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抵当権の一部移転ていとうけんのいちぶいてん

不動産登記 第7章 抵当権と根抵当権 過去問で12肢

被担保債権の一部が譲渡や代位弁済で他人に移ったとき、抵当権をその割合で譲受人らと準共有にする登記です。原因の書き方、連帯債務者の一人の債権だけの譲渡、根抵当権の一部譲渡との違いが肢の軸です。

抵当権の一部移転は、被担保債権の一部が債権譲渡や代位弁済によって別の人に帰属したときに、抵当権の一部をその人に移す登記です。抵当権は債権に随伴するので、債権の一部だけが移れば抵当権もその割合だけ移り、元の抵当権者と譲受人が抵当権を準共有します。登記では譲渡された債権額を申請情報に記載し、登録免許税もその額を基準に計算します。根抵当権にも一部譲渡による一部移転がありますが、確定前の根抵当権は債権に随伴しないので、根抵当権そのものを共有にする別の制度です。肢では、原因の表し方、連帯債務者や複数債権の場面、根抵当権との違いが問われます。

民法 第502条

(一部弁済による代位)
債権の一部について代位弁済があったときは、代位者は、債権者の同意を得て、その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利を行使することができる。
前項の場合であっても、債権者は、単独でその権利を行使することができる。
前二項の場合に債権者が行使する権利は、その債権の担保の目的となっている財産の売却代金その他の当該権利の行使によって得られる金銭について、代位者が行使する権利に優先する。
第一項の場合において、債務の不履行による契約の解除は、債権者のみがすることができる。この場合においては、代位者に対し、その弁済をした価額及びその利息を償還しなければならない。

家に掛けた一本の鎖の一部だけを別の債権者に渡す銀行員
被担保債権の一部が譲渡や代位弁済で移ると、抵当権は譲受人との準共有になります
原因は債権一部譲渡・一部代位弁済連帯債務者の一人の債権だけでも一部移転根抵当権の一部譲渡は確定前のみ

債権の一部譲渡や一部代位弁済で抵当権は準共有になります

抵当権者が債権の一部を譲渡すれば、原因を「年月日債権一部譲渡」とする抵当権の一部移転の登記を申請します。保証人などが債務の一部を弁済して代位したときは原因が「年月日一部代位弁済」です。どちらも移転を受ける者(譲受人や代位弁済者)と元の抵当権者の共同申請で、元の抵当権者の登記識別情報を添付し、所有権の登記名義人ではないので印鑑証明書は要りません。申請情報には譲渡額または弁済額を記載し、登記記録には抵当権者として両者が並びます。登録免許税は移転した債権額の1000分の2です。

連帯債務者の一人に対する債権だけの譲渡も一部移転です

連帯債務者AとBに対する債権を担保する抵当権で、Aに対する債権だけがCに譲渡された場合、抵当権の一部がCに移ります。「Aに対する債権のみが第三者Cに譲渡されたときは、当該抵当権の一部移転の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。原因には、どの債務者に係る債権が移ったかを表します。「Aに対する債権のみが第三者Dに譲渡されたことにより当該抵当権の一部移転の登記を申請するときの登記原因は、「債権譲渡(連帯債務者Aに係る債権)」である」という肢も正しい肢です。

一部移転の後に一方の債権だけが弁済されたときは変更の登記です

AからBへ債権一部譲渡による一部移転がされた後、Aの債権だけが弁済されると、抵当権はBの債権だけを担保する状態になります。抵当権が全部消えるわけではないので抹消ではなく、Aが抵当権者から外れる変更の登記を申請します。「当該抵当権の被担保債権のうちAの債権のみが弁済されたときは、「Aの債権弁済」を登記原因として、抵当権の変更の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。登記の目的は抵当権の変更で、Aが登記義務者、所有権の登記名義人が登記権利者になります。

根抵当権の一部譲渡は確定前だけで設定者の承諾が要ります

元本の確定前の根抵当権は、根抵当権設定者の承諾を得て一部譲渡ができ、譲渡人と譲受人が根抵当権を共有します。共同根抵当の一部譲渡は、各土地の原因日付が違っても同一の登記所なら一の申請情報で申請できます。「各土地についての登記原因の日付が異なる場合であっても、一の申請情報によって申請することができる」という肢は正しい肢です。登録免許税は、極度額を譲渡後の共有者の数で割った額の1000分の2です。「根抵当権者をA及びBとする極度額1500万円の根抵当権をCに一部譲渡した場合の根抵当権の一部移転の登記の登録免許税の額は、1万円である」という肢は正しい肢です。

会社分割による根抵当権の一部移転に承諾も分割契約書も要りません

確定前の根抵当権者について会社分割があると、根抵当権は法律上当然に分割会社と承継会社の共有になります。合意による一部譲渡ではないので設定者の承諾を証する情報は要りません。「会社分割を登記原因とする根抵当権の一部移転の登記を申請するときは、Aの承諾を証する情報を提供することを要する」という肢は誤りで、「Aの承諾を証する情報又はAに対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供することを要しない」という肢は正しい肢です。登記原因証明情報は会社分割の記載のある承継会社の登記事項証明書で足りますから、「登記原因証明情報として当該会社分割の分割契約書を提供することを要する」という肢は誤りです。

不動産登記法 第83条

(担保権の登記の登記事項)
先取特権、質権若しくは転質又は抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 債権額(一定の金額を目的としない債権については、その価額)
二 債務者の氏名又は名称及び住所
三 所有権以外の権利を目的とするときは、その目的となる権利
四 二以上の不動産に関する権利を目的とするときは、当該二以上の不動産及び当該権利
五 外国通貨で第一号の債権額を指定した債権を担保する質権若しくは転質又は抵当権の登記にあっては、本邦通貨で表示した担保限度額
登記官は、前項第四号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、共同担保目録を作成することができる。

試験ではこう問われる

  1. 債権の一部譲渡による抵当権の一部移転の原因は何か(債権一部譲渡)
  2. 連帯債務者の一人に対する債権だけの譲渡で申請する登記は何か(抵当権の一部移転)
  3. 一部移転の後に一方の債権だけが弁済されたら何を申請するか(抵当権の変更)
  4. 根抵当権の一部譲渡に設定者の承諾は要るか(要る。会社分割なら要らない)
  5. 共同根抵当の一部譲渡は原因日付が違っても一括申請できるか(できる)

この用語が問われた肢

R7 問24 エ正しい

連帯債務者A、B及びCに対する債権を被担保債権とする抵当権の設定の登記がされている場合において、Aに対する債権のみが第三者Dに譲渡されたことにより当該抵当権の一部移転の登記を申請するときの登記原因は、「債権譲渡(連帯債務者Aに係る債権)」である。

R5 問15 ウ正しい

同一の債権を担保するために複数の土地に設定された元本の確定前の根抵当権の一部譲渡を登記原因とする根抵当権の一部移転の登記は、各土地についての登記原因の日付が異なる場合であっても、一の申請情報によって申請することができる。

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