抵当権の登記事項(債権額・利息・損害金・債務者)ていとうけんのとうきじこう
抵当権の登記に記録する事項は、債権額と債務者を必ず書き、利息・損害金・条件などは定めがあれば書きます。どれが必須でどれが任意か、どんな書き方なら登記できるかが肢の軸です。
抵当権の登記事項は、担保権の登記に共通する事項と抵当権に固有の事項に分かれます。共通する事項は、債権額(外貨建てなら日本円の担保限度額も)、債務者の氏名住所、所有権以外の権利を目的とするときはその権利、共同担保のときは担保となる各不動産と権利です。抵当権に固有の事項は、利息に関する定め、損害金に関する定め、債権に付した条件、民法370条ただし書の別段の定め、抵当証券を発行する旨の定めなどです。固有の事項は定めがあるときに限って登記します。肢では、何が必須か、書き方にどんな制限があるか、後から変更するときの登記原因が問われます。
不動産登記法 第83条(担保権の登記の登記事項)
先取特権、質権若しくは転質又は抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 債権額(一定の金額を目的としない債権については、その価額)
二 債務者の氏名又は名称及び住所
三 所有権以外の権利を目的とするときは、その目的となる権利
四 二以上の不動産に関する権利を目的とするときは、当該二以上の不動産及び当該権利
五 外国通貨で第一号の債権額を指定した債権を担保する質権若しくは転質又は抵当権の登記にあっては、本邦通貨で表示した担保限度額
登記官は、前項第四号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、共同担保目録を作成することができる。

債権額と債務者は必ず登記します
債権額は被担保債権の元本の額で、金銭債権でない債権を担保するときはその債権の価額を書きます。債務者は設定者と同じ人でも別の人でも構わず、氏名と住所を登記します。債務者が複数いれば全員を書き、実際に連帯債務を負っているときは連帯債務者として書きます。これらは抵当権の内容そのものなので省くことはできません。設定契約の後に被担保債権の一部が弁済されていれば、残った額を債権額として登記します。
利息や損害金は定めがあるときだけ、確定した割合で書きます
利息に関する定めと損害金に関する定めは、契約に定めがあれば登記し、なければ登記しません。書けるのは「年3%」「年14.5%(年365日日割計算)」のように割合が確定しているものです。「将来の金融情勢に応じ債権者において利率を適宜変更できるものとする」という定めは、割合が定まっていないため登記できず、そのような肢は誤りです。損害金の定めを「年14.5%(年365日の日割計算)」とするところを「年14.5%」と登記してしまった場合は、更正の登記で直せます。
債権額を増やす変更はできますが、利息だけを債権額にはできません
金銭消費貸借の予約契約に基づく将来の債権を担保する抵当権で、予約契約を変更して債権額を増やしたときは、債権額を増額する抵当権の変更の登記を申請できます。「当該予約契約を変更し債権額の増額を行ったときは、抵当権の債権額を増額する抵当権の変更の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。逆に、元本が全額弁済されて利息だけが残ったとき、変更後の事項を「債権額金○○円(年月分から年月分までの利息)」として一部弁済を原因に変更することはできず、そのような肢は誤りです。利息は債権額ではないからです。
後順位者の承諾があれば付記登記、なければ主登記で変更します
債権額の増額や利息の引上げのように後順位の担保権者に不利になる変更は、その人の承諾を証する情報を提供すれば付記登記で、提供しなければ主登記でされます。承諾が無いからといって申請が却下されるわけではなく、登記の形が変わるだけです。利率の引下げのように後順位者に不利にならない変更は、承諾なしに付記登記でできます。同じ債権のために別の不動産に追加で設定するとき、既登記の利息の変更をあらかじめ登記しておく必要はなく、そのような肢は誤りです。
不動産登記法 第88条(抵当権の登記の登記事項)
抵当権(根抵当権(民法第三百九十八条の二第一項の規定による抵当権をいう。以下同じ。)を除く。)の登記の登記事項は、第五十九条各号及び第八十三条第一項各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 利息に関する定めがあるときは、その定め
二 民法第三百七十五条第二項に規定する損害の賠償額の定めがあるときは、その定め
三 債権に付した条件があるときは、その条件
四 民法第三百七十条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め
五 抵当証券発行の定めがあるときは、その定め
六 前号の定めがある場合において元本又は利息の弁済期又は支払場所の定めがあるときは、その定め
根抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号及び第八十三条第一項各号(第一号を除く。)に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 担保すべき債権の範囲及び極度額
二 民法第三百七十条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め
三 担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、その定め
四 民法第三百九十八条の十四第一項ただし書の定めがあるときは、その定め
試験ではこう問われる
- 抵当権の登記で必ず書く事項はどれか(債権額・債務者)
- 債権者が利率を変えられる利息の定めは登記できるか(できない)
- 元本完済後に利息だけを債権額とする変更はできるか(できない)
- 予約契約の変更で債権額を増やす変更登記はできるか(できる)
- 後順位者の承諾が無い増額変更はどうなるか(主登記でされる)
この用語が問われた肢
金銭消費貸借予約契約に基づく将来の債権を担保するための抵当権の設定の登記がされている場合において,当該予約契約を変更し債権額の増額を行ったときは,抵当権の債権額を増額する抵当権の変更の登記を申請することができる。
弁済の充当に関する当事者間の合意により抵当権の被担保債権の元本が全額弁済され,利息のみが残っている場合は,変更後の事項を「債権額金○○円(年月分から年月分までの利息)」として,一部弁済を登記原因とする抵当権の変更の登記を申請することができる。
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