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元本確定がんぽんかくてい

不動産登記 第7章 抵当権と根抵当権 過去問で31肢

根抵当権が担保する元本が、確定事由の発生によってその時点の債権に固定されることです。確定の登記を誰がどう申請するか、単独申請できる事由はどれか、確定の登記が要らない場合はいつかが肢の軸です。

元本確定は、根抵当権が担保する元本の債権が、それまでの入れ替わりをやめて確定事由が生じた時点の債権に固定されることです。確定後は通常の抵当権に近づき、債権の範囲の変更や全部譲渡・分割譲渡・一部譲渡といった確定前の特則は使えなくなる代わりに、債権譲渡に伴う移転や相続による債務者の変更ができるようになります。確定事由には、当事者の確定請求、確定期日の到来、根抵当権者による競売申立てや差押え、債務者や設定者の破産手続開始などがあります。他の債権者による競売開始や差押えを知ってから2週間の経過も確定事由で、相続開始後6か月以内に合意の登記をしなかったときは相続開始の時に確定したものとみなされます。肢では、確定の登記の申請人と添付情報、単独申請ができる場面、確定の登記を省ける場面が問われます。

民法 第398条の20

(根抵当権の元本の確定事由)
次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。

流れていた証書の川が大きな堰でせき止められ、たまった証書を数えている場面
元本確定は、根抵当権が担保する元本が確定事由の時点の債権に固定されることです
設定者が権利者の共同申請単独申請は3つの場合明らかなら確定登記不要

確定の登記は設定者が権利者、根抵当権者が義務者の共同申請です

元本の確定の登記は、根抵当権の変更の登記として、設定者を登記権利者、根抵当権者を登記義務者とする共同申請でするのが原則です。根抵当権者は義務者なので、設定の登記のときに通知された登記識別情報を提供します。「根抵当権者と根抵当権設定者が共同して根抵当権の元本確定の登記を申請する場合には、添付情報として根抵当権者が当該根抵当権の設定の登記を受けた際に通知された登記識別情報を提供することを要する」という肢は正しい肢です。共同申請なら、確定請求が配達証明付き内容証明郵便でされたことを証する情報は要らず、そう求める肢は誤りです。根抵当権者が協力しないときは、設定者が確定の登記手続を命じる確定判決を得て単独で申請でき、逆に設定者が協力しないときも根抵当権者が判決を得て単独で申請できます。

根抵当権者の単独申請は三つの場合に限られます

根抵当権者が単独で確定の登記を申請できるのは三つの場合です。根抵当権者自身が確定請求をしたとき、根抵当権者以外の者の競売手続の開始や滞納処分による差押えを知って2週間が経過したとき、債務者または設定者が破産手続開始の決定を受けたときです。後の二つでは、確定した根抵当権やこれを目的とする権利を取得した者がいることを前提に、その取得の登記の申請と併せて申請しなければなりません。「Aは、当該根抵当権の順位の譲渡の登記を申請することなく、単独で当該根抵当権の元本の確定の登記を申請することができる」という肢は誤りです。合併や会社分割を理由に設定者が確定請求をした場合は単独申請の対象外で、「単独で元本確定の登記を申請することができる」という肢は誤りです。

代位弁済者が根抵当権者に代位して単独で申請することはできません

設定者の確定請求で元本が確定した後に第三者が代位弁済をしても、その第三者が根抵当権者に代位して単独で確定の登記を申請することはできません。単独申請の規定は根抵当権者自身の確定請求、他の債権者の競売・差押えを知って2週間の経過、破産手続開始の場合を対象にしており、設定者の請求による確定は対象外だからです。「Cは、単独で、Bに代位して、元本の確定の登記を申請することができる」という肢は誤りです。破産手続開始による確定でも、確定の登記と代位弁済による移転の登記は登記の目的が別なので、一の申請情報にはまとめられず、そう述べた肢は誤りです。

確定が登記記録上明らかなら確定の登記は要りません

根抵当権者自身が競売を申し立てて差押えの登記がされたときや、登記された確定期日が到来したときは、登記記録を見れば確定していることが分かります。相続による根抵当権の移転や債務者の変更が登記され、相続開始から6か月を経過して合意の登記がないときも同じです。確定が明らかなときは確定の登記をせずに、確定後にしかできない債権譲渡や代位弁済による移転の登記を申請できます。転根抵当権者が競売を申し立てて差押えの登記がされた場合は、根抵当権者自身の申立てではないため確定が明らかとはいえず、「代位弁済による当該根抵当権の移転の登記を申請するときは、その前提として当該根抵当権の元本確定の登記を申請することを要する」という肢は正しい肢です。

仮登記の根抵当権でも確定の登記はできます

根抵当権の設定の仮登記がされているだけでも、根抵当権は契約上成立しているので、確定事由が生じれば元本は確定します。確定期日の定めがなく、設定から3年を経過して設定者が確定請求をし、請求から2週間が経過したときは、仮登記の根抵当権についても当事者が共同で元本の確定の登記を申請できます。「当該設定の日から5年後にAがBに対して当該根抵当権の元本の確定の請求をしたときは、AとBは、共同して、当該根抵当権について元本の確定の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。

不動産登記法 第93条

(根抵当権の元本の確定の登記)
民法第三百九十八条の十九第二項又は第三百九十八条の二十第一項第三号若しくは第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記は、第六十条の規定にかかわらず、当該根抵当権の登記名義人が単独で申請することができる。ただし、同項第三号又は第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合における申請は、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 確定の登記の登記権利者と登記義務者は誰か(設定者と根抵当権者)
  2. 根抵当権者が単独で確定の登記を申請できる場合はどれか(自らの確定請求、他の債権者の競売・差押えを知って2週間、破産手続開始)
  3. 設定者の確定請求で確定した後の代位弁済者は単独で確定の登記ができるか(できない)
  4. 確定の登記と代位弁済による移転の登記は一の申請情報にできるか(できない)
  5. 根抵当権者自身の競売申立てで差押えの登記があるとき確定の登記は要るか(要らない)

この用語が問われた肢

R3 問22 オ正しい

根抵当権者と根抵当権設定者が共同して根抵当権の元本確定の登記を申請する場合には,添付情報として根抵当権者が当該根抵当権の設定の登記を受けた際に通知された登記識別情報を提供することを要する。

R3 問22 エ誤り

元本確定前の根抵当権について根抵当権者が元本確定の請求をした場合において,元本確定の登記を根抵当権設定者と共同して申請するときは,元本の確定の請求が配達証明付き内容証明郵便により行われたことを証する情報を提供しなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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