独立当事者参加の審判と訴訟脱退どくりつとうじしゃさんかのしんぱんとそしょうだったい
独立当事者参加の審判とは、独立当事者参加があった訴訟で、47条4項により40条1項から3項までを準用し、三者間の紛争を一個の判決で合一に確定する審理の規律です。訴訟脱退とは、権利主張参加があったときに、参加前の原告又は被告が相手方の承諾を得て訴訟から離れることで、判決は脱退した当事者にも効力を有します(48条)。
独立当事者参加があると、原告・被告・参加人の三人が互いに争う形になります。このとき原告と被告の二人だけで話を合わせ、被告が原告の言い分を認めてしまえば、参加人の知らないところで勝負が決まってしまいます。それでは三人の争いを一つの判決で矛盾なく決めるという制度の目的が果たせません。そこで民事訴訟法は、必要的共同訴訟の規律を借りて、二人だけで他の一人に不利なことを決められないようにしています。

独立当事者参加の訴訟には40条1項から3項までが準用され、二当事者だけで他の一人に不利な行為をしても効力を生じません
独立当事者参加の訴訟の当事者と参加人には、必要的共同訴訟についての40条1項から3項までが準用されます(47条4項)。三者のうち二者の間でされた訴訟行為は、他の一人に不利益をもたらす限り、その二者の間でも効力を生じません。必要的共同訴訟で「共同被告の一人がこれを認める旨の陳述をし、他の共同被告がこれを否認しているときは、当該請求原因事実についての自白は、これを認める旨の陳述をした共同被告との関係においても、成立しない」という肢(R8 午後 問1 ウ)が正しいのと同じ規律です。原告の主張する事実を被告が自白しても、参加人が争う限り自白の効力は生じず、参加人に対してだけでなく原告に対しても自白としての効力は認められません。所有権確認訴訟で原告の主張する売買の成立を被告が認めても、訴訟係属前から所有権を持つと主張する参加人が否認すれば、裁判所は証拠調べの結果に基づいて売買の成立を認めないと判断できます。反対に、他の一人に不利益をもたらさない行為は全員との関係で効力を持ちます。XのYに対する明渡請求にXからの譲受人Zが参加してYに明渡しを求めた事案で、YがZとの関係で甲土地の占有を認めることはXにとっても有利なので、Xとの関係でも同じ事実を認めたものとして扱われます。
一人に中断の事由が生じれば全員について中断し、判決は三者全員を名宛人とする一個の判決でしなければなりません
40条3項の準用により、原告・被告・参加人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は全員について効力を生じます(47条4項)。一人を除いて審理を進めると、その者の承継人に手続保障を与えないまま三者の判断が決まってしまうからで、参加した第三者が死亡したときも訴訟手続は中断します。判決も、三者全員を名宛人とする一個の終局判決でしなければならず、一部の者だけを名宛人とする判決は許されません(最判昭和43年4月12日)。
一人が上訴すれば判決の全体が確定を遮断されて移審し、合一確定に必要な限度で上訴しない者に不利に変更できます
判例は、債権の帰属を争う独立当事者参加の訴訟で、第一審が参加人の被告に対する請求を一部認容したのに対し、原告だけが控訴した事案で、第一審判決のうち参加人の被告に対する請求を認容した部分も原告の控訴によって確定を遮断され、控訴審に移審するとしました(最判昭和48年7月20日)。さらに控訴審は、被告の控訴や附帯控訴の有無にかかわらず、合一確定のため必要な限度で、その部分を参加人に不利に変更することができるとしました。上訴した者が当事者となっている部分だけが移審し、その余の部分が確定するわけではありません。上訴しなかった者が上訴人になるのか被上訴人になるのかについては見解が分かれています。

二当事者だけの和解は参加人の同意がなければ効力を生じず、原告の訴えの取下げには被告と参加人の同意が要ります
訴訟の目的を処分する行為を二者の間だけですると、参加人の合一確定の利益を害します。裁判例は、独立当事者参加があった後に原告と被告の間だけで訴訟上の和解をしても、参加人の同意がなければ参加人に対して効力を生じないとしています(仙台高判昭和55年5月30日)。請求の放棄・認諾も同じです。原告は、後で述べる訴訟脱退のほか、被告及び参加人の双方の同意を得れば訴えを取り下げることができるとした判例があります(最判昭和60年3月15日)。参加人の同意を要件にすれば参加人の利益は守られるので、取下げを全く認めない必要はないからです。
権利主張参加があると、参加前の原告又は被告は相手方の承諾を得て脱退でき、判決は脱退した当事者にも効力を有します
自己の権利を主張するため訴訟に参加した者がある場合には、参加前の原告又は被告は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができ、この場合、判決は脱退した当事者に対してもその効力を有します(48条)。原告の債権を譲り受けたと主張する者が参加したとき、もう争う気のない原告は脱退できますが、三者の合一確定を貫くため判決の効力は原告にも及びます。脱退は将来に向かって訴訟関係から離れるだけで、訴訟係属がさかのぼって消えるわけではないので、脱退した当事者が脱退前にした主張立証も残った当事者についての裁判資料になります。脱退者に判決の効力が及ぶ理由については、脱退を残った当事者の勝敗を条件とする請求の放棄・認諾とみる見解などがあります。脱退は訴訟承継にも準用されます(50条3項・51条)。
本訴が不適法として却下されても、参加人の請求は独立の訴えとして審理できます
係属中の訴訟が訴えの利益を欠くなど不適法であるときは、参加の申出があっても原告の訴えが適法になるわけではなく、原告の訴えは却下されます。しかし参加の申出が独立の訴えとしての要件を備えていれば、参加人の真意を確かめたうえで、独立の訴えとして扱って審理することができます。参加の要件を欠く場合に参加人の請求を独立の訴えとして第一審裁判所に移送した判例もあります(最判平成6年9月27日)。
民事訴訟法 第47条第4項第四十条第一項から第三項までの規定は第一項の訴訟の当事者及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について、第四十三条の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。
民事訴訟法 第48条(訴訟脱退)
前条第一項の規定により自己の権利を主張するため訴訟に参加した者がある場合には、参加前の原告又は被告は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができる。この場合において、判決は、脱退した当事者に対してもその効力を有する。
試験ではこう問われる
- 独立当事者参加には40条1項〜3項が準用され、被告が原告の主張を自白しても参加人が争えば自白の効力を生じない(47条4項。必要的共同訴訟の同じ規律は R8 午後 問1 ウ ○)
- 一人に中断事由が生じれば全員について中断する(47条4項・40条3項。H25 午後 問1 エ ○・出題当時)
- 参加前の当事者は、口頭弁論をした後でも相手方の承諾を得て脱退でき、判決は脱退者にも効力を有する(48条。H25 午後 問1 オ ×・出題当時)
- 三者全員を名宛人とする一個の判決でなければならない(最判昭和43年4月12日)
- 一人の上訴で全体が確定遮断・移審し、合一確定に必要な限度で上訴しない者に不利に変更できる(最判昭和48年7月20日)
- 原告は被告と参加人の同意を得れば訴えを取り下げられる(最判昭和60年3月15日)
- 本訴が不適法でも、参加人の請求は独立の訴えとして審理できる

