補正することができない場合において、控訴裁判所が判決で当該控訴を却下するときは、口頭弁論を経ることを要しない」という肢(R8 午後 問5 エ)は正しいです。

裁判官室の場面。机の先生(札「原裁判所」)の前に、書記官が封筒(札「即時抗告状」)を届けている。先生は自分が出した決定書(札「原決定」)を手に取り、赤ペンで直そうとしている。壁の貼り紙「333条 抗告に理由があれば原裁判所が更正」。先生の吹

決定と命令は自己拘束力が弱いので、抗告に理由があると認めれば原裁判所や原裁判長が自ら更正しなければなりません

言い渡した判決は、裁判所自身も撤回・変更できません(判決の自己拘束力)。例外は判決の更正決定と変更の判決に限られ、詳しくは「判決の自己拘束力と更正決定・変更判決」で扱います。これに対し、決定と命令は自己拘束力が弱く、訴訟の指揮に関する決定と命令はいつでも取り消すことができます(120条)。抗告があったときも、原裁判をした裁判所又は裁判長は、抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければなりません(333条)。これを再度の考案といい、抗告裁判所の判断を待たずに原裁判所の段階で誤りを正させる趣旨です。条文は「更正しなければならない」と義務の形で書いています。決定・命令ですることができない事項について決定・命令がされたとき(違式の裁判)は抗告ができる(328条2項)など、抗告の詳細は上訴の語で扱います。

民事訴訟法 第87条第1項

当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならない。ただし、決定で完結すべき事件については、裁判所が、口頭弁論をすべきか否かを定める。

民事訴訟法 第119条

(決定及び命令の告知)
決定及び命令は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。

民事訴訟法 第333条

(原裁判所等による更正)
原裁判をした裁判所又は裁判長は、抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 決定・命令は相当と認める方法の告知で効力を生じ、告知する日をあらかじめ定める必要はない(119条。R3 午後 問5 イ ×)
  2. 決定にも性質に反しない限り判決の規定が準用され、明白な誤りは申立てにより又は職権でいつでも更正できる(122条・257条1項。R3 午後 問5 オ ○)
  3. 補正できない不適法な控訴は、口頭弁論を経ないで判決で却下できる(290条。R8 午後 問5 エ ○)
  4. 判決と決定は裁判所の裁判、命令は裁判長・受命裁判官・受託裁判官の裁判である
  5. 決定で完結すべき事件は口頭弁論を開くかを裁判所が決める(87条1項ただし書)
  6. 抗告に理由があると認めるときは、原裁判をした裁判所又は裁判長は裁判を更正しなければならない(再度の考案、333条)

司法書士試験AIブートラボ

司法書士試験の対策を、
スマホひとつで。

過去問の肢別演習、記述式と雛形ドリル、先例と条文、用語集。司法書士試験の勉強に使う教材をひとつのアプリにまとめました。

関連する用語

裁判所

裁判所の構成と権限分担(裁判長・受訴裁判所・受命裁判官・受託裁判官・裁判所書記官)

裁判所の構成と権限分担とは、事件を審理する受訴裁判所、合議体を代表して訴訟を指揮する裁判長、合議体の構成員から指定...
審理の原則と手続

口頭弁論の諸原則(公開主義・双方審尋主義・口頭主義・必要的口頭弁論・公開停止)

口頭弁論の諸原則とは、判決の基礎となる口頭弁論を、公開の法廷で(公開主義)、当事者双方に平等に主張の機会を与えて(...
上訴

上訴総論(確定遮断・移審・上訴不可分の原則)

上訴とは、確定前の裁判について、上級の裁判所にその取消し・変更を求める不服申立てです。適法な上訴があると判決の確定...
判決

判決の種類(終局判決・一部判決・追加判決・中間判決)

判決の種類とは、判決がその審級の審理を終わらせるか(終局判決)、途中の争点に決着を付けるだけか(中間判決)、事件の...
判決

判決の成立と言渡し(電子判決書・調書判決・欠席時の言渡し・送達)

判決の成立と言渡しとは、裁判所が電子判決書を作成し、それに基づいて公開の法廷で言い渡すことで判決が効力を生じ、その...
判決

判決の自己拘束力と更正決定・変更判決

判決の自己拘束力とは、判決を言い渡した裁判所自身も、その判決を撤回したり変更したりできなくなる効力です。例外として...