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確定後の根抵当権の移転かくていごのねていとうけんのいてん

不動産登記 第7章 抵当権と根抵当権 過去問で4肢

元本が確定すると根抵当権は特定の債権に付従する担保になり、債権譲渡や代位弁済に伴って移転します。確定前と確定後で、できる処分とできない処分が入れ替わる点が肢の軸です。

確定後の根抵当権の移転は、元本の確定によって根抵当権が特定の債権を担保する普通の抵当権に近い性質になった後に、被担保債権の譲渡や代位弁済に伴って根抵当権が移転する場面です。元本の確定前は、根抵当権者から債権を取得した者も、債務者のために弁済した者も、その債権について根抵当権を行使できず、根抵当権は枠として債権から切り離されています。確定前にできるのは、根抵当権そのものの全部譲渡、分割譲渡、一部譲渡という根抵当権固有の処分と転抵当です。確定後は逆に、根抵当権固有の処分はできなくなり、債権譲渡や代位弁済による移転の登記ができるようになります。肢では、確定の前後でどの登記ができるかを入れ替えて問われます。

民法 第398条の7

(根抵当権の被担保債権の譲渡等)
元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。
元本の確定前に債務の引受けがあったときは、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができない。
元本の確定前に免責的債務引受があった場合における債権者は、第四百七十二条の四第一項の規定にかかわらず、根抵当権を引受人が負担する債務に移すことができない。
元本の確定前に債権者の交替による更改があった場合における更改前の債権者は、第五百十八条第一項の規定にかかわらず、根抵当権を更改後の債務に移すことができない。元本の確定前に債務者の交替による更改があった場合における債権者も、同様とする。

蓋を閉じた帯付きの箱を別の債権者に手渡す銀行員と、見守る家の持ち主
確定後の根抵当権は債権譲渡や代位弁済に随伴して移転します
確定前は債権に随伴しない確定後は債権譲渡・代位弁済で移転確定の登記が前提になることがある

確定前は債権譲渡や代位弁済で根抵当権は移転しません

元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使できません。債務者に代わって弁済した者も同じで、代位弁済を原因とする根抵当権の移転の登記は確定前にはできません。確定前に免責的債務引受があっても、債権者は根抵当権を引受人の債務に移すことができず、更改でも同じです。根抵当権の被担保債権は範囲で定まる枠なので、個々の債権の動きに根抵当権が付いていかない、というのが確定前の基本です。

確定後は債権譲渡や代位弁済による移転の登記ができます

元本が確定すると被担保債権が特定され、根抵当権はその債権に付従します。債権が譲渡されれば根抵当権も移転し、債権譲渡を原因とする根抵当権の移転の登記を申請できます。代位弁済をした者も根抵当権を取得します。ただし、確定後にできる移転の登記は、元本の確定が登記記録上明らかであることが前提です。設定者が破産手続開始の決定を受けて元本が確定した後に債権を譲渡した場合でも、確定の登記をしないまま債権譲渡による移転の登記はできません。「Bは、当該根抵当権について元本の確定の登記を申請することなく、債権譲渡を登記原因とする根抵当権の移転の登記を申請することができる」という肢は誤りです。

確定後は根抵当権固有の処分ができなくなります

全部譲渡、分割譲渡、一部譲渡は元本の確定前に限って認められる根抵当権固有の処分です。確定後にこれらを原因とする移転の登記を申請しても却下されます。逆に、確定前の一部譲渡による一部移転の登記は、共同根抵当で各土地の登記原因の日付が違っても一の申請情報で申請できます。「元本の確定前の根抵当権の一部譲渡を登記原因とする根抵当権の一部移転の登記は、各土地についての登記原因の日付が異なる場合であっても、一の申請情報によって申請することができる」という肢は正しい肢です。

共有者の権利の譲渡は確定前で、優先の定めは別の申請です

根抵当権の共有者は、他の共有者の同意と根抵当権設定者の承諾を得て自分の権利を譲渡でき、これも確定前に限られます。共有者間で優先弁済の割合について各自の債権額と異なる定めをしたときは、その定めは登記事項です。優先の定めの登記は設定の登記と別の申請情報で申請し、同時に提出することはできますが、一の申請情報にはまとめられません。「当該根抵当権の設定の登記及び根抵当権の共有者間の優先の定めの登記は、一の申請情報によって申請することができる」という肢は誤りです。共有者の一人が権利を全部譲渡するとき、転抵当権者の承諾は要りません。

不動産登記法 第93条

(根抵当権の元本の確定の登記)
民法第三百九十八条の十九第二項又は第三百九十八条の二十第一項第三号若しくは第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記は、第六十条の規定にかかわらず、当該根抵当権の登記名義人が単独で申請することができる。ただし、同項第三号又は第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合における申請は、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 確定前に代位弁済した者は根抵当権を行使できるか(できない)
  2. 確定後に債権譲渡を原因とする根抵当権の移転の登記はできるか(できる。登記記録上確定が明らかでなければ確定の登記が前提)
  3. 確定後に一部譲渡を原因とする一部移転の登記はできるか(できない)
  4. 確定前の一部譲渡で共同根抵当の各土地の原因日付が違うとき一括申請できるか(できる)
  5. 共有者間の優先の定めは設定の登記と一の申請情報で申請できるか(できない。別の申請情報で同時提出は可)

この用語が問われた肢

R7 問24 ウ誤り

A株式会社を所有権の登記名義人とする甲土地にBを根抵当権者とする根抵当権の設定の登記がされている場合において、A株式会社が破産手続開始の決定を受けた後、Bが当該根抵当権の被担保債権を譲渡したときは、Bは、当該根抵当権について元本の確定の登記を申請することなく、債権譲渡を登記原因とする根抵当権の移転の登記を申請することができる。

R5 問15 ウ正しい

同一の債権を担保するために複数の土地に設定された元本の確定前の根抵当権の一部譲渡を登記原因とする根抵当権の一部移転の登記は、各土地についての登記原因の日付が異なる場合であっても、一の申請情報によって申請することができる。

R7 問24 ア正しい

乙区 1 番でA及びBを根抵当権者とする元本確定前の根抵当権の設定の登記がされており、乙区 1 番付記 1 号でCを転抵当権者とする転抵当権の設定の登記がされている甲土地について、Aが自己の根抵当権の共有者の権利をDに全部譲渡し、その旨の登記を申請する場合には、Cの承諾があったことを証する情報を提供することを要しない。

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