要役地の所有権移転と地役権の随伴ようえきちのしょゆうけんいてんとちえきけんのずいはん
地役権が要役地の所有権に従たる権利として、要役地の所有権とともに移転し、要役地の抵当権の目的にもなることです。随伴しない特約があるときの抹消の形と、要役地の抵当権者が利害関係人になる場面が肢で突かれます。
地役権の随伴とは、地役権が要役地の所有権に従たる権利として、要役地の所有権とともに移転し、要役地に設定された抵当権などの目的にもなることです。民法281条が定め、設定行為で別段の定めをすれば随伴しないことにでき、その定めは不動産登記法80条1項3号の登記事項です。地役権者の氏名は登記されないので、要役地の所有権が移っても地役権の移転の登記はせず、要役地の登記記録を見れば誰が地役権者かが分かります。肢で突かれるのは、随伴しない特約があるときの抹消の形と、要役地の抵当権者が利害関係人になる場面です。
民法 第281条(地役権の付従性)
地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない。

要役地が移転しても地役権の移転の登記はしません
地役権は要役地の所有権とともに移転するので、要役地について所有権の移転の登記をすれば、地役権も新しい所有者のものになります。承役地の地役権の登記には地役権者の氏名がなく、移転を記録する対象そのものがありません。登記の上では、承役地の乙区に記録された要役地の表示をたどり、要役地の甲区の現在の所有者が地役権者です。地役権だけを要役地から切り離して譲渡したり、地役権だけを抵当権の目的にしたりすることは民法281条2項が禁じています。
随伴しない特約を登記すると、要役地の移転で地役権は消えます
設定行為で、地役権は要役地の所有権とともに移転しない旨を定めることができ、登記した特約は第三者にも対抗できます。特約のある地役権は要役地が譲渡されると消滅するので、承役地の登記を抹消することになります。抹消は承役地の所有者を登記権利者とする共同申請で、承役地の所有者が単独で申請することはできません。「Bは,単独で当該地役権の登記の抹消を申請することができる」という肢は誤りです。要役地の所有権の移転を示す登記事項証明書などが登記原因証明情報になります。
要役地の抵当権は地役権にも及ぶので、抹消で承諾が要ります
要役地に設定された抵当権の効力は、従たる権利である地役権にも及びます。地役権の登記を抹消すると要役地の担保価値が下がるので、要役地の抵当権者は登記上の利害関係を有する第三者です。「当該抵当権の登記名義人の承諾を証する当該抵当権の登記名義人が作成した情報又は当該抵当権の登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない」という肢は正しい肢です。承役地の抵当権者は、地役権の抹消で負担が消えて有利になるだけなので、承諾は要りません。
要役地側の登記は登記官の職権でされ、抹消も連動します
承役地に地役権の設定の登記がされると、登記官は要役地の乙区に、要役地の地役権である旨、承役地の表示、目的と範囲、登記の年月日を職権で記録します。要役地の所有権が移転しても、要役地側の記録は変わらず、所有者の交代は甲区で読み取ります。承役地の地役権の登記が抹消されると要役地側も職権で抹消され、「要役地についての地役権の登記は、登記官の職権により抹消される」という肢は正しい肢です。要役地の地番が土地区画整理で変わったときは、承役地側の要役地の表示を直す変更の登記を、要役地と承役地の所有者が共同で申請できます。
不動産登記法 第80条第1項第3号民法第二百八十一条第一項ただし書若しくは第二百八十五条第一項ただし書の別段の定め又は同法第二百八十六条の定めがあるときは、その定め
試験ではこう問われる
- 要役地の所有権が移転したとき地役権の移転の登記は要るか(要らない。随伴して移る)
- 随伴しない特約は登記できるか、特約があるとき承役地の所有者が単独で抹消できるか(登記できる。単独ではできない)
- 地役権の抹消で要役地と承役地の抵当権者のどちらの承諾が要るか(要役地の抵当権者)
- 承役地の地役権が抹消されたとき要役地の登記はどうなるか(職権で抹消)
この用語が問われた肢
甲土地を要役地とする地役権の設定の登記がされた後、甲土地について抵当権の設定の登記がされている場合において、当該地役権の登記の抹消を申請するときは、当該抵当権の登記名義人の承諾を証する当該抵当権の登記名義人が作成した情報又は当該抵当権の登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。
承役地と要役地がそれぞれ一筆の土地である場合において、承役地についての地役権の登記が申請により抹消されたときは、要役地についての地役権の登記は、登記官の職権により抹消される。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。